くだらな日記(2009年9月)


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9月28日(月)
 昨日のクイズ番組(それにしてもなんだって、同じような趣旨のクイズ番組をよりによって同時間に放映するのかねえ)で「面積最小の都道府県は香川県」というのが出てきて、あ、あれ?と思ったのだ。昭和42年発行の「これが日本一」では大阪府と書いてあったからだ。
 で、ぐぐってみると、昭和63年に国土面積の見直しが行われ、従来香川県に属するとされた直島諸島の井島(島の約1/3が岡山県、2/3が香川県とされた)などが境界未定地域として香川県の面積から除外されたため、大阪府に抜かれてしまったらしいのですな(平成元年に関西新空港が建設され、大阪府の面積増で抜いたという俗説は間違いらしい)。嗚呼。自然地理くらいは昔の本でも大丈夫だろうと思ったら、とんだ間違いだったか。
 (ちなみに小笠原諸島が返還された昭和43年までは、東京都が面積最小だったそうです)
 私は以前、「あんな小っちゃな藩が県になるのは無理なのに、大隈や副島など佐賀藩出身者がゴリ押しで佐賀を県にした」という司馬遼太郎の言葉を真に受けて、佐賀県が日本最小だと信じていました。

 その翌年、阪神は堕ちた。
 岡田彰布の最期は、明確に語ることができない。Bクラス確定の時には、彰布の姿が球団になかったことだけはたしかである。
 諸記録によれば、岡田彰布は巨人に13ゲームの差をつけて逃げのびた。しかしシーズン終盤になると追いつかれ、平成20年10月21日退団した。
 それを信じてもよい。
 が、神戸のパリーグ球団で監督となり、球団本部長とともに暗黒をつくった、という伝説を信じてもよい。
 さらに、記録よりも、中村勝広の暗黒力を信じるとすれば、この長い物語もまた、暗黒伝説によって幕を閉じるべきであろうか。


9月27日(日)
 昨晩は水沢めぐみ先生の漫画家生活30周年パーティに出席。
 そこでお祝いの辞を述べるとともに、「姫ちゃんのリボン」が他の漫画家によってリメイクされる話にふれ、「少年漫画はリメイクって多いけど、少女漫画でリメイクって、日ペンの美子ちゃん以来じゃないですか?」と聞いたら、「いえ、一条ゆかり御大の作品が……」と伺った(「御大」だったか「先生」だったか、使われた言葉をはっきり覚えていない)。
 そのときは詳しい作品名等忘れてしまったのだが(酒も飲んでないのになんという記憶力のなさ)、きょう検索してみると、一条ゆかりの「日曜日は一緒に」を「マリア様がみてる」の長沢智がリメイクする話だったようです。
 しかし80年代後半や90年代の作品を「現代風にリメイク」って言われると、オジサンにとってはショックですなあ。ついきのうの話のような気がするのに。
 まあ、あのころは子供が携帯電話持ってない、当然メールで連絡なんてできない、DSがなくてゲームボーイしかない、大人が普通にタバコを吸っていた、テレビが液晶や横長じゃない、iPodがなくてウォークマンしかない、衛星放送がない、トップアイドルが酒井法子で次点アイドルが宍戸留美だった、ソフトバンクホークスや楽天イーグルスがない、プロレスリングノアがない、K−1やPRIDEなど総合格闘技がない、地球温暖化問題がない、ホモ・フロレシエンシスが発掘されてない、幸福実現党がない、オウム真理教がある、等々、大きな違いがあるんで、漫画もそれにあわせて行かなきゃいけないんでしょうね。
 果たして連載中の「姫ちゃんのリボン」にノゲイラや幸福実現党が登場するのかどうかは定かではありませんが。たしか水沢先生版の「姫リボ」にも四番桧山や麻原彰晃は登場してなかった気がします。

 千葉ロッテマリーンズのサポーター集団がライトスタンドに「瀬戸山、石川、米田全員死刑」とか球団批判を書いた横断幕や垂れ幕を掲げ、それを西岡がインタビューで「この球場には、野球が好きな子供たち、野球選手に憧れている子供たちもいます。大人になったらこんな雰囲気の中でプレーしたい、そう思って頑張っている子供たちもいます。そんな子供たちの夢を壊さないでください。本当にロッテを愛しているなら、横断幕を下げてください」と自粛を求めたら、さらに凶暴化して西岡を名指しで罵倒した横断幕を晒して西岡の打席では応援ボイコット&ブーイング、見かねたオリックス応援団が西岡の応援に合わせて太鼓を叩き、トランペットを吹いた(オリックスファンって球界再編で揉まれているせいか、いい人たちだなあ)という異常事態になっているわけだが。
 まあ、フロント批判、球団批判や監督批判、選手批判はどこのファンだって思ったり言ったりするもんだけど。ていうか、スポーツのファンでその手の不満がまったくない人の方が珍しいだろう。
 普通の人は思っても、茶の間や居酒屋で言うだけにする。馬鹿な人は、私のようにWeb日記に書いたりする。もっと馬鹿な人は、球場でそれをやっちゃう。馬鹿のレベルが上がるほどに、より公共の場に近いところ、不特定多数を不愉快にさせるところでそれをやっちゃう。意味不明な右翼の街頭宣伝と同じで、「自分の言いたいこと」が肥大して、「他人の迷惑」に優先すると信じちゃうんだよね。本当の確信犯。本人は悪いと思っていないだけにタチが悪い。
 私も考えてみればひどいもんだよなあ。真弓監督を無能呼ばわりはともかく、「岡田以下」とか「打順失調症」とか「継投性痴呆」とか「(新井はそのうちに)うつ病」とか、「大化の次の年代」とか罵倒し続けているわけだから。でも、ダメ監督だとは確信を持っているんだよなあ。


9月25日(金)
 最近、白洲次郎を賛美する本やテレビが出ている理由がよくわからない。白洲はいわゆる通訳政治という、GHQの命令を、ときには自分の恣意をまぜながら、居丈高に大臣や総理に通告するという弊風の代表的人物であり、また親しい吉田茂(白洲は吉田の娘と実業家麻生多賀吉の結婚媒酌人をつとめた。ふたりの間に生まれたのが前総理麻生太郎)とつるんでGHQに運動し、鳩山一郎の追放解除を故意に遅らせたという罪状もあがっている。そんな人間が、なんで立派な人であるものか。


9月22日(火)
 昨日、木村秋則の本を2冊、「奇跡のリンゴ」(石川拓治筆:幻冬舎)と「すべては宇宙の意志」(東邦出版)を読んで頭に来てしまって、みくしとアマゾンにボロクソな書評を書いてしまったのだが、一日たって少し落ちついてくると、いろいろ考えられるようになってきた。
 木村さんは悪い人じゃない。それはたぶん確かだと思う。ただ、批判的精神がほぼゼロに近いし、頭が一方向に突っ走っちゃうと行ったきりで帰って来れない人だね。トンデモな人によくありがちで、「植物さん」の三上さんや、「UFOまもなく飛び立つ」の清家さんに似たパーソナリティの人だと思う。悪い人じゃないが、言ってることややってることが無茶苦茶。
 ふつうなら試行錯誤する前に、ちょっとは農学の勉強をして、リンゴ作るならリンゴ栽培について書かれた本や論文を、図書館なり研究センタなりに行って調べると思う。ところがこの人は、福岡正信の「自然農法」って本一冊で突っ走っちゃった。たぶん他の本まったく読んでない。農家でありながら、「特定農薬」という言葉を、まったく逆の意味に誤解してるくらいだもん。エロ同人誌の人が、「児童ポルノ法」を、幼児に性的猥褻行為をするアニメや漫画をもっと作れ、という法律だと思っている、というくらいありえない。
 まあ要するに「頑固者」かつ「突っ走る人」なんだろうね。宗教家なら妻子に食うものも食わせずに、ひたすら自分が正しいと思う教義を布教して回るタイプ。天理研究会、今じゃほんみちだったっけ、創始者の大西愛二郎がそんなタイプだったらしいね。軍人なら乃木希典なのかな。軍旗を守ることで頭がいっぱいになっちゃって、戦闘の勝ち負けなんかどうでもよくなっちゃったり、203高地を攻めるのに歩兵の投入以外考えられなくなっちゃったり。
 普通ならそういうタイプは、失敗を繰り返し続けて一生を終わるんだが、この人は最後の最後で当てた。いや、本当に当てたのかはよくわからん。今年のリンゴの収量は惨憺たるもので出荷できないらしいし、リンゴそのものも「信じられないくらい美味しい」どころか、「小さくて酸っぱくてスカスカで、鳥も食わない」と言う人もいるそうだし。でも、NHKと幻冬舎が、とにかく成功したことにしちゃった。マスコミが成功といえば今の世の中、それは成功。講演1回すればリンゴ園の一年分くらい儲かるし。
 一番の悪は、こういうじいさんを持てはやして舞い上がらせちゃったNHKと幻冬舎だと思う。おかげで木村のじいさん、トンデモに磨きがかかっちゃって、私をマンダラの霊体が守護しているとか宇宙船に拉致されたとか地球の終わりが近いとか、もう言いたい放題。これ、たぶん幻冬舎が煽って言わせてるよ。オカルト本でもっぺんベストセラー出すつもりなんだろな。
 あと罪深いのは茂木健一郎ね。どっちの本にも推薦したり前文を書いたりしてるけど、デタラメと知って金のためにやってることだから、タチ悪いよなあ。悪辣だよなあ。死んでくれないかなあ。

 きょう、うちのベランダの植物(なにか知らない。母親が植えていった奴。サイカチに似ている)に虫がたかって、葉を食い散らして、ハンモックのような巣を作っていました。迷わずホームセンターに行って殺虫剤を買い、まんべんなく噴射しておきました。


9月16日(水)
 秀太の生涯を、ややいたわりの目でみると、それは和田や今岡という大風景の中の点景にすぎなかったということであろう。
 秀太は、真弓のようなスター偏愛主義の男を、性格として好まなかったであろう。しかし阪神の監督が真弓続投に帰したことを知ると、引退を発表してしまい、もとの隠居にもどった。このあたりの進退のあざやかさは秀太の性分とはいえ、それ以上に、野村監督が根付かせようとしていた野球的合理主義の論理そのままであり、やがては岡田真弓体制のはじまりで衰弱していったものとも考えられる。秀太の論理的引退という、滑稽感さえともなうあざやかさは、同時に、一時代の終了という象徴性をも感じさせる。秀太はなるほど生涯、野球の脇役にすぎなかったが、しかしその意味でえもいえぬおかしみを感じさせる点、甲子園で別れたあとも余韻ののこる感じの存在である。友人にもつなら、こういう男を持ちたい。


9月15日(火)
 「晴れた空にくじら3 浮鯨のいる空で」(大西科学:GA文庫)を読む。途中まで読んでいて、てっきりラストは、

「峰越船砲手が露鑑に用がありとすれば、斬り込みにゆくだけよ」

 雪平。
 奉天で死んだ。
 それ以外はわからない。明治四十五年の青葉のころ、奉天のラマ寺にクニの供養料をおさめて立ち去った男がいる。ラマ僧が故人との関係をたずねると、男は滲みとおるような微笑をうかべた。
 が、なにもいわなかった。
 雪平であろう。
 この年の初夏は奉天に黄砂が降ることが多かった。その日も、あるいはこの寺の石畳の上に薄くこまかい砂が降りつもっていたように思われる。

 ということになるのかと思って期待、いや心配していました。


9月14日(月)
 久しぶりに中野に寄る。
 中野ブロードウェイの右脇道にあるラーメンの有名店「青葉」でラーメンを注文。時間外れなので行列もなく入れる。鰹節がほどよく効いたスープと、箸で触っただけで崩れそうなくらいにとろとろに煮込んだチャーシューは以前と一緒。全体的なほどのよさがいい。戸田公園近所の「茅根」みたいに自己主張たっぷりの鰹節スープも、それはそれで好きだが。

 中野ブロードウェイに入り、本屋「タコシェ」で「唐沢俊一検証本―盗用編―」を購入。これが目的だったのだ。「タコシェ」はサブカル系とでもいうのだろうか、復刻した貸本漫画や漫画家・挿絵画家などの評伝、画集などを置いている店だが、その店の入り口平積み、いちばん目立つところに「唐沢俊一検証本」は置いてあった。よほど売れているのだろうか。裏表紙のG子のイラストを見て「風雲ライオン丸」を連想したのは私だけでいい。獅子丸と錠之進のダブルだね。
 読んでみると、事件別に時系列を追って再構成されているぶん、サイトよりわかりやすくなっている。しかし考えてみると秀吉ってボロクソだな。唐沢には信長に鞍だけ贈ったことにされたり座敷いっぱいに膨れあがらされたり重眸にされたり、シグルイでは指6本にされたり。私が台湾で買ってきた「好児童励志叢書・豊臣秀吉」みたいに、素直に立派な功績を挙げた偉人だけでいいじゃないか。
 ちなみに秀吉が信長に贈ったとされる「國久御太刀」だが、家にある「日本刀辞典」(得能一男)によると國久の銘があるのは応永(室町時代中期、足利義満から義持にかけての時期)の越中鍛冶、宇多國久しかいなかった。唐沢俊一が書いている「備前長船」とはなんの関係もない。(これは検証済みだったっけかな)
 「検証本」を読んでいてふと思ったこと。今は商業出版の本でも参考文献としてサイトのアドレスを表記することが多くなっているのだが、本に書いてあるアドレスをキーボードで叩いて接続する手間がめんどくさい。いっそ商品の懸賞などでよく付いている、QRコードをアドレスと一緒に印刷して、パソコンに接続したスキャナかデジカメで読み込ませるとサイトに辿り着くシステムにすればいかがだろうか。

 「検証本」の隣に、ジョージ秋山の「銭ゲバの娘 プーコ/アシュラ完結編」があったのでこれも購入。「プーコ」は作者本人が「失敗作」と語っているだけあって、導入部が面白いわりには唐突に終わってしまう。
 「アシュラ」は未読なので、あらためて買おうと思う。巻末の「ジョージ秋山ロングインタビュー」によると、幻冬舎文庫で売っている「アシュラ」は最後の40ページほどがカットされていて、ぱる出版から出た本だとそれが収録されているそうだ。
 さっそくアマゾンでぱる出版版アシュラを探してみたら、下巻だけえらく高値がついていた。まったくマニアって奴は、俺が知ってるようなことはとうにご承知だから嫌いさ、ぷんぷん。


9月10日(木)
 映画見耄碌。
 台北からの帰りの飛行機でXメンシリーズの「ウルヴァリン」を見ました。相変わらず、くだらない発想をシリアスっぽい映画にまとめるのが上手いなあ。
 主人公が改造手術され、記憶を消去される寸前で逃げ出すのは「仮面ライダー」を思い出しました。
 殺されたはずのヒロインが実は敵方のスパイだった、ってのはよくある話ですが、死んだと見せかけるために「血圧降下剤(だったっけ)を飲んでいたのよ」と語るところではヤマトの沖田艦長を思い出しました。そのあとまた殺すところがハリウッドだなあ。しかもその屍体を、特殊銃弾で脳髄を撃ち抜かれ、細胞は再生したものの記憶を失った主人公が「いや……知らない」と言い放つし。
 とりあえず目隠しをしていないと、目からところかまわずレーザービームを放ちまくる少年が、物騒すぎて笑えました。


9月9日(水)
 台湾に行ってきました。と思ったら大西さんが韓国へ出かけるそうですね。いや、私のは遊びでしたが。
 私が外国に行ってる間は阪神が負けるというジンクスはどうなったのでしょうか。聞けば金村が阪神初勝利で号泣というではありませんか。林は活躍が一日早ければ台湾ニュースで報道してくれたかもしれないのになあ。
 台湾人の末裔が日本の政府に入閣かも、と騒いでいましたが、どうやら蓮舫だったようです。


9月1日(火)
 引退のとき、まわりの者に、
 ドウカ、タノム。ミンナデ、イマオカ、ウラァ、と喚んでくれ。
 と、小さな声でいった。まわりの者は何のことかわからず、不覚にも沈黙で酬いてしまった。
 今岡の生涯は、いつも浜風のなかにいた。この日も鳴尾浜に浜風が吹いていて、大阪から甲子園に乗り出していく阪神電車が見えたが、夕刻、その風に送られるようにして世を畢えた。


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