阪神ダイエー化計画

 すっかり最下位の負け犬が板についた阪神タイガース。それにひきかえ、首位爆走中で悲願の初優勝間近のダイエーホークス。しかし、彼我の差は思ったほど大きくはない。向こうが通算本塁打1位の監督なら、こっちは2位だ。向こうがスパイ疑惑なら、こっちもサイン盗み疑惑だ。向こうはミッチェルに逃げられたが、こっちはグリンウェルに逃げられたぞ。向こうは田畑を放出して馬鹿を見たが、こっちは関川を放出して馬鹿を見たぞ。どうだ、まいったか。
 そこで阪神もダイエーにあやかって優勝を目指すべく、当局は以下の作戦発動を建言する。

1)坪井村松化計画。
 ダイエーの村松は95年に鮮烈なデビューを飾り、イチローと盗塁王を争ったが惜しくも破れた。しかし翌96年には見事盗塁王に輝く。ところが95年から3年連続の盗塁死王でもあり、その無謀かつ無意味な走塁が王監督に嫌われ、翌年以降盗塁禁止令が出され、さらに試合からも干されるようになり、今年はすっかり松中や柴原にレギュラーを奪われてしまった。
 一方、阪神の坪井は97年に鮮烈なデビューを飾り、広岡(元巨人)の記録を破る新人最高打率を樹立。しかし「ヒット打つと1塁に立って打率の計算してやがる」(野村監督談)姿勢が野村監督に嫌われ、次第にレギュラーの座を追われようとしている。
 ここはもう一歩踏み込んで、坪井を干してしまい、累に出たら一生懸命走る高波や曽我部にレギュラーを任せるのが得策かと思われる。待てよ、いっそ干された同士で村松と坪井のトレードってのはどうだ。阪神は走れる選手が欲しいし、ダイエーは打てる選手が欲しい。いいじゃないか。

2)今岡浜名化計画。
 ダイエーの浜名はデビュー当時はスラッガーとしても知られ、クリンナップの一角を担ったこともある。しかし今はすっかり貧打の内野手として8番か9番に定着。チャンス+浜名=三振かゲッツー、という数式がすっかり定着してしまった。
 一方、阪神の今岡もデビュー2年目の昨年こそ坪井との1、2番コンビ、もしくは3番バッターとして活躍したが、今年は開幕以降ずるずると打率と打順が下降。いかにもやる気なさそうなスイングと共に、すっかりチャンスブレイカーとしての活躍が認知されてしまった。
 この点では、計画は完遂されたと言ってもいいだろう。

3)阪神のフロントダイエーのフロント化計画
 王監督が「先発できる外人投手が欲しい」と訴えたのに外野手のニエベスを連れてきたダイエーのフロント。
 野村監督が「契約するときは立ち会わせて欲しい」と訴えたのに拒否し、英語もできない癖に代理人と交渉して変な特約事項でいっぱいの契約書にサインしてしまい、メイが「あと1週間休みたい」と電話してくると「オーケーオーケー、サンキュー」しか言えない阪神のフロント。
 無能さでは同じようなものに見えるが、ダイエーのフロントは嫌がらせでニエベスを連れてきた後に、ペドラザを連れてきてリリーフエースとして定着させ、ちゃんと仕事は果たしているのに対し、阪神のフロントは終始一貫無能である。横浜のスカウトほどでなくてもいい、せめてダイエーのフロント並みの仕事をして欲しい、と切望しているのは当局だけではないだろう。

4)野村監督王監督化計画
 ボヤキとイヤミのイメージがすっかり定着した阪神野村監督に対し、寡黙で高潔な人格者のイメージがあるダイエー王監督。しかし王監督もなかなかの性格の悪さを誇っているのだ。
 ゴールデンルーキーと言われた去年のドラフト1位・永井をノックアウトされても投げ続けさせ、半分泣きながらマウンドを降りた永井に「これでプロで通用しないことがわかったろう」と言って2軍落ちを通告したり。
 田畑がヤクルトに移籍後、別人のように活躍したのが悔しかったか、やたらに柳田、山田など元ヤクルト勢を起用する復讐心の強さを見せたり。
 現役時代、不正入団してきた江川が食堂にいるのを見つけて、「おい、嫌な奴が飯食ってるぞ!」と大声で言ったり。
 高校時代の渾名は、なぜか「モグラ」だったり。
 ということで、野村監督も王監督を見習ってもっともっと性格悪くなってください。坪井を食堂で見つけて、
「おい、打率乞食が飯食ってるぞ!」
 とか。


戻る