12球団・新外国人選手を予想する

 外国人選手、いわゆる”助っ人”がどう働くか、でペナントが左右される(巨人を除く)日本野球である。
 しかし外国人選手に関しては、各球団とも頭が痛い。まるで期待していなかった穴埋め的選手が大活躍するかと思うと、億を超える年俸でやってきた現役大リーガーがとんだ一杯食わせ者だったりするのである。
 まあ、それにしろ、入団前の実績、そして契約した年俸は、ある程度のバロメーターになるだろう。入団前の実績はその選手の力量のバロメーターであり、年俸は球団がもつ、その選手への期待のバロメーターである。それに、球団の環境を加えて、新外国人選手の今後を占ってみよう。

 外国人選手のデータは、「こちら、プロ野球人事部」の「移籍選手一覧」、「ヤキューウェブ」の「新外国人選手情報」その他を参照させていただきました。成績はできるだけ昨年の成績を使用しています。

球団 選手名 年齢 守備 在籍 実績 年俸
読売 チョン・ミンテ 30 投手 現代(韓国) 18勝6敗(防御率7位) 1億
中日 ティム・アンロー 30 内野手 ブレーブス 5打数ノーヒット 3000万
3Aリッチモンド 417打数115安打24本塁打 打率.276
オジー・ティモンズ 30 外野手 3Aダーラム 503打数152安打29本塁打 打率.302 4400万
横浜 マーク・ホージマー 31 投手 フィリーズ 25試合登板 0勝1敗 防御率7.71 5500万
3Aスクラントン 24試合登板 3勝2敗2S 防御率3.63
シェーン・バワーズ 29 投手 3Aスクラントン 8勝7敗1S 防御率4.65 3300万
デーブ・ドスター 30 内野手 3Aスクラントン 450打数122安打10本塁打 打率.271 4000万
ジョン・ズーバー 30 内野手 3Aコロンバス 294打数84安打1本塁打 打率.293 4000万
ヤクルト ジョナサン・ハースト 34 投手 兄弟(台湾) 2140万
アラン・ニューマン 31 投手 インディアンス 1試合登板 勝敗なし 防御率20.25 3750万
3Aバッファロー 32試合登板 7勝4敗 防御率3.39
アレックス・ラミレス 26 外野手 パイレーツ 227打数56安打9本塁打 打率.247 5500万
3Aナッシュビル 167打数59安打4本塁打 打率.353
広島 ティム・ヤング 27 投手 レッドソックス 8試合登板 勝敗なし 防御率6.43(シドニー五輪優勝) 3850万
3Aポータケット 32試合登板 1勝1敗6S 防御率2.40
エリック・シュールストローム 31 投手 日本ハム 2勝1敗7S(99年) 1100万
阪神 バディ・カーライル 22 投手 パドレス 4試合登板 勝敗なし 防御率21.00 5000万
3Aラスベガス 29試合登板 8勝6敗 防御率4.29
イヴァン・クルーズ 32 内野手 パイレーツ 11打数1安打 打率.091 7000万
3Aナッシュビル 123打数38安打7本塁打 打率.309
エドワード・ペレス 31 外野手 カージナルス 91打数27安打3本塁打 打率.297 6600万
3Aメンフィス 277打数80安打19本塁打 打率.289
ダイエー ペドロ・バルデス 27 外野手 レンジャース 54打数15安打1本塁打 打率.278 4000万
3Aオクラホマ 352打数117安打16本塁打 打率.332
トニー・ミッチェル 30 外野手 独立リーグ(ドゥールース) 1500万
西武 ミゲール・デル・トロ 28 投手 ジャイアンツ 9試合登板 2勝0敗 防御率5.19 1億2000万
3Aフレスノ 21試合登板 6勝6敗 防御率6.01
スコット・マクレーン 28 内野手 3Aコロラド 434打数119安打25本塁打 打率.274 1億
アレックス・カブレラ 28 外野手 ダイアモンドバックス 80打数21安打5本塁打 打率.263 1億5000万
3Aツーソン 78打数22安打4本塁打 打率.282
日本ハム スコット・サンダース 31 投手 3Aサクラメント 20試合登板 5勝8敗 防御率6.73 5500万
オリックス ク・デソン 31 投手 韓化(韓国) 6勝7敗21S(防御率1位) 6000万
ジョー・ビティエロ 30 内野手 パドレス 52打数13安打2本塁打 .250 6900万
3Aラスベガス 274打数96安打11本塁打 打率.350
ロッテ ネイサン・ミンチー 31 投手 広島 12勝10敗
デリック・メイ 32 外野手 オリオールズ 49打数13安打4本塁打 打率.265(99年) 3000万
3Aロチェスター 213打数60安打5本塁打 打率.282
近鉄 ウィル・フリント 32 投手 サルチヨ(メキシカンリーグ) 3000万
フレディ・ガルシア 28 外野手 3Aポータケット 378打数99安打23本塁打 打率.262 4000万

 こうして見ると、今年は昨年のフェルナンデス、ジェファーソン(西武)、一昨年のブロワーズ(阪神)のような、現役バリバリの大リーガーというのがいない。強いてあげればメジャーで9本打っている、ヤクルトのラミレスか。
 マイナーリーグの実績でいえば、29本打っている中日のティモンズ、23本打っている近鉄のガルシア、24本打っている中日のアンロー、25本打っている西武のマクレーン、あたりが注目か。残念ながら投手では、3Aでも目立つ実績を挙げた選手は見当たらない。阪神のカーライルの若さに期待したいところだが、どうなることやら。
 むしろ韓国勢の実績に注目。読売のチョン・ミンテは18勝を挙げた先発のエース、オリックスのク・デソンは防御率トップのリリーフエース。ソン、サムソン(元中日)など、韓国のトップクラスは日本でも通用することは証明されているだけに楽しみだ。
 楽しみといえばロッテに移籍したミンチー。こちらは昨年広島で12勝を挙げているだけに、実績としてはより確実。

 年俸と実績の兼ね合いでいえば、なんでこんなに高い金出してるのか、よくわからないのが西武。のきなみ億以上の年俸だが、実績というとオリックスのビティエロや阪神のペレスとそんなに変わらない。相場の倍出している気がするのだが。よほど数字に出ない、いいところがあるのだろうか。
 その阪神も、三人とも5000万円超と、ややお高めの契約の感がある。西武と阪神、セパの貧打を誇る球団だけに、足元を見られてふっかけられた気がしてならない。ま、その先入観を覆す活躍をしてくれればよいが。
 逆に格安で仕入れているのが中日。3Aとはいえ20本以上打っている選手を、5000万以下で手に入れたのは安い。これで働けば、いうことなしだが。
 もうひとつ気になるのが横浜。お手軽というかなんというか、4人の新外人のうち、3人までを1球団でまかなっている。メンド臭かったのか? 大丈夫か? 牛込さん辞めて、どうでもよくなったか?

 すでにキャンプも始まり、新外国人選手も各球団に集結している。まあだいたい、今のうちは「ペレス脅威の140メートル弾!」とか、「ラミレス怒涛のパワーヒット!」とか、ご祝儀の見出しでファンをぬか喜びさせているわけだが、そんな中で、さっそく見切りをつけられかかっている選手もいる。広島のシュールストロームは、早速右足を傷めた模様。
 ダイエーのミッチェルは、あの職場放棄無断帰国男のミッチェルの従兄弟だと騒がれ、不吉な予感いっぱいだったのだが、来日してみると肥り過ぎ。王監督に叱られると、「だって、雪が降ってたんだ」と訳のわからない言い訳をかまし、もはや将来は絶望視されている。
 オリックスのク・デソンも、来日して身体測定の結果、体脂肪率が高過ぎることが判明。さっそく減量指令が飛んだが、本人あまりやる気がなさそう。しかも頭痛持ちであることが判明。
 阪神のクルーズは、守備練習30分にして外野失格を宣告される。いや、あの選手を外野として使おうという方がどうかしているのだが。しかしファーストでもノタノタして、フォーメーションプレーや内野の指示でもミスを犯す。「あいつはサインで動いたことないんか」とは野村監督のボヤキ。
 読売のチョン・ミンテも、本人は今のところ問題ないのだが、問題は外国人枠。昨年ローテーションのメイは確実に入るとして、残り1議席をチョ・ソンミン、チョ・ミンチョルの両先輩と争わねばならぬ身なのだ。ちょっと難しいかもしれない。

 というわけで今年の新外人の活躍を強引に予想してみる。
 投手では本命・ミンチー(ロッテ)、対抗・ク・デソン(オリックス)。穴は常時一軍の場合のチョン・ミンテ(読売)と、パワー投法で花火師軍団入りしそうなバワーズ(横浜)。大穴はお情けでカーライル(阪神)と、投手陣壊滅でリリーフエースとして使われそうなヤング(広島)。
 打者では本命も対抗も不在。穴扱いで、マクレーン、カブレラ(西武)、アンロー、ティモンズ(中日)、ペレス(阪神)など、貧打チームでとりあえずスタメン出場できそうな野手が横一線。次いで、ラミレス(ヤクルト)、ガルシア(近鉄)、ビティエロ(オリックス)など、とりあえずスタメンを開けて待っててくれるチームの選手が競う。超大穴はお騒がせ男二世のミッチェル(ダイエー)と、名前が素晴らしいズーバー(横浜)。おそらく、この二人でスピード解雇記録を争うのではないか、と思われる。いやクルーズ(阪神)も、これに絡んでくるか。


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