くだらな日記(2002年4月)


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4月28日(日)
 「金日成長寿研究所の秘密」(金素妍:文春文庫)を読む。
 はじめこの本は偽書ではないかと疑っていた。基本的な事実の誤認が多すぎることと、作者の生い立ちが面白すぎることが理由である。
 事実誤認でいうと、たとえば他の北朝鮮出身者がこぞって認めている「喜び組」の存在をこの人は認めない。また白キキョウとケシを交配して麻酔作用のあるキキョウを作ったなどということを書いているが、これはおそらく北朝鮮でケシを白キキョウと偽って栽培していることを誤認しているのだろう。もっとトンデモないことには、「洗脳とは、文字通り脳を洗うことを意味する」などと書いている。いくら北朝鮮でも、そんなことしたら生きていられません。
 また生い立ちが凄すぎる。革命家のエリート一家に偽装入籍して平壌医大を卒業し、医者として活動するが、どういうわけか金日成高級党学校に入学させられ、工作員としてスパイの訓練を受ける。ところが上司に逆らって睨まれ、麻薬を飲まされて眠っている間に裸にされてその写真をばらまかれ、ふしだらな女として投獄、拷問される。脱獄して中国に逃げ、浮浪者のような生活を送った後、韓国に亡命、いまに至る。こんな話が信じられるだろうか。
 しかし読んでいくうち、この話の真偽はともかく、北朝鮮の人間が書いた本だということだけは信じられるのではないか、と思うようになった。日本人や韓国人が嘘を書くなら、もっともっともらしい嘘をつくだろう。
 そういう視点で見ると、いかにも北朝鮮出身の、狭い社会しか見てこなかった人間が書きそうな本だ、という気がしてきた。
 この人、金日成にはいまだに忠誠心を持っているという記述があるが、偽書ならもっと金一族を憎んでいるように書くだろう。また、医者と言ってもこの人は漢方薬とツボ治療程度を知っているだけで、マッサージ師程度の知識しか持たないらしい。
 狭い社会で限られた教育を受け、幼少期に植え付けられた固定概念から抜けきれないオールドミス。知らないと言う勇気を持たず、未知のものはなかったことにする、いこじな中学教師のような人柄。自分の人生をドラマティックに脚色し、悲劇のヒロインになった気分にひたる中年女。そういう人物像が、この本から見えてくる。


4月24日(水)
 ついに長州力が新日本プロレスを退団。来るべきものが来た。


4月23日(火)
 別にどうということないんだけど時代感覚と語感だけでみょうに忘れられない人名、というか人名と役職名の組み合わせがある。私の世代だと、たとえばヤマニ石油相とか。ヤマニ、というなんとなく日本人っぽい名前と、石油相という日本人にとっては意外な役職との組み合わせ、そして当時の新聞にやたらに出ていたことからなぜか覚えてしまっている。旧ソ連のシュワルナゼ外相とかグロムイコ外相というのもなんとなくいい。チッチョリーナ議員というのもなぜだか覚えている。なぜだか、というのは嘘で、これを覚えているのは雄だから。ウ・タント国連事務総長、というのはビートたけしがよくネタにしていますね。ノテウ大統領というのも、なんとなく変な名前だよなあ。変な顔というと、イラクのラマダン外相だったっけ。ひとふでがきで描けそうな顔。


4月21日(日)
 きのうの体調不良は風邪の前触れかも。リンパが腫れたのか顎の両側が腫れて、顎を動かすと痛む。かといって食欲にまったく影響しないのが困ったところなのだが。

 戦火に包まれたパレスチナでふらふらと観光していた日本人ナカノユウジ(28雄)とタカハシミナ(年齢不詳雌)が、こともあろうにパレスチナ人が籠城してイスラエル軍が銃撃を加えている聖誕教会の前でのんびり「地球の歩き方」を広げているところを保護された事件。全世界が呆れ返っております。「六ヶ月間旅行していたので、パレスチナがどうなっているか知らなかった」との弁。典型的バッグパッカー、いやバカパッカーと言うべきか、の行動ですな。ひとりでいろんな国をふらふら歩き回るのを自慢にしているくせに、その国の事情や常識や慣習をまったく知ろうとしない。ビザの延長や航空券の購入などに妙に悪ズレしてるくせに、根本的な常識と人に対する礼儀がない。せっかく旅行しているくせに博物館や美術館で知識を手に入れる気がなく、かえってそういう行動をバカにしてすらいる。だいたい半年旅行していて新聞をまったく読んでいなかったのかあんたら。ネットカフェに行けば日本語の使えるパソコンもあるだろ。それもできなきゃあんたらのお得意のドミトリー宿で同宿者に聞けばいいだろ。どうにも理解できない。しかしこれでまた2ちゃんねるあたりでは「やっぱりバッグパッカーは馬鹿ばっかり!」というスレッドが乱立するのだろうな。


4月20日(土)
 野球がいやになったのでサッカーを見に行く。
 新聞屋さんから大宮アルディージャのチケットをもらったのだ。サッカーの試合を見に行くのは初めてだ。なんか気後れがするというか、怖いというか。だってサッカーのファンって阪神ファンより凶暴だと聞くし。顔に蛮族のようにペンキを塗ったくっていると聞くし。すぐ裸になって踊ると聞くし。応援しないと殴られると聞くし。女を見れば犯すと聞くし。軍人も一般人もみさかいなしに殺すと聞くし。
 相手はセレッソ大阪。かつてはJ1で優勝争いをしたこともあるチームである。なんだか、むかし有名だった歌手が酒場で流しているというか、かつてチャンピオンだったボクサーが暴力団の用心棒をしているというか、そんな見てはならないものを見る気分である。
 大宮から歩いて二十分ほど、氷川神社に隣接した大宮公園サッカー場は、木々にかこまれたなんか牧歌的な球場でした。ファウルエリアがひじょうに狭く、ボールがすぐ跳ね返るので、ボールボーイが暇そうにしている。実に牧歌的である。
 入場するときに応援用ボードとビニール製の応援用ポンチョみたいなものを貰う。メンバー表も自由にもっていっていい。なんとも牧歌的である。これが阪神だったらメガホン五百円、ハッピ三千五百円、メンバー表だって二百円で売るぞ。
 客席はほぼ満員。一般入場者席はふさがって座ることができず、やむなくセレッソ側のサポーター席と称するバックネット裏、じゃないゴール裏のはじっこに座る。きゃあ犯されたらどうしよう。ここは立ち見の席だと係員が叫ぶが、みんな座って見ている。いかにも牧歌的である。さいわいセレッソのユニフォームを着たファンはいたが、蛮族のようなペイントレスラー、じゃないペイント観客はいなかった。裸になって踊っているファンもいなかった。
 ユニフォームを着て前の席に座っていた三人娘は大阪から来たセレッソサポーターらしく大阪弁を駆使する。たまにセレッソのチャンスになると立ち上がって応援するのだが、「なあ、こんなんするんやったら最初っから立ってたほうがええんちゃう?」「えー、ややわしんどいし」「立ってると足太くなんねんで」「そやけどいちいち立つのめんどくさいやんか」「今日はあんまり立たひんから大丈夫やで」「それに立ち上がると腹筋運動になるしな」「お腹へっこむかしらん」となんか身も蓋もない牧歌的な会話。大丈夫か大阪娘。何しに来た大阪娘。
 試合はなんとも牧歌的に進み、互いに無得点のまま引き分け。「緊張感のない試合やったね」「やる気ないんちゃうか」などと大阪娘は不平をこぼしていたけれど、私はちっとも平気。点を取らない試合には慣れているから。それにしてもセレッソ大阪がJ2の雰囲気にとてもよくなじんでいたのが印象的だった。もう復帰しないほうがいいんじゃないだろうか。
 試合が終わってから氷川神社をうろつく。氷川神社というと勝海舟の「氷川清話」が有名だが、あれはこちらの氷川神社の分社にすぎない。境内は広く、なんだかいろんな神社がある。池のほとりに宗像神社があるかと思えば、その向かいにお稲荷さん。横っちょに碑があると思えば、それも一言主大神。他にもアシナズチテナズチやらアマテラスやら天神さんやらがある。海上安全、五穀豊穣、言行一致、夫婦円満、国家安康、学業成就、なんでもここで揃うわけだ。まさに神様のデパート、いや神様の総合商社。
 夕方から新宿に出ようと思ったが、球場でビールを飲んだら胃が痛くなったので中止して帰宅。寝て起きたら阪神勝っていた。やっぱり見ない方が勝つな。


4月19日(金)
 サーバ容量圧縮計画の一環として、古い日記をlzh圧縮してみました。あしからず。本当はアイドルのページも圧縮したかったのですが、ぜんぜん圧縮できていないので諦めました。画像ってこれ以上圧縮できないのね。アイドルコンテンツは削除か放逐しかないな。


4月18日(木)
 きょう本屋へ行ったら、阪神関係の本があふれていた。文庫が三冊、単行本が一冊(渡辺省三スカウトはなぜ死んだか、というやつね)、雑誌の増刊が一冊。さほど大きくもない本屋でこれだ。いま阪神人気をあてこんで本の出版を考えている編集者諸子、ちょっと出遅れたと思いますよ。GW頃に出版しても、そろそろ借金生活になっていて阪神ファン買う気にならないと思いますし。


4月17日(水)
 バインセオ(ベトナム風お好み焼き)に挑戦。
 ベトナムに行ったときに買った粉(米粉に香辛料を混ぜているらしい)があるのだ。これにココナツ粉末とターメリックパウダーを混ぜて水で溶いて生地をつくる。フライパンで豚肉とタコ(本当は海老を使うらしいが、ちょうど家にあったので)とニラを炒め、そこに生地をごく薄く流し入れる。生地が固まってきたところでモヤシとネギを上に載せ、蓋をして蒸らす。熱が通ったら生地の端がかりかりになるまで焼き、香菜をのせて半分に折り、できあがり。ヌクマム、レモン汁、唐辛子のタレにつけていただく。
 といえば簡単そうだがなかなか。生地を厚く入れすぎてお好み焼きのようにぼってりしてしまったり、薄く生地を入れていい具合にかりかりしてきたと思ったら破れて具がはみ出してしまったり。ベトナム料理店で出すような、生地はタコスのようにかりかりして中の具はしっとり、というようにはいかない。バインセオ道もなかなか奥が深そうだ。


4月15日(月)
 田舎からちらし寿司が宅急便で届く。料理教室で習ったレシピをこの前送ったら、それを参考にして作り届けてきたのだ。親が子に対抗するなよ。
 普通のちらし寿司ではなく、岡山特有の祭り寿司というやつだ。むかし岡山の殿様が倹約令を出して、今後岡山藩では一汁一菜のみとする、とおふれを出した。ひねくれ者の岡山人はこれに反発して、一菜ならいいんだろ、とばかりにありとあらゆる食材を放り込んでちらし寿司をこしらえた。これが始まりだという。
 というわけで岡山のお祭り寿司は品目の多さが命である。花見やお彼岸などのときに各家庭でこしらえて、みんなでいろんな家の寿司を分けあって食べる。このとき品目がいちばん多い寿司をこしらえた家が優位に立つ。負けた家は今後一年間、寄り合いでの発言権がない。というわけで岡山の各家庭は争って品目の多い寿司を作ろうと努力する。
 送られてきた寿司も多品目。寿司飯に椎茸、蕨、牛蒡、筍、干瓢、蕗を混ぜ、錦糸卵、蓮根、穴子の蒲焼、鰆、烏賊、海老を上に飾り、これに木の芽をあしらう。家の畑でできたものと、日生の漁港でとれたものばかりだそうな。もっとも卵は例外。
 やっぱり寿司飯は甘ったるくないくらいの上品な味付けがいい。鰆を軽く酢でしめたものがねっとりした歯触りでよろしい。


4月14日(日)
 鮎川哲也「黒い白鳥」を読む。鬼貫ものもけっこう買ったなあ。
 もともと鮎川哲也に興味はなかった。ただ、小林信彦の「オヨヨ大統領シリーズ」に登場する鬼面警部で、アリバイ破りを得意とするそういう名探偵がいるということだけ知っていたのだ。原典を読む気はなかった。
 ところがイタコ探偵というネタを思いつき、「中国ハイウェイバス507号」のアリバイトリックを思いついてしまったので、稚拙とはいえパロディを作るために原典を読む必要ができてしまった。
 そこで本屋を探し回ったが、そのころは鮎川哲也の文庫が払底していたのだ。やっと買ってきたら「鮎川哲也編」とあってまったく違う作家ばかりのアンソロジーだったり、古本屋を廻ってやっと見つけた本がキザな貿易商の推理だったりして腹を立てたこともあったが、ちょうどそのころから創元推理文庫で復刊がはじまり、簡単に手に入れられるようになってきた。読んでいるうちに面白くなり、ネタそっちのけで読みふけるようになってしまった。もっとも、トリックを当てようとしたことはない。注意力散漫な当方としては、作者がどういう具合に鮮やかな筆致でトリックを明かしてゆくのか、それだけが楽しみだ。
 それにしてもSFや推理の分野では、たとえ古典といえども容赦がない。周期的に書店から姿を消し、周期的に復刊される。ずっと本屋に棲息しつづけている作家は、SFではアシモフ、クラーク、ヴォネガット、星新一、筒井康隆くらいなものではないだろうか。推理ではクリスティと江戸川乱歩くらいか。とくに、若いPKディックの愛好家にはご同情さしあげる。なにしろ大量に出版されたサンリオSF文庫が廃刊になって、古本屋で目の飛び出るような高値をつけられているのだから。


4月9日(火)
 海の向こうでは開幕六連敗しただけでデトロイトタイガースの監督とGMが更迭されている。ロッテも他人事ではない。このさい、サブローの嫁の名曲、「どうぶつでんわ」をテーマにして球場の活気をとりもどしたらどうだろうか。

外人さんから 当たりが消えた
でっかいバットで スイングアウト
スカウトさんの ご用はなあに
新外人の ことでしょか
ハンセル、カーライル、マルティネス
ステアーズでもかまわない
ポール、ハッカミー、ロペス、メイ
クルーズでもかまわない

監督さんから 笑顔が消えた
ちっこい器で 情けない
フロントさんの ご用はなあに
新監督の ことでしょか
仰木、上田、権藤、長嶋
野村でもかまわない
平野、袴田、仁科、高沢
近藤明でもかまわない

 これでは活気が出ないか。


4月7日(日)
「ワイルド2は外の大海を知らない養魚池の養殖魚。そこがワイらと違う。あいつらが出てこないから、ワイらが外から網を破って来てやった」
 ノアのワイルド2とのタイトルマッチを前にした新日本の中西のコメント。どうやら力皇がZERO−ONEの大会に出たことを知らないらしい。そして中西の大海って、WCWでクロサワとかいう色物キャラをやらされていたことですか?
 中西はコメントをする語彙はあるものの、その発言によって自分がどう見られているかということがわかっていない、自分が見えていないたぐいの馬鹿だと思う。自己を見つめる能力はあるがそれを表現する能力のない大森と好対照。どちらもプロレスの組み立てができないことだけは共通しているが。
 ところでそろそろノアも、もう来ない小橋のことは忘れて高山エース時代を組み立てなければならないのではないか。秋山は小川ごとき軽量級に負けた罰則として半年間タイトル挑戦禁止。


4月6日(土)
 昨日は夕方からでぇと。相手は入籍間近の人妻同然。きゃあ不倫だわ。
 恵比寿ガーデンプレイスの麦酒記念館へ。閉館間際に行ったので、まずはドリンクコーナーへ。ホントは最後に行くところなのだが、博物館は飲食店や商店が先に閉まるのはよくあることだからね。ふたりとも試飲セットを頼む。やや小ぶりのコップに四種類のビール(グレープフルーツビール、ピルスナー、エール、あと何だったっけ? ちょっと苦み走った好みの味)が注がれて四百円。おつまみのビアプレッツェル付きでこの値段は安い。ビール中グラスも二百円だし。飲むためだけに来る価値は十分ある。味もまことによろしい。ひとつだけ、グレープフルーツの果汁を混ぜたビールがあって、人妻同然は「ママレモンの味がする」と言っていたが、そう不味くもなかった。上品に作ったカンチューハイ、という感じか。<あまりほめてない
 ずっとここに居座っていたかったが、そうもいかないので見学へ。コースを逆行し、立体映画や昔のポスター、麦酒ができるまでの工程を見て回る。
 人妻同然は退職も決まって雑文サイトに意欲を燃やしている模様。雑文祭主催にも積極的な姿勢で、「うっかり雑文祭」というのを開こうか、その際は「うっかり締め切りを忘れていた」「うっかりオチを付けるのを忘れていた」というのは禁止という厳しい縛りで、などと語っていた。
 その後恵比寿の「利ちゃん」という居酒屋で飲み会。ここは二回目だが、料理がうまい。「ばくだんだだん」とかいう名前の料理(違ってたっけ?)は、山芋千切りとネギトロとオクラと海苔を混ぜて山葵醤油で食べる。いかにもスタミナがつきそう。それにうまい。コロッケも拳骨くらいの大きさでほくほく。刺身もおいしゅうございました。
 人妻同然は離婚経験があるそうなので、それを利用して「離婚指南術」という裏ページを立ち上げようかなどと言っていた。慰謝料のふんだくりかた、家裁で夫をおとしいれる弁論術、巧妙に夫に責任を押しつけるテクニック、養育費の水増し術、などを具体的に教えようというのだ。もし実現したらメガヒットサイトは間違いない。いちおう男の立場から、「さらにその裏ページ『妻から逃げる百の方法』というサイトも開いてください」とお願いしてはおいたが。
 そしてカラオケへ。よく覚えていないが、某うどんとぷにぷに愛好家が当初アニメを歌わず、普通の歌ばっかり歌って「一般人のふりをするのはやめろ!」「そんなことでイメージアップしようなんて姑息なんだよ!」などと罵られていたような気がする。
 その後ラーメン屋で始発を待ち、若くて元気な人は某うどんとぷにぷに愛好家の家へ、うどんとぷにぷにの試食会に出かけていった。若くない私は家に帰り、それでもコンビニでスポーツ新聞を買うのを忘れずに、午後二時の阪神戦中継まで死んだように昏睡したのでした。

 まさか二十六年の歳月を隔てて、植草貞夫アナの仮想実況中継を聞けるとは思わなかった。小学生の時の仮想実況、いまだに覚えている。
「ピッチャー上田、キャッチャー田淵のサインに頷いてゆっくりと振りかぶった。上田、王に対して第六球、投げました。打った! 打ち上げたこれはセカンドフライ。セカンド中村、ゆっくりとボールを追って構えた、取った、取りました。阪神優勝! 一番先に飛び出してきたのは皆川ピッチングコーチ。上田と、上田と固く握手を交わしました。本当に嬉しそう皆川コーチ。両目に、キラリと光るものがあります。上田、みごとに王を打ち取って阪神優勝!」


4月4日(木)
「さていよいよ始まりました、プロ野球監督休養レース。各監督一斉にスタート! おおっと、いきなり中日の山田監督がスパート!」
「山田監督の場合、勝ってても敗戦処理の投手を投げさせる、100%打てそうにない大豊を代打で使う、など魅力満載の監督ですからねえ。なぜ阪急が山田を監督にしなかったのか、なんとなくわかりました。福本を監督にしなかったことといい、阪急の首脳陣は賢明でしたね。それはともかく山田監督、これからも順調に走ってくれそうです」
「しかし巨人の原監督もしぶとく追いすがる! 半馬身差で山田、原が激しく競り合う!」
「原監督の場合、あれだけ豊富な戦力がありながら二岡レフト、元木に代打斉藤など、常人では思いつかないことをしますからねえ。敗戦処理程度の選手しかいないから敗戦処理を投げさせる、大豊や山崎よりマシな選手がいないからしかたなく使うという山田監督と違って、いわばクロマグロの大トロでツナ缶を作るような豪快な馬鹿采配がいいです」
「さて大外から地味ながら横浜の森監督、ロッテの山本監督、ともに勝ちなしの五連敗といっきに差しにかかる!」
「森監督は去年も前半は順調にいっていたんですが後半息切れしました。さて今年はどうですか。山本監督はチーム力も最低だし、なかなかやりそうですよ。惜しむらくは山田・原のような采配ミスが少ないのですが、それは采配を振るったことがないからです。何もせず無為無策で泰然自若として負ける王者の貫禄がついてきました」
「おっとここでオリックスも五連敗、石毛監督もトップに肉薄!」
「石毛監督は采配ミスこそ目立ちませんが、クジでスタメンを決めたり奇行が目立つ人です。なんでもきのうの試合前にも選手を集めて『この不況の世の中、金もらって野球ができるだけ幸せと思え!』みたいな訓辞をしたらしいです。この人の場合も、監督にしなかった西武とダイエーの慧眼は讃えられてしかるべきですな。すでにかなり選手の信頼は失っていると思われますし、今後が楽しみですね」
「おっとここで日ハムの大島監督、退場第一号でトップに躍り出るか!」
「しかも退場した高代代理監督の采配で連勝ですからねえ。これでいっきに高代待望論が盛り上がってきました。案外このままいくかもしれませんよ」

 ……勝っているチームの傲慢ですごめんなさい。といちど言ってみたかった。


4月2日(火)
 AlterLiveにコラムを書きました。「プロ野球の七不思議 その5 〜移籍の謎〜」。片岡に幸あれ。第一打席は凡退。第二打席はヒット。


4月1日(月)
 みずほ銀行のオンラインシステムに不具合があったそうで。
 そういえばUFJ銀行も当初不具合があった。どうやら新銀行の立ち上げにオンラインシステムのバグは不可欠なようです。私は銀行の経験は皆無ですが、大企業のオンラインシステムに関わった経験はあるので、カバヤキの香りを嗅いだ程度ながら、なんとなく事情がわかる気がします。
 当節どこの会社も、システム開発の期間は短縮されています。平成元年頃に三年かけていた開発期間が、いまでは一年に短縮されています。ところが、開発手法はまったく変わっていません。
 むかし三年かけていた開発のスケジュールでは、おおまかにいって最初の一年はヒアリング期間です。この時期には、業務遂行者やオペレータ、お偉いさんなどに話を聞いて、どういう機能がもっとも必要とされているのか、なにが不可欠でなにがどうでもいい機能なのか、というのを決めるわけです。業務遂行者がとんでもないムチャを言い出したり、お偉いさんがいったんひっこめた意見を蒸し返したりして、ワイワイ言いながら意味もない堂々巡りをしているだけのように見えますが、これはこれで重要な期間なのです。すなわち、一年もワイワイやっていると、おおまかに必要とされる機能がどんなものかということが、誰の目にも見えてくるのです。そして一年も同じ話題を繰り返していると、誰だって疲れてきて、これ以上のイチャモンをつける気力がなくなってしまうのです。
 二年目はシステム担当者とユーザ側取りまとめ担当者とのあいだで、技術的な仕様を詰める期間です。三年目は実際にシステム構築を行います。
 これが一年に短縮されて、どうなったかというと。
 スケジュールは、ヒアリング三ヶ月、仕様の詰め三ヶ月、システム構築半年に切りつめられます。これが騒動の原因となります。
 すなわち、三ヶ月で論議を打ちきられたお偉いさんは、まだ元気いっぱいで言い足りないことが山のようにあります。従って、仕様の詰めを行っている最中にも、いやいやシステム構築の途中でさえ、いらん口を挟んできます。そのたびに開発現場は混乱し、ヘタすると開発を根本からやり直さねばならなくなります。
 そしてシステム開発が半分に切りつめられてしまい、開発者はかなり辛いスケジュールを強いられます。これをなんとかしようと、上長は人月の神話に頼ります。すなわち人海戦術です。とにかく人員を大量投入して危機を乗り切ろうというこの戦法は、たいがい失敗します。まったくの別部門から投入されてきた人員は、どういうシステムを構築するかという概念も持たず、何をしていいかもわからない、まったく素人同然だからです。たんに現場を混乱させるだけの役割を演じてしまいます。
 かくして失敗したシステムがリリース。オンライン不能。カード使用不能。ターゲットオン! 斬鉄剣オープン! というわけで。
 とりあえず新銀行のお客さんはカード利用明細と預金の残高と引き落とし金額に注意しましょう。うまいこと引き落としがされなかったりした場合は、黙っていれば分かりゃしませんって。


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