朝日新聞 1948/04/15 (木)



新聞も事後検閲へ


総司令部近く緩和の方針

 

【AP東京支局長ラッセル・ブラインズ記】総司令部の検閲制度は漸次緩和されており、日本の新聞はこゝ数ヶ月内に事前検閲を受ける必要がなくなるものと見られる、もっとも「占領政策」に対する破壊的な批判と共産党宣伝 」の機会を最小限にくい止めるために事後検閲制度は今後も継続されよう、これは総司令部民間諜報部長R・S・ブラットン大佐が十三日記者に語ったところであるが、さらに同大佐は総司令部の検閲制度にかんし「われわれの終局の目的は検閲を全面的に撤廃することである」と前置きして次のように言明した
現在三十九の日刊紙と十五の通信社は事前検閲のために一切の記事を総司令部に提供しなければならないが、右以外の五千三百の地方紙に対してはすでに事後検閲の建前をとっている、この方法によると各紙は自らの判断によって記事の選択は自由にまかせてあるが、万一紙面に現われた記事が日本の新聞綱領に違反する場合には当局から警告をうけ、発行停止の処分に付せられることもある、日本放送協会は昨年八月一日から事後検閲となっているが、この外に日本の出版社も極右または極左の編集方針を持つ十四社の場合を除けば全部事後検閲となっている、この事後検閲制度が日刊紙に適用される場合には、日本共産党機関紙「赤旗」もまた同様にこれが適用される。
今まで検閲によって削除を受けた記事は全体の一パーセント以下である、先般マックアーサー元帥が大統領に立候補してもよいと言明したことにかんする記事は連合国最高司令官に対する批判がましいことがあるといけないので、検閲したが、これもマックアーサー元帥の命令によって政策を変更した、われわれが検閲制度を好んでいないことは諸君と同様である、それは非アメリカ的であり、、われわれにとって頭痛の種である