1998年度 春山合宿(山スキー)
山域 新穂高温泉〜大ノマ乗越、弓折岳
期間 1998年5月2日〜4日
メンバー 先発 L.三井明高 谷井菫二
後発 谷内佳子 (SL.田中玲子 病欠)
行動概要
先発 5/2(土)新穂高温泉--大ノマ乗越上
5/3(日)停滞
5/4(月) 弓折岳往復
大ノマ乗越上--秩父沢出合(後発と合流)--
大ノマ乗越--秩父沢出合--新穂高温泉
後発 5/3(日) 新穂高温泉で待機
5/4(月) 新穂高温泉--秩父沢出合(先発と合流)--
大ノマ乗越--秩父沢出合--新穂高温泉
行動記録
春合宿で初企画の山スキー。田中さんは体調悪く不参加。双六池BCの予定だったが、雪が少なく、天候にも恵まれず、大ノマ乗越BC?となった。
5/1(金) 三井は谷井さんと夜9時出発。新しく開通した安房トンネルを通って新穂高温泉へ。檜見で橋を渡って右に入り、スポーツ広場をすぎた傾斜地の道端にテント。
5/2(土) くもりのち雨
通過する車の音で6時前に目が覚めた。道を戻って新穂高温泉に行き、ゲートを確認して有料駐車場の近くに路駐。今日遅くから天気がくずれて明日は悪いらしい。スキーをかつぎ、ザックに入らないブーツを持って歩きだす。重い!ワサビ平を過ぎ、1447mの林道上の残雪を越えると目指す雪渓が見えた。へとへとである。
小池新道に入り、雪渓最下部で靴をはきかえ、デポ。シール歩行するが、雪がつながってなくてたびたびスキーをかつぐ。秩父沢を完全に越えてからヤブがなくなった。30人ぐらい登っている。ひたすら登っていると雨がときおり落ちてくる。雪渓では目的地が近く見えるのだが実は遠い。最後の狭い急斜面をひんぱんなキックターンで登りきり、大ノマ乗越に着いたときには小雨。対岸の双六には雪がない!
疲れてぬれているのでテントを張りたかったが、乗越は狭くて風も強い。双六谷にトラバース気味に下りるつもりだったが、雪が少ないし木も多くて真下に下りるしかない。むちゃくちゃ急で、横滑りでも危ない。途中で下を見ると、双六谷は泊まろうにも歩こうにも沢が大きく出て危ない。かなり上流でも沢が埋まってなくて、歩けそうにない。あきらめて途中から大ノマ乗越に登り返した。稜線を行くしかないが、スキーは使えそうになく、かついでいくにはぎりぎりの時間。しかも苦労して双六池に行ったとしても明日は雨、周りには雪が少ないと来ては行く気がしない。弓折岳に向かって少し登って狭いところにテントを張った。雨はふつう。風はときおり強く吹く。
5/3 雨のちくもり
天気がわるいことが確かだったので、9時半まで寝た。トランシーバーはなく、後発隊との連絡はとれないが、この悪天でツェルトひとつで長い雪渓に向かうわけはないので安心して停滞を決めた。(谷井さんは、田中さんが体調悪くて来れず、しかも天気が悪いから谷内さんはそもそも新穂高に来てないよと予想していた。)11時頃ブランチ?を食べ、話もつき、谷井さんが持っていた12月の新聞を読んでひまをつぶした。風は弱くなり、雨もおさまってきたがガスっている。ガスも切れるようになった4時ごろ、三井がカラ身でテント下の斜面をすべった。40度ぐらいか、かなり急だが適度にくさっていてすべりやすい。爽快!止まろうとして倒れたらそのまま滑り出して止まらない。15mぐらい落ちた。途中スキーが外れたが、見るとジルブレッタ404のかかとの上端のパーツ(2cm角ぐらい)が取れている。一応使えるのでトラバースして大ノマ乗越に登り返してテントに戻った。
後発隊が晩飯を持っているので、この夜は朝飯メニューだった。合流できないときのために朝飯はわれわれ先発がすべて持っているのだ。明日は天気がよくなるらしい。でもあと1泊で雪の少ない双六池に行くだけの価値はないし、晩飯もない。後発との合流を期待して下ることに決めた。
5/4 快晴のち晴のち快晴
起きるとイヤー、いい天気。下りるんだけど、早いうちはクラストしてて危険。急ぐこともあるまいと、まずは朝飯前に弓折岳に登る。槍穂高、双六の右に鷲羽岳、左に黒部五郎岳、振り返れば笠ヶ岳、実にきもちいいところだ。戻ってテントを干しながらのんびり帰り支度をして、雪がやわらかくなったのを確認して滑り出す。
重い荷物をしょってこんな急なところを滑るのは慎重になる。でも滑り出せば雪質よく、快適に下る。乗鞍をはるか前方に望み、穂高をやや左に見ながらの大滑降(いや、滑っている間は山なんか見ちゃいません、立ち止まったときです)、広い無木立の斜面は爽快そのもの。傾斜が緩くなって秩父沢が近づいたときに谷井さんと谷内さんが出会った。ははは、後発隊のことすっかり忘れてた(^^;。田中さんは体調悪くて自宅療養とのこと。谷内さんは昨日停滞でひまつぶしに高山まで行ったという。せっかくキムチ鍋の材料を持ってきてくれたから泊まってのんびりすることにし、少し下って秩父沢からの落石が届かないところにテントをはった。
身軽になって大ノマ乗越に向かった。おれと谷井さんはもちろん2度目の雪渓登りである。荷物がないので楽勝。昨日の雨で雪渓側壁の土がゆるみ、ときおり落石がある。乗越に上がると山々には雲がかかっていた。またも気持ち良く滑り下りる。石が多くてやや気を使うものの、身軽でるんるんに滑る。時間が早いのでテントをたたんで帰ることにする。
林道から見た対岸のブナ林は日を浴びてやわらかな美しさ。近くのブナを観察したが、大木の方が赤い芽ぶきのままで、若木やその他の低い木が新緑の葉を出していることが多い。それで若緑の下地に赤っぽい木が浮かび上がるやわらかなふんいきになるのだ。ワサビ平でキムチ鍋を作って乾杯し、フランスパンを焼いた。ああ、いい気持ち。
新穂高温泉に戻って風呂に行くと稲垣さんがいた!槍平に3泊して、今日登頂ののち下山したのだという。解散して帰路、沢渡の土砂崩れによる渋滞には参った。あきらめて2時間ほど仮眠するも解消せず、正味4時間の渋滞を抜けて相模原に着いたのは朝だった。
(三井)