桃太郎字幕変

 A.D.1124年 5月1日
 穏やかな時代の末ごろ
 祖父は山へ芝刈りに
 そして祖母は川で洗濯
「おお 桃」
「なんと巨大な」
「持ち帰り 祖父に見せにゃ」

 祖父の家 粗末
「どうだ祖父」
「おったまげただよ
 デカいべさ」
「割る?」
「モチのロン」
「ああ 神様――」
「可愛い子供だべ」
「われらの子供に」
「びっくりしたなあ もう」

 十二年後
「桃で生まれた太郎よ」
「なんだい」
「鬼を?」
「そうだ」
「鬼など!」
「この団子を」
「団子を?」
「雑穀の団子」
「母親の味がする」
「パワーの源」
「我等が種族の」
「いただいとくぜ」

 エピソード1
 人に似た猿の掟
「太郎よ」
「君は?」
「猿」
「というと?」
「腰のものをよこせ」
「というと?」
「団子だ」
「団子を?」
「あなたに従う
 ただし――」
「ただし?」
「ギブアンドテイクだ
 その団子を」
「“ヤツら”を殺す」
「よこせ」
「いいとも」
「殿様」

 エピソード2
 犬の歯の怒り
「今 話せるのは 彼らが――」
「彼ら?」
「“角の一族”――」
「けったくそ悪い」
「ヤツらは強く
 凶暴で 血に飢え――」
「ブッ殺すだけ」
「あの海を越え――
 100マイルの彼方」
「今こそ」
「行くか」

 エピソード3
 時と空を翔ける尾長鳥
「団子を?」
「とうもろこし団子だ」
「くれてやる」
「イカすぜ」
「あんた 今日からおれのダチだ」
「鬼を退治せにゃ」
「鬼を?」
「英雄になれるかもだ」
「ますますイカす」

 決戦
 鬼の棲む島
「マイったぜ」
「イカれた野郎どもが やって来た」
「お灸を据えてやれ」
「このイカレポンチめ」
「チンポ吸いめ」
「ファックしろ」
「このプッシー知らずの
 マスかき小僧に――」
「ケツの穴に
 イチモツをブチこんでやれ」
「ケツが裂けて
 おっ死ね」
「クソッタレ」
「ボロ負けかよ」
「ウソだろ」
「マジかよ」
「おお ジーザス――
 赦してくれ」
「宝をよこせ さもなくば――」
「わかった」

 こうして 桃太郎は
 巨万の富を得たが――
 すべては 歴史の闇の中
 むかし むかしの物語――

字幕担当:戸田亜希子


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