くだらな日記(2011年夏〜冬)


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12月9日(金)
 杉内、仰天交渉!巨人に終身雇用迫る
 すぎうちくんの残りの野球人生=priceless
 すぎうちくんの愛着ある福岡=priceless

 合計=10年契約総額50億円(出来高は別途支払)


12月6日(火)
 ターコイズ雑文祭2012のお知らせ
 歳三さんと知り合い(2ちゃんねる、ツイッター、フェースブック、各種ブログ等々のインターネットメディアには詳しい)の飲み会に参加して「雑文とか書いてます」と言ったら「雑文ってなんですか?」と真顔で聞かれ、「テキストサイトみたいなもんで……」と言ったら「テキストサイトってなんですか?」と真顔で聞かれた私は涙をふいて参加します。いまの若い人にはスターリンジョークでいうソ連のバターみたいなもんか、雑文って。「雑文:インターネット上に嘘をまきちらす不健全で退廃的な資本主義的サイトのため、人民の更新閲覧は禁止されている」(民明書房刊・共産主義の真髄は情報共有大辞典より)


12月5日(月)
 シワザ シワザ ジャングル仕業人
 シワザ シワザ ジャジャンジャジャンジャンジャン
 黒ベエのクの字は クッチャメチャのクの字
 木の葉が沈んで 石泳ぐ
 いけねえなあ やっぱ木の葉にはビラビラ浮いててほしいんだよ
 石ころはジャボンと沈んでほしいんだよ
 同心の仕業だ やいとの仕業だ 浪人の仕業だ ベエ べっかんこ
 あんたこの世をどう思う
 クッチャメチャだよべっかんこ
 あんたそれでも生きてるの
 クルリと回ってべっかんこ
 あら もう死んでやがる
 ああ 菜っ葉ばっかり食ってやがったからなあ……べっかんこ


11月18日(金)
 ドラゴンクエスト10をプレイする夢を見た。
 DSだと思う、携帯ゲーム機の電源を入れると、2分ほどのアニメムービーがあってゲーム開始画面。
 見慣れた懐かしいフィールドが広がる。
 ケーブルとかUSBとかややこしいものが必要ない、自分ひとりで楽しめる、オフラインゲーム。
 メッセージスピード、戦闘画面モードを設定し、魔法や特技のエフェクトを省略して、サクサクと経験値を稼ぐこともできるらしい。
 今回の売りは自由度の高いシステム。歴代勇者10人でパーティを組むことも可能だそうだ。
 というところで目が覚めた。楽しかったなあ。


10月28日(金)
 熱中するあまり、文体まで似せてしまったというのは私にとっては6人しかいない。それが多いのか少ないのかは知らない。
 その6人とは、星新一、筒井康隆、太宰治、司馬遼太郎、東海林さだお、そして北杜夫。

 ところで菅野投手日本ハム指名おめでとう。そして勇気ある決断で日本プロ野球を救ってくれた日本ハムよありがとう。


10月27日(木)
 私が北杜夫を最初に読んだのは「新潮日本文学」だった。
 たしか「楡家の人びと」「どくとるマンボウ航海記」ほか短編が所収されていたと思うが、小学生だったので「ドクトルまんぼう」の面白さにはまってしまった。
 そこから小遣い銭で文庫を買いあつめた。
 「南太平洋ひるね旅」「どくとるマンボウ途中下車」の旅行もの、「どくとるマンボウ小辞典」「どくとるマンボウ昆虫記」「どくとるマンボウ青春記」のエッセイ、「船乗りクプクプの冒険」「高みの見物」「奇病連盟」「怪盗ジバゴ」のユーモア小説、などなど。
 このとき遠藤周作にはまらなかったのは、ユーモアの質の違いもあるかもしれないが、たぶん「新潮日本文学」の遠藤周作集にユーモア小説やユーモアエッセイが所収されていなかったことが最大の原因だと思う。なにせ「新潮日本文学」は父親の書斎に揃っていたのでむさぼり読んでいた。ユーモア作家ならぬ作家のユーモア小説・志賀直哉「赤西蠣太」や、SF作家ならぬ作家のSF小説・石川達三「最後の共和国」まではっきりと記憶にあるくらいだから。
 さらに我慢できなくなり、そのころまだ文庫化されていなかった「あくびノオト」「へそのない本」「マンボウぼうえんきょう」「マンボウおもちゃ箱」などのエッセイ集も単行本で購入。単行本とはいってもまだ350〜400円の時代だったが、それでも中学生のお小遣いでは痛かった。文庫は100円〜200円台前半だったな。
 やがて「ドクトルまんぼう青春記」から「どくとるマンボウ追想記」「どくとるマンボウ医局記」と自伝が敷衍されていくとともに、私も「楡家の人びと」から「遙かな国 遠い国」「星のない街路」あたりの面白さがわかるようになってきて、でもユーモアエッセイでも「マンボウ周遊券」「月と10セント」が続いて、さらに「さびしい王様」の面白さに圧倒されて、「さびしい乞食」「さびしい姫君」と続いて……そのへんからまた、リアルタイムでの印象がなくなる。なんでも躁病が嵩じて株で破産したらしいとかマンボウマブゼ共和国というのをこしらえたらしいとか聞くが、そのへんの時代の本をまた読み出したのはここ10年くらいのことだ。

 枠組み関係なしに、私が北杜夫で面白いと思ったもの5冊をあげるなら、
 1.どくとるマンボウ航海記
 2.さびしい王様
 3.南太平洋ひるね旅
 4.高みの見物
 5.あくびノオト
 「夜と霧の隅で」「星のない街路」の、どこにいるんだかわからない陰鬱なねっとりした霧に包まれている雰囲気の小説も大好きだが、さすがにユーモアものには勝てないかな。


10月22日(土)
 阪神ファン「岡田の無能!やめてまえ!」→罰として与えられた真弓監督
 日ハムファン「梨田の無能!やめろ!」→罰として与えられる栗山監督
 中日ファン「落合の無能!やめてちょーよ!」→罰として与えられる高木監督
 ……罰は3年間の暗黒&壊れる選手数人&逃げる選手数人くらいで、あとは救済が訪れると信じてます。

 イメージ的には
 岡田アンチ=岡田監督の選手名指し批判に怒った選手個人ファン+ノムさんはあんな頑固じゃなかったというノムファン
 梨田アンチ=創価学会陰謀論で頭が膨れあがった人+前任者ヒルマンはあんな愚直じゃなかったというヒルファン
 落合アンチ=落合じゃカネにならんという地元マスコミ主導で踊らされた地元タレント(山本正之とか)にさらに踊らされた群衆
 みたいな感じかな。


10月4日(火)
 どんでん、愛を語る。
(将来の嫁に)「おっ、目がおおたねー 」
「(幸福を)期待して貰って結構です」
(結婚相手を決めた動機を聞かれ)「(嫁の)ブラウスが揺れとったやろ。それだけ胸元をよく見とるということよ。ボーッとしとったら、気付かんよ」
「私がヘマをしない限り幸せな家庭が作れる」
(結婚を決め)「ええんちゃうか。最高ちゃう」
「愛は語らんでエエ。ハートに入れとけばエエんよ」
「結婚式にお集まりいただいた皆様にみももまめましたがみながぇ」
「(これからの人生を乗り切るために)新婚で無理はしたくない」
(新婚旅行先を聞かれ)「おお、オークランドや。ディズニーランドのあるとこやな」
(新婚旅行のホテルは)「5600円くらいのところへ泊まったらええやん(笑)」
「これから新婚旅行という時に一人でメシ食ってる。”こんなことしてたら、帰りの成田で足をすくわれるぞ”って思ったんや。案の定やったけどな(のち、成田離婚が決まる)」
「貯金が2ケタで何でボロクソ言われなアカンのや。江戸時代の水飲み百姓やったら借金なしで『よくやっている』と称賛されてたんやで」
「(結婚記念日の)贈り物って絶対にせなアカンの?」
「嫁の穴を探せって?それは無理。穴が大きすぎて、穴が見当たらないのよ」
「(子作りは)気持ちの問題ちゃうか。一人でやってる。(子供)作るとかそういう気持ちがない」
「(嫁について)貧乳?そら、お前、誰が見てもそうやんか!」
「あえて浮気にいった。(嫁は)気持ちを抑えてくれると思ったんやけど……」
「(浮気尾行の)スパイおるから大丈夫や!(あれは探偵ですと言われ)探偵とスパイは、どう違いますんかな」
「浮気がバレたんだから(嫁から)逃げて逃げて逃げまくらないと」
(嫁への謝罪は)「俺はしない。しんどいもん」
「悪い流れも雨が流してくれるやろ」
「まあ(浮気の罰金)5000円で許したるわ」
(結婚生活の見通しに)「何とかなる言うたらアカンけど、何とかなると思うよ」
(その後の嫁の仕打ちに)「あまりにも、ああ(仏頂面)してな。(不快感をぶつけるのが)みえみえやからな」
「(俺は)アホやな。しかし嫁(の追い詰め方)はすごいな」
(結婚生活が冷えているとの指摘に)「それはオレも半年ぐらい前から思っていたこと」
(まだ愛しているかの問いかけに)「いま仕事中だからわからない」
(ふたたび問い詰められ)「なんでそんなんを、あい情のアレを言われなあかんのや!」
(離婚調停で嫁の言葉に苛立ち)「言い方ってもんがあるやろ!」
(離婚調停の弁護士に苛立ち)「もうあれやな。タイムリミットよ。ここまでや」
「浮気したからといって離婚せなアカンってルールはないやろ。その辺の古い体質はわからんな」
(離婚届を提出され)「あっ、ホンマ……」
(嫁について聞かれ)「(離婚の)手続きをしてるみたいや。9連戦の間に(実家へ)帰るんちゃうか」
(ふたたび独身生活に)「縛られるのは嫌や」
「次(の結婚)は(チャンスがあるか)分からん」
「あんな早く(結婚生活が)崩れてたら絶対に子供なんかつくられへんのやから」


9月28日(水)
 対真弓監督語録。
西田敏行(俳優)「勝負に対する気持ちが淡泊」
同「僕の中では、真弓さんは(監督としては)出てこないですね」
同「選手起用が長けてない。休んでもらおうかな」
渡辺謙(俳優)「打率も打点もほとんど上回ってるのに、勝ち星は変わらない。じゃあ何がって言ったら、采配に決まってる」
同「勝負勘が何かズレてるんですよね。最初から決め打ち過ぎてて、対戦相手とうまくせめぎ合えてない」
同「何もせん試合は勝ってるんですよ(苦笑)。こんだけの戦力を持ってて(CSに)行けなかったらどうするの、と」
庵野秀明(映画監督)「ここは選手より監督が問題なんだよ」
谷村奈南(歌手)「情熱的に戦ってほしい」
坂井信也(阪神球団オーナー)「(真弓監督への続投要請はあるのかという質問に対し)知らん!」

 こんなもんかな。真弓語録は阿呆すぎてまとめる気にもなれん。


9月26日(月)
 戦後政治家カップリング妄想。
 (以下の妄想は、あくまで個人的イメージによるカップリングであり、実際の在任期間や政治家個人の性癖とは関係ないことをおことわり申し上げます)

 第二次世界大戦は、チャーチル×スターリン×ルーズベルトの三巨頭の手によって終結。これに異議を唱える人間はあるまい。
 しかしこの三巨頭カップリングは、ルーズベルトの急死とチャーチルの選挙戦敗北により、戦後を待たずに解体。チャーチルの後継者アトリーは小物というか、イギリス自体が戦後の世界では小物化してしまったため、戦後の世界に誕生したのはスターリン×トルーマンの冷戦カップリングである。さらにスターリンは、スターリン×毛沢東×金日成の朝鮮戦争カップリング、スターリン×チトーのユーゴカップリングと精力的に活動する。
 スターリンの後継者、フルシチョフも負けていない。フルシチョフ×アイゼンハワーのスプートニクカップリング、フルシチョフ×ケネディ(×カストロ)のキューバ危機カップリングと奮戦。
 短いが強烈な印象を残したケネディのあと、負けじと個性を発揮したのがニクソンである。ニクソン×ホーチミンのベトナム戦争カップリング、ニクソン×佐藤栄作の核の傘カップリング、ニクソン×田中角栄の汚職カップリング、ニクソン×毛沢東の米中和解カップリングと、どちらかというと第三世界と組んでいい味を出した。ニクソン×ブレジネフのデタントカップリングもあるが、ブレジネフが任期の長いわりにはキャラが立ってないんで損をしている。
 ニクソンのあと、フォード、カーターと短命キャラが続き、ひさびさに登場したキャラ立ち大統領がレーガン。レーガン×アンドロポフの悪の枢軸カップリング、レーガン×中曽根の浮沈空母カップリング、久々にイギリスから参戦したレーガン×サッチャーの鉄の人カップリング、レーガン×ホメイニ×カダフィの暴れん坊カップリングなどなど。いやむしろ暴れん坊カップリングは、レーガン・サッチャー組VSホメイニ・カダフィ組のタッグマッチにしたほうがいいか。中曽根とフセインを増員して6人タッグにしてもいい。
 ゴルバチョフは本人のキャラが立っているわりには、カップリングのすわりが悪い。レーガン、親ブッシュ、中曽根、海部、江沢民、ミッテラン、サッチャーどれをとってもいまいちである。やはりエリツィン×ゴルバチョフのソ連崩壊カップリングしかないか。
 あとは子ブッシュ×小泉のバカカップリング、小泉×金正日の拉致カップリング、シアヌーク×フンセンのPKOカップリング、ラビン×アラファトのPLOカップリングなどあるが、どれも小粒。そんな中で頭抜けているのは、子ブッシュ×フセイン×ビンラディンの湾岸テロカップリングか。


9月25日(日)
 唐沢俊一先生がひとの死臭を嗅ぎつけて追討文を作成するスピードが加速して、いまや死人の枕元にかけつける順序が、シデムシ→唐沢→ハゲタカ→ハイエナ→医者→坊主→葬儀屋という順番になっている。
 ふと思い出すのが、マーク・トウェイン「ハックルベリ・フィンの冒険」に登場する若き女流追悼詩人、エメリン・グレンジャーフォードである。彼女も死者のもとを訪れる順序が「まずお医者、次にエメリン、それから葬儀屋」と呼ばれた。彼女には実在のモデルがあって――たしか「万国奇人博覧館」に収録されていたと思うのだが、見つからない。この本は検索の困難さが玉に瑕である――トウェインは「彼女の追悼詩を読んでいくどとなく抱腹絶倒の楽しい夜を過ごした」そうな。願わくば唐沢先生も追悼文の腕を上げて、われわれにも笑える追悼を提供してください。

 後記。いくら「万国奇人博覧会」を探しても見つからなかったのは当然で、女流追悼詩人の話は「おかしなおかしな大記録」に記載されていた。その名は「ミシガンの甘き歌人」ことジュリア・ムーア(1847-1920)。マーク・トウェインは「ムーア女史の処女詩集のおかげで20年間楽しい思いをした」と語っている。この本によると、「ジュリア女史の詩では、たとえ出だしではかなり健康な人であっても、何節か進むと必ず川底に横たわるか雷に打たれてしまうのがおち。当時のある批評家は、多筒式のギャトリング機関銃(司馬遼太郎が長岡藩の秘密兵器としてた奴ですな)よりも始末が悪くて、薄手の詩集の中でさえ20名の死者と9名の負傷者を出している、と指摘した」


9月18日(日)
 博覧強記の雑学家・唐沢俊一先生の内的世界史を年表にまとめてみました。
 検証本はどこかの段ボールの中にあり、各サイトを見た記憶に頼って書いているので、訂正、抜けがありましたらご指摘お願いします。

BC4世紀 ギリシアのプラトン、レスラーから哲学者へ転業。恐妻家のため男色に走った。
4〜5世紀 なぜか関東に生き残っていた縄文人が芝丸山古墳を建設。
1431 ジャンヌ・ダルクは「処女を死刑にできない」という法律があったため、看守数人がレイプしてから火あぶりにされた。レイプの時、ジャンヌはあまりのことに早く処刑してくれと願ったとも、もっとやってとおねだりしたともいう。
15〜16世紀 ヨーロッパでルネサンス起こる。ギリシアの哲学者エラスムスが活躍した。
1568 足利義輝の次に義昭が室町幕府の将軍となる。14代将軍義栄なんかいなかった。
1600 関ヶ原の合戦。東軍の徳川家康と西軍の石田三成が戦う。西軍は伏見城攻めに9万3千の軍勢を割くほどの兵力だったのに、なぜか全部で10万程度の東軍に敗れる。
1614 「君臣豊楽 国家安康」の4文字の鐘銘をきっかけに大阪の陣が起こる。豊臣家滅亡。
17世紀 徳川幕府が参勤交代の制度を作る。なぜか諸大名は奥方を国元に置くことを許され、江戸には側室を置いた。
1687 江戸時代、関東では犬を常食にしていた。これを見て怒った京の貴族出身の信子、旦那の徳川綱吉を動かして「生類憐れみの令」を出させる。
1703 江戸時代の男色文化のヒステリー現象で赤穂浪士討ち入りが起きる。
1799 アメリカでワシントン元大統領が殺される。
1804 ナポレオンの発案で、瓶入りの缶詰が発明された。
19世紀 フランスの文豪バルザック、「谷間の百合」「ゴリオ爺さん」「人間喜劇」などの傑作を書く。
1859 安政の大獄で捕まった吉田松陰は自分を死刑にせよと主張し、めでたく斬首された。
19世紀末 日本で失われた江戸文化へのノスタルジーを基盤に落語が形成される。上方落語も。
1919 上山草人渡米、日本で初めてハリウッド映画に出演した日本人俳優となる。早川雪舟なんていなかった。
1921 アイルランド独立。しかしIRAはなぜか、その後もずっとアイルランド独立を目指してテロを繰り返している。ショーン・コネリーはIRA支持のためサーになれなかった。
1924 トーマス・マン、避暑地を舞台に「魔の山」を書く。
1927 芥川龍之介自殺。最近の研究では、妻子ある女性との不倫に悩んだことが原因ともいう。
1940 トロツキー暗殺。アイスピックで刺されたが、最後に髪を整えてもらえたので満足して死ぬ。
1945-46 一般的には第二次大戦後すぐ冷戦が始まったはずだが、どういうわけか冷戦までの束の間の平和を世界が享受。
1949 ソ連が核実験に成功。並ばれただけのアメリカがなぜか優位をくつがえされる。でも冷戦はなかったらしい。
1950 サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」を発表。1950年代に生まれたロスト・ジェネレーション世代の若者に絶大な支持を受けるが、「有名人を殺すことでこの世になんらかの足跡を残す」内容から悪魔の書と呼ばれ、アメリカのいくつかの州では禁書に指定された。「麦畑から落ちてくる子供達を受け止めてあげるよ」という主人公の妄想を受けて筋肉少女帯は「釈迦」を歌い、有名人を殺すことを示唆した内容を受けて2010年に村崎百郎殺人事件が起こったことは有名である。
1957 ソ連が人工衛星打ち上げに成功。いわゆるスプートニク・ショックだが、なぜか冷戦はまだ始まらない。
1960 ソ連が人工衛星・スプートニク5号にライカ犬を乗せ、宇宙時代の幕開けとなる。スプートニク・ショックは世界中にショックを与え、数々の小説や映画に影響を与えたが、宇宙時代とは関係ない。冷戦とも関係ない。
1960年代 さしたる理由もないが冷戦はじまる。冷戦ノイローゼは1980年代(ソ連崩壊?)まで続く。
1960 安保反対運動は、皇太子成婚と親王誕生によって勢いを失う。
不明 おそらく第二次大戦後の民族自決の動きにより、民族を超えた超大国家、アフリカという国が建国される。
1962 小塚原の死者の祟りで、なぜか回向院の近くの南千住ではなく、隣の三河島駅で列車事故が起きる。
1963 アメリカでロバート・ケネディ大統領が暗殺される。
1966 アメリカ政府はベトナム戦争を正当化するため、宇宙人が地球の紛争を解決するドラマ「ウルトラマン」を円谷プロに制作させた。
1966 P.K.ディックはベトナム戦争まっただ中に、ベトナム戦争の後遺症にあえぐアメリカ社会を背景に「追憶売ります」を書いた。
1996 イギリス、ダンブレイン小学校銃撃連続殺人事件。犯人のハミルトンは事件前、ビクトリア女王(この年178歳)に手紙を送っている。
2000 なぜか一般より一年早く21世紀が到来。
2007 このとき、中国の人口は130億とも150億とも言われている。


9月1日(木)
 マット・スカダーのことを「必殺仕事人」と表現したことがあるが、あのキャラクターを日本で再現するとしたら、やはり現代だと荒唐無稽すぎ、時代劇にしかできないんじゃないだろうか。
 その時代の不安を体現した人物、人間的な弱さをもちながらもその時代に立ちむかう人物……となると、連想するのが必殺シリーズ「暗闇仕留人」に登場した、石坂浩二演ずるところの糸井貢。蘭学者崩れの殺人者。妻を愛し妻を殺された復讐に生き、社会の滅亡が見えていながらもその社会を捨てることのできない男。最後は自分の弱さゆえ、殺人に失敗して滅んだ男。
 そう、私がミステリに不満をもつとしたら、どうして人間的弱点をもつ探偵が、その弱点ゆえ滅びることもなく、のうのうと長生きしてしまうのか、という、その一点なのだ。

 しかしメグレものの本は古本価格高すぎるだろ。早くどこか復刊してよ。


8月25日(木)

俺は四番だぞ
ちょいとそこらの クリちゃんや
アタマ使わぬ バカなハタケとは
比べてもらっちゃ困る
得点チャンスを 潰しとけ
セ界の希望も 潰しとけ
あした結果見て
アラ驚くな ムラ驚くな
失格だとぬかすなよ……ごきげんよう

俺は四番だぞ
広い甲子園 発火米
ズムズムスタや 東京ドームでも
好球凡打でござる
いただきましょうか ゲッツーを
失敬しますよ 三振で
敗戦処理だって
アラちょちょいのちょい ムラちょちょいのちょい
ああ今夜もひねられる……ごきげんよう

俺は四番だぞ
狙いつけたら無死満塁
たとえ三塁に 俊足のランナー
不可能などあるものか
細工はりゅうりゅう 無得点
嘆きのがっかり ごろうじろ
たとえ投手が
アラ抑えても ムラがんばって
ああ0点に抑えても……ムエンゴよ〜


8月24日(水)
アル中探偵とヘビースモーカー探偵。
 というと、昔ネオ・ハードボイルドと呼ばれていたジャンルの、ローレンス・ブロック書くところのマット・スカダーと、ビル・プロンジーニ書くところの名無しの探偵である。
 ネオ・ハードボイルドと呼ばれたジャンルは、以前のマイク・ハマー流の強すぎる主人公に対する反省と、事件だけでなく探偵の内面も書くという目的から、やたらに弱点を持った探偵を輩出した。マイクル・コナリー書くところの閉所恐怖症刑事ハリー・ボッシュ、ジョゼフ・ハンセン書くところのホモ探偵デイブ・ブランドステッター、ロジャー・L・サイモン書くところの学生運動崩れ子煩悩探偵モウゼズ・ワイン、マイクル・コリンズ書くところの隻腕探偵ダン・フォーチュンなどなど。
 その中でも代表格なのが、酒に溺れて家庭崩壊しホテルで寝泊まりするマット・スカダーと、煙草を吸っては咳をしながら肺ガンの恐怖に怯える名無しのふたり。
 マット・スカダーは、警官時代に誤って少女を射殺したことがトラウマとなり、酒びたりとなって警察を退職、探偵としての業務もままならない。妻子とも別れてホテル暮らしをしながら、AA(アルコーリック・アノニマス。アルコール依存症の互助会のようなもの)に通う合間に、ライセンスのない探偵として「友人の依頼」を受け、日銭を稼いでいる。
 名無しも警察官出身。こちらは一家惨殺のむごたらしい死体を見たことで退職を決意し、ライセンスを取って探偵事務所をかまえている。私立探偵もののパルプマガジン蒐集が趣味で、恋人にはパルプマガジンのヒーロー気取りで探偵稼業をしていると非難され、別れるはめになる。ヘビースモーカーで、肺ガンの恐怖におびえながらも煙草を手放せない。

 このふたりには奇妙な共通点が多い。
 第一の共通点は、ふたりの売りである弱点がさっさと解消されてしまっていること。
 マット・スカダーのシリーズはたぶん16作。すべてハヤカワと二見書房で邦訳されている。このうち酒を飲んでいるのは、「八百万の死にざま」までの5作と、過去の思い出を語る「聖なる酒場の挽歌」をあわせて6作にすぎない。あとはひたすら酒を断ってAAと教会に通っているだけだ。酒をやめるのとほぼ同時に知り合った娼婦とは実質夫婦となり、彼女は娼婦稼業から足を洗って美術商となり、あとはハッピー一本槍の人生である。ちなみにこの作者は美術商大好きらしく、サブキャラのヒモも美術商に商売替えする。
 名無しの探偵シリーズは、邦訳最新作「幻影」の解説によると全部で29作あるらしい。そのうち邦訳は新潮文庫で7作、徳間文庫で9作、文春文庫で1作、講談社文庫で2作。このうち、名無しが煙草を吸いながら肺ガンの恐怖におびえているのは最初の4作にすぎない。失恋も最初の2作だけで、7作目の「脅迫」で生涯の恋人―こちらは作者好みのパルプ作家の娘―と巡り会い、あとはハッピー一本槍の人生である。
 したがってこのふたりは「元アル中探偵」「元ヘビースモーカー探偵」と呼ばれることも多い。
 名無しがハッピーになるのに双曲線のようにアンハッピーになっていくのが、友人のエバハート。名無しがぼっちの癌ノロ探偵だったとき、愛妻をもつ警部補だったエバハートは、名無しが癌の恐怖を克服し、恋人にめぐりあい、幸せになっていくのと同期するように、妻に逃げられ、ひどい女に引っかかり、賄賂を受け取り、警察を退職し、酒に溺れて仕事をほったらかし、探偵としてのモラルも失い、最後は自殺するというひどい人生曲線を辿ってしまう。正直、これがあまりに露骨で後味が悪いので、徳間文庫の後半と講談社文庫はおすすめできないのだ。
 あとは些細な共通点だが、マット・スカダーは恋人の娼婦、名無しは最初の恋人によく「老いぼれ熊さん」という愛称で呼ばれている。年齢はどちらも最初の作品が40代後半で最新作だと60代、風貌も似ているのかもしれない。
 名無しの探偵はライセンスを持って探偵としての職務を守るが、マット・スカダーはライセンスを持たず友人のために捜査するので、しばしば殺人や証拠隠滅などの犯罪行為に走る。巻を追うごとにそれがエスカレートしてきて、しまいには探偵というより、のさばる悪を成敗して尽きせぬ恨みを晴らす必殺仕事人みたいになってくる。そこで生じた奇妙な共通点がある。マット・スカダーが「死者の長い列」で犯人に対して行った私刑は、名無しが「報復」で犯人にされた仕打ちにそっくりなのだ。

 両者とも執筆は1970年代からなので、初期の作品背景はさすがに現代から見ると古びている。
 マット・スカダーの世界では、探偵はポケベルで呼び出され、テレフォンカードで電話を掛ける。レンタルビデオで借りた映画を家で鑑賞する。翻訳当時は「こういう時代がそのうち日本にもやってくる」と解説に書かれていたが、今では「なにその20世紀」という感想しかない。
 さらにマット・スカダーも名無しも、コンピュータというものに万能感を抱いているらしく、ハッキングや検索で出てこない情報はないみたいな扱い。これもやはり20世紀の夢だったんだろうな。

 このふたつの探偵シリーズ、どの本を読むのがいいか、おすすめの言葉を選ぶのが簡単なことも共通している。
 マット・スカダーのシリーズは「どれを読んでもいいですよ」。どれを読んでも水準以上で、今のところハズレがない。退廃的な雰囲気が好きなら、アル中時代の「過去からの弔鐘」「冬を恐れた女」「八百万の死にざま」「暗闇にひと突き」、猟奇殺人が好きなら倒錯三部作こと「墓場への切符」「倒錯の舞踏」「獣たちの墓」だろうか。あえて一作なら、やはり主人公がアルコール依存を認めた分水嶺的な作品、ハヤカワ文庫の「八百万の死にざま」だろうか。
 名無しの探偵についても簡単で、「古本屋で新潮文庫を探して読みなさい」。このシリーズは文庫によって作品の水準がはっきり分かれる。新潮文庫の長編はすべて面白い。ただし初期作品「誘拐」「殺意」「失踪」と「死角」の間には徳間の「暴発」、「脅迫」と「復讐」の間には徳間の長編3冊分のギャップがあるので、なんでこの人は咳で悩まなくなったんだろう、なんで雰囲気がえらく明るくなっちゃったんだろう、と戸惑うかもしれない。徳間文庫になると「骨」みたいな佳作もあるがちょっと薄味になり、講談社文庫になると正直、惰性で読むだけになる。
 ちなみに新潮文庫の短編集「名無しの探偵事件ファイル」は、長編とがらりと作風が変わり、古き良きトリッキーな探偵小説のおもむきがあるので、ハードボイルドが好きな人にはちょっとおすすめできないかも。さらに、のち長編化している作品も2つあるので、長編をひとわたり読んでからのほうがいいかな。この短編の登場人物がのちに長編にも登場するという楽屋落ちもあるし。


8月23日(火)

(ヨバンノサー)
埋まった塁は 逆転のチャンス
優しく潰して くれとねだる
瞳の奥に 走者を遺して
淋しく転がす セカンド正面
男には 自分の辛いがある
たとえるなら 空を切る ひとすじのスライダー
(ヨバンノサー)
孤独な笑みを テレビに晒され
ファンが泣いている 四番の美学


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