トラハタ時事新報(2001年11月


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11月1日(木)

FA戦線異常あり?
 西武の鈴木健内野手がFA宣言しての阪神移籍を希望していることが明らかになった。西武球団は残留を希望しているが鈴木健は「出場機会のあるチームに行きたい」とやや移籍に傾いている。阪神球団はこれまでFAではオリックス・田口外野手と日本ハム・片岡内野手の獲得を目指していたが、これで片岡と鈴木のどちらに主眼を置くか、難しい情勢となってきた。実績と実力の片岡か、移籍可能性が高い鈴木か。なんか江藤でモタモタしているうちに新藤も取り損ねた一昨年の二の舞いになりそうだが。
 また阪神からは遠山がFA宣言することになった。チーム最多登板にもかかわらず球団からダウン提示を受けたため怒りのFA宣言。なんとなく昔の仲田幸司を思い出させる。


11月3日(土)

FA戦線やっぱり異常なし
 西武の鈴木健はFA宣言取りやめ、残留を決定。限りなくプラス思考で考えると、片岡の阪神移籍が決定的となったためと考えられなくもないような気がしないでもないのだが、果たしてどうなることか。
 遠山はFA宣言したが阪神残留。再契約金でご機嫌を直したらしい。

自由枠二人目は木戸二世
 阪神は安藤投手(トヨタ自動車)に続く自由枠第二弾として、法政大学の浅井捕手の獲得を発表した。ま、いくらノムさんでもこいつは野手転向させられんだろ。
 阪神は自由枠二つを使い切ったことで、ドラフトでは四位指名からの参加となる。しかも四位指名は上位球団からの逆ウエーバー方式だから、安藤、浅井を除いて少なくとも三十三番目の選手しか指名できない。噂にのぼっていた真田、喜多、山口、谷口ら有望選手がそこまで残っている可能性はほぼ皆無。阪神の今年のドラフトは実質上ここで終了した。あとは社会人からワンポイントリリーフや代走要員をかき集めるか。


11月10日(土)

FA安いか高いか?
 阪神が獲得に自信を持つ(いっっっっっつも序盤だけは自信たっぷりなんだよな、この球団)日本ハム片岡とオリックス田口。ふたりについた値段は、片岡が四年契約十億円、田口が三年契約七億五千万。これに阪神ファンがぶち切れ、「片岡なんて今岡クラスの選手にそんな高給が必要か?」「田口なんて濱中の控えのくせに以下同文」「そんな金あったらペタジーニ獲得に使え」「そんな金あったら松井獲得に以下同文」などと夜郎自大と狂信と根拠皆無な妄想がいりまじったブーイングを飛ばしている。
 ま、わからんでもないけどね。なにしろ阪神には連続して活躍した選手など皆無なので、数年間連続でレギュラーを張ってそこそこの成績をおさめた選手は軽く億を超す時代だ、ということがファンにも理解できていないのだ。とほほ。
 ちなみに他のFA選手についたお値段。中日の前田は読売から四年契約五億の好条件で顔が崩れっぱなし。同じく山崎は横浜から三年契約六億五千万の好条件に気も動転。中日の選手は金に弱いのか。横浜の谷繁は中日から三年契約九億でもメジャーに心ときめく。同じく小宮山はメジャー一本槍で国内球団と交渉せず。横浜の選手はメジャーに弱いのか。オリックスの加藤は近鉄から三年契約二億。ほらね、そんなもんでしょ。

第三の外国人投手候補は落第濃厚
 阪神秋季キャンプに参加してテストを受けていたスコット・カール投手だが、どうやら落第したらしい。同投手はメジャーで五十四勝を挙げた実績をもち、最速155キロと豪語していたが、実際は130キロにも届かないへなちょこぶり。濱中にまで「打席に立ってて迫力をまるで感じない」と言われる有様。まるで来日当初のカーライルを思わせる出来であった。それにしても阪神、探すのは投手じゃなく打者だろ。


11月13日(火)

ジャイアンツ、テロ犠牲者に78万527円を寄付

佐々木、テロ犠牲者とアフガン難民に1万ドルを寄付
 ……並べるとじつに笑えます。

田宮OB会長、またもや監督批判
 ま、この人の場合、監督が誰であろうと、自分のワガママを聞かない人はすべて攻撃するんだけどね。
 まず野村監督の去就について「これから秋期練習と補強の時期なのに、監督がいるんだかいないんだかわからん。ハッキリ辞めろ」と辞任勧告。さらにマスコミと絶縁状態の野村監督について「マスコミに話すのも監督の仕事。その仕事を放棄しているんだから、本来は球団が注意すべきだ。球団は野球を知らないから、野村にいいようにやられている」と球団も批判。
 できれば田宮がもっと噛みついて、野村監督、久万オーナー、野崎社長と抱き合い無理心中に持ち込んでくれたら阪神もちっとはよくなるんだが。


11月19日(月)

ドラフト会議結果
 自由枠で二人獲得しているため、すっかりヒマそうにしていた阪神メンバー。ドラフト開始から約一時間半、やっと順番が回ってきたときには、日本生命の谷口もリースキンの山口も残っていなかった。やむなく四巡目では、PLを大会出場停止に追い込んだ問題児こと桜井外野手(PL学園)を指名。先日田中秀太を蹴飛ばしたカツノリとともに乱闘要員として期待。いっそ女子プロレスのラス・カチョーラスのように、自分専用の黄色く塗ったパイプ椅子を持参してほしい。五巡目では金沢高校の中林投手。剛球140キロ左腕だそうだ。六巡目で立命館大の藤原内野手。七巡目で福岡大の喜田捕手。八巡目で愛工大の梶原投手。九巡目は早稲田大の東捕手。ここらでようやく、即戦力こつぶっこ選手が得意な阪神の本領発揮か。てゆーか、即戦力捕手を三人も獲ってどうする。高校生上位指名もあわせて、ようやく阪神は野村親子を追い出すハラを決めたか? まあ、谷口・山口を他球団に獲られ、かといって他球団が見向きもしない藤原以下を繰り上げるのはさすがの阪神フロントにもためらわれた、というのが真相だろう。
 ちなみに寺原は予定通り四球団競合でダイエーが獲得。ダイエーは三巡の杉内とあわせ、これで二年連続アマNo.1とNo.2の投手を獲得した。寺原とヤクザ顔の父親の顔がひきつっていたのが印象的。争奪戦が伝えられた喜多はロッテが一巡指名。広島か近鉄かと言われた山口は日ハムが二巡指名。読売は寺原こそ外したが、真田と鴨志田の有望高校生両取りに成功。さすがの阪神も九巡、広島も十巡目で選択終了したが、オリックスはみな帰ってガランとした会場で、ただひとり狂ったように指名を続けるのでした……。

国税局、阪神選手四人を事情聴取
 野村沙知代の脱税問題に関し、「野村監督の監督賞はどこから出た金か?」を追求するため、国税局は阪神の主力選手四人を事情聴取していたことが明らかになった。某選手(名前を明かさず)は「そういえば前監督のときは領収書を書いたが、野村監督には出さなかった。監督のポケットマネーかと思った」と語っていたが、それは前監督の吉田さんが煙草一本一本に「ヨシダ」と書くほどのケチ、いや経済に細かい人だから……。
 それにしても藪の「ぼくは監督賞もらってないから呼ばれませんでした」というコメントは深く哀しい。

岡田新監督誕生か
 野村監督、沙知代夫人が脱税容疑で刑事告発されると同時に阪神球団は野村監督を解任し、岡田監督・和田二軍監督が誕生、ということらしいが、どうもサンスポのフライング報道らしい。ま、このネタは、いつ出すかが勝負、というタイミング争いだから。

左腕投手ムーアを獲得
 阪神は3Aリッチモンドの左腕投手、トレイ・ムーア(29)を獲得することを決定した。メジャー通算成績は3勝10敗。昨年は3Aリッチモンドで9勝10敗。それにしてもせっかく、「外国人は見てみないとわからん」とわざわざカールを来日させてテストしておきながら、そっちは不合格にして見たこともないムーアを採用するなんて、阪神というのはおかしな球団だ。

FAは戦線やはりじり貧状態
 片岡説得のため木戸コーチ、野村監督が出馬するも、片岡は「金額ではない条件面で納得できない」と態度を硬化。日ハムフロントの誠意を感じて、残留の可能性が強くなってきた。
 そして田口には大リーグ数球団からオファーがあったことが判明。「メジャー優先」の態度を崩さない田口だけに、こちらも逃す可能性が強くなってきた。
 景気よく始まったFA戦線も、そろそろ膠着状態からじり貧状態に移り、やがては玉砕。毎年毎年この繰り返し。阪神のフロントのことを、これからは「大東亜フロント」と呼ぼう。あるいは「日本海軍フロント」。そういえば特攻で身投げしたスカウトもいたな。

横浜身売りにナベツネが異議
 先日、横浜球団の筆頭株主であるマルハが株式をニッポン放送に売却し、ニッポン放送が横浜の筆頭株主になった件について、「ニッポン放送はフジサンケイグループの会社。同じグループのフジテレビはヤクルトの株を持っている。これは明らかに、他球団の株式所有を禁じている野球協約違反だ。このままではヤクルトと横浜が裏でつるんで、選手を勝手に譲り合ったり、勝ち負けを操作しあったりする。こんな事が許されるなら、大阪読売が阪神球団の株を買い取って、阪神を巨人の二軍にしちゃうぞ」と吼えた。
 ナベツネにしては割とまっとうな抗議。ヤクルトの若松監督は「八百長なんてあり得ない」と否定していたが、ヤクルトの多菊球団社長は「横浜と業務提携していく」と言っているくらいだからねえ。早くも横浜Sベイスターズの誕生を予測している新聞もあるし。
 しかしながら阪神を巨人の二軍にしたって、いいことないですよ。欲しい選手なんかいないだろうし、勝敗を操作しようにも負けっ放しのチームではねえ……。


11月21日(水)

眉毛抗争勃発
 今年のドラフト高校生は寺原の変な眉毛、真田の極細眉毛、鴨志田の超細眉毛、今江・朝井・桜井のPL勢のまったく同じ形のクローン眉毛と、どいつもこいつも変な眉毛ばかり。そしてついに姫路工の真田に眉毛爆弾が炸裂した。
 読売の外れ一位の指名に喜ぶ真田。集まったスポーツ記者。ところが得意球も抱負も聞かず、なぜかインタビューの内容は眉毛ばかり。「それって抜いてるの?」「それとも剃ってるの?」「眉毛の手入れにかかる時間は?」などなど。これに怒るかと思いきや、福井監督までも「あの眉毛にはつねづね怒りをおぼえていた。ああいう眉毛とか金髪とか茶髪とかピアスとかしょぼしょぼ髭とかパジャマみたいな私服とかを個性と勘違いしている連中がプロにもいますが、巨人ではそんなことは許されない。個性とは、誰にも真似のできない実力のことなんです。あのみっともない眉毛は、入団までに必ず直させます」と断言。記者と監督の一斉攻撃の前に、真田はいかんともしがたい。
 これを聞いた鴨志田はあわててマツモトキヨシに眉墨を買いに行ったとか。ともあれ、眉毛抗争はしばらく続きそうで楽しみである。

ドラフト五巡目の中林は入団拒否か
 谷口や山口が他球団に先に獲られてしまったため、やむなくドラフト五巡目で指名した中林投手(金沢高)が、阪神からの指名挨拶に「いきなり言われても……」と入団に否定的な反応を示した。リストアップこそしたものの、即戦力社会人投手を優先したため、ドラフト一ヶ月ほど前に「指名しない」と高木スカウトが中林に告げてしまったため。安藤獲得で浮かれてしまった同スカウトの失態なのだろうか。亜細亜大の山本浩司投手に「指名する」と言っておきながら結局無視した読売のスカウトに比べれば良心的ではあるが。


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