2002Nov R&B self-rescue training

日程
11/21 夜 勤労者福祉センターにて事前練習(三角巾による足の骨折の副子固定、足首捻挫のテーピング、搬送法、雪山装備)
11/23 大峰城駐車場&物見岩上部で岩場でのセルフレスキュー(ロープ・スリングでかつぐ、各種懸垂下降、懸垂下降中の仮固定、リード墜落時の自己脱出)
11/24 大峰城駐車場から物見岩上部で一般登山道でのセルフレスキュー(各種搬送法、足首や下腿を固定して実際に搬送、けが人発見から応急手当・移動までのフロー、前腕骨折の副子固定)

まとめ (リンクを張ってないので下の表をたどってください)

1 負傷部位の応急手当
1−1 骨折の固定
1−2 足首の内反制限テーピング

2 搬送法(登山道)
2−1 自力で帰る
2−2 一人で運ぶ
2−3 2人で運ぶ
2−4 3人以上で運ぶ

3 岩場でのレスキュー
3−1 懸垂下降
3−2 懸垂下降の仮固定
3−3 自己脱出

4 けが人発見から応急処置への流れ

*の後のコメントはトレーニングとしての注意点

1 負傷部位の応急手当
1−1 骨折の固定
主に三角巾を使うのでまず三角巾を帯にする
30秒でやりましょう

*これと本結びで時間を食うので事前に各自練習しておくとよい
副子をあてて三角巾で固定する
骨折した骨の両端の関節も固定する
下腿なら膝も固定するので副子を大腿まであててしばる
骨折部のすぐ上下を固定したのち、関節の外(この場合は大腿)をしばる
大腿を骨折したら、下腿から胸まで固定するのが望ましい
副子は適当な幅の板が最適だが、木、枝、ストック(伸縮式なら抜くと使いやすい)、傘、マットを丸めるなどその場にあるもので工夫する
副子が当たって痛いところや、隙間ができて安定しないところには服などで当て布をする
下腿ぐらいの細さなら袋しばり(命名)にするとよい

まず帯を2つに折って細い棒などで足(写真では木)の下に通す
輪になったところに一端を通す
他端を反対側から通して締める
それら2本を本結びで留める
足首はシートなどでくるんでしばる
前腕は前腕と手に副子をあてて固定し、広げた三角巾で吊る
腕が楽になるように肘を十分支える
手先が肘より上になるようにしたほうが楽である
血が通っているのがわかるように指先を出しておく
肘の方からずれないように結び目を作る
腕が体から離れてバタつかないよう、胸ごとしばる
写真よりも三角巾を広げて使うとよい
1−2 足首の内反制限テーピング
グキッ 足首のねんざは足裏を内側に向けるようなひねり方(内反)が多い
これをテーピングで補強する
グルグル アンカー、バーティカル、おさえ(フィルイン)は最低限必要
これらの枚数を増やしたり幅の広いテープを使うと強くなる
足首は通常38mmテープ
他にラージヒールロック、スモールヒールロック、フィギュアエイトなどを加えると強化できる
いずれも形だけでなく、内反しないように引っ張って巻くのが重要である
*テープを大量に使うので、スリング用のテープなどの粘着しないもので練習する テンションのかけ方は粘着テープでやるが、バーティカル1本だけとか手首でやって節約する
2 搬送法(登山道)
2−1 自力で歩く
ストック2本あればテープで松葉杖を作れる
先端をしばり、グリップのひもをテープでくっつけ、中間に握りを作る
注意は必要だがなんとか歩ける
2−2 一人で運ぶ
短距離ならひきずる
脇から手を入れてけが人の片腕を両手でつかむ
両腕をつかむのを思いつくがこっちはやりにくい
背負い方いろいろ

実際は一人で背負うのは難しいが、救助者が2人以上の場合でも不規則な斜面や細い道では背負うことが多いと思われるし、
岩場での搬送にも用いるのでぜひマスターしておきたい

楽なこととけが人を落とさないことが重要

写真はけが人の膝の下から手を出してけが人の手をつかんでいる
手首をつかむとなおよい
けが人の腕がさらに長ければ交差させるとよいらしい
これはザックの肩紐に棒を通してのっかる方法

肩紐を長くし、棒(ストック)にマットや服を巻いて足が痛くないようにする
10分も乗っていると痛くなるのでこれは重要

*ザックが傷むのでぼろいのを準備すると良い
けが人がおちないように救助者と結びつける
スリング使用ならシートベントが便利
太さの違うロープの連結など、他にも使えるのでシートベントはマスターしよう

*シートベントも意外と時間を取るので各自事前にマスターしておくのがよい
一度結んでから片方をけが人の肩の上に通すとなお密着する
背負って立ち上がるのが大変
これは悪い例
ひっくり返って怪我する
ベンチをつかむとか、もう一人が前にしゃがんで肩に手をつかせるとよい
救助者が足をほおりだすとセットしやすいが立ち上がるのがつらい
救助者はストックを持ち、ひとり先導して危険箇所を知らせる
スリングでやる方法

写真では見にくいが、けが人の尻の下と腰の上にスリングがかかり、救助者の肩にかかっている
簡単だが結構安定している
救助者の肩から外れないように両方のスリングを連結する必要があり、それが首を絞めないようにハーネス(腰)につなぐとなおよい<後のロープ使用の場合を参照>
スリングは輪にして110cm(つまり全長220cm)ぐらい
 2重にして首から斜めにかける長さ(もちろん体格によって違うが)
ロープを使う方法

まずわっかにし、両端を3mずつ出してしばる
よじれるので2人でやるとよい
輪の大きさは以下のように担いだ状態を想定して足を通してみて決める
けが人がこの輪を二つに分けたものをふんどしのようにはいて救助者の肩に乗るのだが、落ちないようにするのにいろいろ工夫が要るのである
救助者の肩にかけたロープがずれて落ちるのを防ぐため、スリングでしばる
それがせり上がって首を絞めるのを防ぐため、スリングをハーネス(腰)につなぐ
写真の黄色いスリングがそれ
ここでは長めのスリングで胸の前でシートベントにし、余った方をハーネスのカラビナに通している
けが人が上にすっぽ抜けるのを防ぎ、かつ安定して救助者に密着するようにしばる
ロープの結び目から出した3mの末端をけが人の腰から救助者の胸を通し、けが人の背中で交差させて肩から前に出し、救助者のハーネスに固定する
2−3 2人で運ぶ
けが人の両側から抱える
足の下の手は、お互いの手首を持つのがよい
手袋してると持ちにくい
これは結構楽であるが道幅が広いときに限られる
道幅が狭いときは、一人がひきづるときの要領で頭のほうをもち、もう一人が足を持つ(交差させて)
かなりつらいので20mぐらいの移動用
ヤブ山の下りでは、けが人(下腿骨折)が尻と手をつき、救助者は足を持ち上げ、胸をスリングでサポートするという方法で2,3時間下りたことがある(実例)
しっかりした棒が2本あればタンカを作って運ぶこともできる
これは次の3人以上の項で説明する
2−4 3人以上で運ぶ
道具が何もないときはけが人の両側から腕で持ち上げる
首を支えてやる
4人以上でやり、リーダーを決めて合図をする
以下は各種タンカを作って運ぶ方法
2m以上のしっかりした棒が2本あれば一番よい
2本の棒が離れないようにするには
テープ、ザック、服、布などを利用できる

救助者が3人までだとシートだけやロープのタンカは難しく、棒を使ったタンカがよい
布はまん中に棒を1本置いて折り、
もう1本を肩幅より少し狭くなるように置いて折るだけ
布(と棒)のフリクションだけなのでだんだんずれるかもしれない
ストックは2本x2で短めのタンカができ、「2人で運ぶ」に示したように下半身だけのっけることはできる
ツェルトやタープだけでも端をぐるぐる巻いてつかんで運べる
枝などを巻きこむとつかみやすいようだ
ロープを編んでタンカを作る
ハンモックにもなるらしい
びよよーんと伸びて頭の穴が大きくなって落ちそうだとの感想があった
死体を運ぶには重宝したらしい。。。
3 岩場でのレスキュー 基礎編のみです
時間切れでけが人の上げ下ろしはできなかった
来年(毎年)ぜひやろう
3−1 懸垂下降
エイト環はタイオフ予防のため、図のように上から入れて上に出すのがよろしい

なお、セットするときは別のカラビナにぶらさげたままロープを通し、安全環付きカラビナにセットすると落とさない(ゆるゆるにして落とさないように注意)
インドアフリーの人はATC、沢派でも軽量化のためにATCという人も 下降器をなくしたときのため、カラビナ2枚を使う方法、イタリアンヒッチ(ハーフマスト);肩がらみはやはり痛い!腕がらみも痛いゾ!
3−2 懸垂下降の仮固定
エイト環 テンションをかけつつぐるぐる巻きにしてカラビナで固定
腰の後ろを回してからぐるぐる巻きの方がよいという意見も
瞬間ワザも披露された
ATC そのままぐるぐる巻きは難しい
腰を回してぐるぐる巻きは可
ハーネスから離してATCをセットすると、いったんハーネスに折り返してからぐるぐる巻き可
いずれも解除するとき固いので苦労する
またガクンと落ちないようにする
3−3 自己脱出 リードが墜落→ビレイ点にロープをフィックス→リードがプルージックで登り返す→最終ランニング支点からテンションをかけて下りる
という設定
リードが墜落して最終ランニングからぶらさがる
ビレイヤー(ボディから確保していた)はロープをプルージックで支点にフィックス
この写真では、もともとの支点(左)は適当でなかったので後ろに新たにフィックス用の支点を作った

プルージックが滑ったら怖いので、
ロープをさらに支点にインクノットで念のために固定
そしたら墜落者はプルージック2本でロープを登る
メイン9mmに対し、スリング6mmでは効かない
5mmならよい
6mmやテープでも、リングを使ったバッチマンだと効くようである

短い(60cm)のだけだとつらい
長+短、長+長がよい
長い分には短くできる

このあたりはやはり実際にやるとわかる
沢で8mmとかだと、うーむ、バッチマンできくのだろうか
今度やってみよう
最終ランニングまで登ったらセルフビレーをスリングで取り、下のビレイヤの準備を待って体重をかけてロワーダウン
ここはたまたま最終ランニング地点に安定して立てる
ねまきでくわえたばこでビシビシ指導するカイチョー
最後にカイチョーみずからデモにとりかかりましたが、
時間がなくなったのでロープをフィックスしてみんな引き上げました。。。
4 けが人発見から応急処置への流れ
おお、ふじーが倒れておるぞ どーしたどーした

発見者は自分の安全と、大出血など一刻を争う処置が必要ないのを確認し、近づいて声をかけるが返事なし
これはヤバイ
近くにひとがいれば助けを求める
気道確保して呼吸確認
鼻息をほほで感知、同時に胸の動きも見て判断する
その前にひっくり返すべきか?
うつ伏せなら気道閉塞していないと考え、呼吸確認できればそのままでよし、確認できなければ仰向けにして呼吸確認から人工呼吸に移らねばならない
首をやられてるとむやみに動かすのは危険
カイチョー、顔がにやけてますゾ。。。
呼吸がなければ人工呼吸2回、引き続き心臓マッサージ!
2002年からは国際的に救急法が簡素化され、脈拍確認がないのだ!
呼吸の回復と体の観察で心肺蘇生を判断するそうです
ま、いずれにせよ心肺蘇生は専門家の下で人形を使って練習しておきましょう
意識が戻ったら(あったら)けがなどの応急手当をし、安全・楽な場所に移る必要があれば搬送する
自力で下山できなければ携帯、無線、伝令により救助隊を要請する

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