トラハタ時事新報(1999年11月)


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11月12日(金)


 ええと、私が日本を離れている間に、いろいろあったようで。
1)安達、中ノ瀬、山村、中里を自由契約に
 ドラフト一位二人、二軍の中心投手一人を含む厳しい解雇。なかでも山村は去年ローテーションに入ったほどの投手だが、同僚のいたずらから自律神経失調症を患い、それが致命傷となった。その同僚、中込という噂。中谷の目に携帯電話をぶつけたのも中込だとか。本当なら中込、まるで「生き物地球紀行」に出てきた、弟ヒナの目をつついて衰弱死させる鷹のヒナみたいな奴ですな。
2)広沢(読売)を獲得に
 右の代打&大豊が元に戻ったときの保険として獲得。広沢か、何かやってくれるかもしれん。
3)テストは与田(日ハム)橋上(日ハム)が合格
 山崎(ダイエー)は広島へ、石井(日ハム)は近鉄に合格した模様。両方合格して阪神を蹴ったのか、阪神に落ちてから余所を受けたのか、どっちなんでしょうね。与田か、何かやってくれそうだ。
4)ドラフト一位は的場、二位は吉野で確定
 両者逆指名済み。三位は東邦のエース岡本が有力。「早すぎた隠し球」は? ノムさんの少年野球チーム出身の三上はテストで不合格だったらしい。的場と吉野か、何かやってくれるかもしれん。
5)FA獲得は江藤(広島)、星野(オリックス)に絞る
 進藤(横浜)は断念した模様。江藤は横浜最有力、読売が金で蹴たぐりかけようとしている情勢で、阪神は望み薄。星野は無投票当選の模様。星野は「野村野球を学びたい」野村は「遅い球でどう打者を打ち取るか、あの投球術を若い投手に見せたい」と相思相愛。星野か、何かをやりそうだ。
6)舩木右肘手術、来期開幕絶望
7)曽我部、クビ回避だが捕手との二刀流とノムさんに遊ばれる
8)大豊契約難航もようやく再契約
 またぞろ石田部長が何かやってくれたようです。一時は怒って「FA宣言する! 台湾に帰る!」と言っていた大豊も、反省文を書いて再契約。そういえばダイエーにも石田さんみたいなのがいて、MVP投手に逃げられたとか。


11月15日(月)


野村監督・今日のイヤミ(ここ最近)
(坪井がセリーグ東西対抗でMVP、百万円を獲得し)「百万円は大きいな。阪神の選手には特に大きい。他チームの選手には小銭だろうけど」(いえいえ、広島の選手だったら神棚に上げてお祈りしますよ)
(表彰式の前に東軍ベンチはみな帰ってしまって)「けしからんな。東の人間はマナーが悪い。上原さんもどっか行ってしまいましたな」(わざわざ上原の名前を挙げるところに憎しみの深さを感じる。まあ、ノムさんから見たら東の三球団はろくでなし揃いですから)
(江藤との交渉に)「ワシは正直やから交渉は苦手や。とにかく、強いところに全部選手が集まると、つまらなくなる。選手の均質化を図らんとな」(それなら、残留が最上なのですが……)
(星野との交渉に)「星野が入ると捕手も成長する。本格派投手はなかなかいないから、これからますます捕手の役割が大きくなる。古田もヤクルトでよかったよ。本格派揃いの巨人に入っていたら、成長できたかどうか」(阪神で弱体投手とつきあいすぎ、『どうせ要求したところと逆に行くんだから、もういいや』とリードを放棄した山田という捕手もいますが)
(更に星野に)「一流の技巧派は慣れるまで打てない。でもパリーグで慣れられても勝つんだものな。本物の技巧派や。あとは、いい影響を与える一流の選手になって欲しい。過去にいたでしょ? 成績は一流だけどチームへ悪影響を与えたのが……名前は言わないが」(だれ?だれのこと?江本?清原?岡田?オマリー?ブロス?)

江藤と交渉開始(日刊スポーツ)
 FA宣言した広島・江藤と他球団の交渉が始まった。一番手は阪神。野村監督が出馬し「サードはお前しかおらん。四番もお前しかおらん」と口説き文句ならぬ本音で迫った。しかし横浜、読売と並んで劣勢は否めない。横浜も進藤が出てサードが空いたし、巨人も広沢と石井が出て元四番飼い殺しの枠が清原ひとりになったし。


11月18日(木)


野村監督・今日のイヤミ(17日)
(阪神の名称に)「阪神がトラブルが多いのは、そういう星の下にあるのかな。改名でもしてみるか。巨人タイガースとかヤンキー・タイガースとか」(ネーミングセンス、ダサ過ぎ)
(運も実力のうちという話で)「運は行動と並立。『果報は寝て待て』という諺があるけど、あれは『果報は練って待て』が正しいらしいで」(ううむ、怪しげ。雑文書きのようなことを)
(組閣について)「実力のないワシは、運に頼るところがある。何回か組閣したけど、大事なポストには、高校大学で優勝経験のない人間は置かなかったんや」(プロで優勝一回きりの岡田君、平田君はむろん失格ですね。木戸君は高校大学で優勝しているからまだいいか)
(来期オーダーについて)「一番坪井、三番に新外人、四番江藤、五番大豊。新庄は下位打線や。これは凄い打線になるで」(ああ、ノムさんまで、私の来期予想と同じような絵空事を……)
(若手投手陣について)「井川はもう少し希望を持たせてくれると思ったんだが……目についたのは奥村かな。あと与田。与田は左肩の開きを我慢できればベンツに乗れる、と東尾が言ったそうやが、井川は右肩が我慢できないのにセルシオなんて高級車に乗っている。だから駄目なんだ」(ああ、ついに愛車にまでテロル)
(新庄の大リーグオープン戦出場直訴を拒否して)「ワシも大リーグで指揮を執ってみたいよ。日本の方が優れている。マグワイアもソーサも弱点だらけなのにそこを攻めないし、投手はフォームが大きくて盗塁放題なのに走らない。なんで? って思うことが多い」(大リーグで野村野球をやったら、大ブーイングだと思います。あれはWWFのプロレスと同じ一種の勧善懲悪劇ですから)

カツノリは獲らん(日刊スポーツ)
 野村監督が愛息カツノリの去就について初めて発言。阪神へトレードの噂があったカツノリは「獲らん。本人もヤクルトで頑張ると言っている」と獲得を否定した。やれやれ。曽我部の捕手転向は、この布石だったか?

江藤、横浜に好感触(日刊スポーツ)
 15日阪神、16日横浜、17日読売と交渉を行ってきた江藤だが、横浜に最も好印象を抱いた模様。阪神はノムさんが「金で動くのもええが、人間もっと大事なことがある」と説教したのがよくなかったらしい。読売はチョーさんが「君にボクの33番をあげよう」と迫るも、「荷が重すぎます」とすかされ反応無し。やはり、最も気楽に打てる球団を選ぶ様子。まあねえ、大豊と清原の扱いを見てりゃねえ……。

進藤は出戻り決定
 阪神もいちじ食指を伸ばしていたと噂される横浜・進藤だが、結局交渉に入ったのはオリックスだけ。それも二塁手での起用を願う進藤と三塁手での起用を考えるオリックスの意見がかみ合わず、決裂。進藤はやむなく古巣に頭を下げて戻ることになった。横浜はローズ残留だわ小宮山が取れそうだわ江藤も取れそうだわで、今のところ最高のオフ。


11月19日(金)


野村監督・今日のイヤミ(18日)
(ドラフト一位指名の的場について)「的場は足が速くて、シュアな打撃らしいね。一番にぴったりだな。坪井が二番に合格するといいんだけれど……今年は落第だったからな。特殊なバッティングだし、動きが大きいからね。二番はランナーに合わせて動かなければならないが、坪井は自分のペースでしか動かんからな。でも理想は、一番的場、二番坪井、三番新外人、四番江藤、五番大豊、六番新庄……」(新庄を下位に持っていくに足る選手が思いつかなかったようです。それにしても夢を語りながらも坪井殺しの秘策を練るとは……)
(二位指名の吉野について)「中日・野口タイプでもない、日ハム・酒井タイプでもない、もっとスケールの大きいピッチャーらしい。想像もつかないね」(スカウトの大言壮語に対するイヤミという気が……)
(一位、二位逆指名選手で)「そっか、抽選はないんだ。残念だなあ。社長に引いてもらおうと思ったのに」(社長のせいにする気ですか?)

阪神ドラフト指名選手
一位 的場(九共大)
 守備、走塁、打撃とそつなく揃った好選手。今年の大学生野手ナンバーワン。果たして今岡レベルなのか、小久保レベルなのか、それとも久慈レベルなのか? 日刊スポーツによると評価A。
二位 吉野(日大)
 145キロ左腕の本格派投手。しかし阪神に来ると、どの投手も145キロが137キロに落ちるのはどうしたことか。145キロなら先発ローテ入り、137キロなら中継ぎで酷使して来年限り、さよう心得なさい。日刊スポーツによると評価B。
三位 岡本(東邦)
 高校生捕手ナンバーワンの米野、埼玉栄のスラッガー大島、即戦力左腕の佐藤が残っていても岡本。四位でも取れる岡本を三位指名。ノムさんでも阪神スカウトの硬直指名は覆せなかったのか? ノムさん、「ウェーバーで一番に指名できる三位は重要だ」と言ってませんでしたか? その重要なところで、他球団が指名しないの見えてる岡本でいいんですか? 大島は西武に、佐藤は読売に、米野はヤクルトに、むざむざ三位で取られてしまった。いいんですか? 阪神スカウト?!
 ま、岡本について話しましょう。朝倉の控え投手だが急成長。地肩だけで144キロ投げる豪腕。しかしいわゆる野手投げのノーコンらしい。新庄とまとめて特訓だ! ついでに言うと東海地方、ここんとこカスばっか連れてくる高山スカウトの、いわゆる「高山枠」。これ外したら、クビ嘆願署名流すからな! 高山! 日刊スポーツによると評価B。
四位 新井(児玉)
 こいつがいるから米野はいらん、ということなのでしょうか。中谷の怪我、北川と塩谷の内野転向、阪神の捕手情勢を考えると高校生捕手は何人でもいると思いますがね。曽我部で遊んでる場合じゃないでしょ。長打力のある捕手だそうです。足も速いらしい。また内野転向か? 日刊スポーツによると評価C(米野はA)。
五位 上坂(王子製紙春日井)
 噂の隠し球。曽我部二世。日刊スポーツによると評価C。
六位 窪田(帝京大)
 スライダーで三振の取れる本格派だそうですが、そんな本格派ってあるかい。日刊スポーツによると評価C。
七位 松田(シダックス)
 はじめてスポーツ新聞の予想以外の選手が出てきました。左のスラッガー外野手。桧山二世か。とはいっても本領は鋭いライナーを打つ中距離ヒッター。吉田二世か。去年から注目されていたらしい。守備も鍛えればよくなるらしい。日刊スポーツによると評価B。
八位 高山(箕島高卒)
 去年ケニーが連れてきたが、手続きをドジったので入団できず、アメリカで草野球をやっていた二塁手。なんでもとんでもない鈍足らしい。まさか、こいつがいるから進藤いらん、なんて思ってはいないでしょうね? 日刊スポーツの評価はC。

 ちなみに、國學院久我山の河内投手は、中日、広島、近鉄が一位指名し、広島が獲得。東福岡の田中内野手は、中日、日本ハム、西武が二位指名し、日本ハムが獲得。中日はクジ二連敗して拗ねたのか、三位で指名終了。日ハムが七位で東大の遠藤投手を指名しました。


11月22日(月)


 さて、これからは月末に江藤が去就を決めるまでネタがないので、指名選手を物凄い逸材のように書いて誤魔化すという、いわゆる「針小棒大週間」に入ります。そこで第一弾。

ドラフト三位の岡本、ストッパー宣言(日刊スポーツ)
 入団一年目からストッパーで活躍した選手は近藤とか与田とか福原とかいっぱいいるけど、高卒でいきなりストッパーというのはいるのだろうか。高木スカウト談「普通の高校生なら三年は体力作りだが、彼の場合、それは必要ない。一年目から活躍できる」。ううむ、太ってりゃいいもんでもなかろうに。与田とのWストッパー構想だそうだが、ふたりとも怪しげな気がするがなぁ。

ドラフト八位の高山、プロでも丸刈り(日刊スポーツ)
 丸刈りにスーツ姿で現れた高山、「丸刈りはプロでも続けます」と宣言。「監督が好きそうなので……」と、ケニーから父親情報はぬかりなく仕入れていたことを誇示。「アメリカ仕込みのプレーを見せたい。全力疾走とか」と野球情報はやや怪しげだが、契約金の一部をさっそくユニセフに寄付するなど、殊勝なところを見せた。

ポスト江藤はマント?(日刊スポーツ)
 補強の主軸をFAに据え、星野、江藤獲得に全力をあげていた阪神。星野はほぼ手中に収めたが、江藤はほぼ絶望。野村監督も白旗を挙げた。
 そこで四番サードには新外国人選手を据えることに。トップ会談で人選を絞ることになるが、気になるのは野村監督が、「獲得の名簿二番手にマントが入っとる」と漏らしたこと。そう、96年ジャイアンツに鳴り物入りで来日し、たった三安打しただけで去っていったダメ外人。あんなの獲るのか? 正気か? しかしながら恐れていた「三番ライト新外人、四番サード新外人」という布陣に果てしなく近づいている。ああああ。


11月24日(水)


ドラフト四位の新井は一日六食(日刊スポーツ)
 そんなことしかネタが無いんか、という気もするけど、高校時代は学校に弁当箱を二つ持っていったそうな。それでウエイトマニアで、ベンチプレス百二十キロまでできるようになったとか。川藤二世?

ドラフト七位・松田は栄養のプロ(日刊スポーツ)
 いや、まあ、シダックスが運動選手の栄養にも気を配っていて、松田もそこの講習とか受けた、というだけのつまらん話です。

新外国人候補のプロフィール(日刊スポーツ)
 よかった、マントじゃなかった。四番サード候補はロッキーズのカート・アボット内野手。右投げ右打ち。69年6月2日生まれの三十歳。89年入団。93年にアスレチックスでメジャー昇格。94年から97年までマリーンズ、98年はアスレチックス、99年はロッキーズに在籍。95、96年には7三塁打のチーム記録を作ったこともある。通算成績は打率.259、56本塁打。99年は.273、8本塁打、69三振。左右どちらにでも打てる柔軟なバッティング。内外野どこでも守れるユーティリティプレイヤーだが、セカンドとショートが本職で、サードは98年以来守ったことがない。大丈夫か、サード守らせて。99年は主にセカンドを守り、81試合で42エラーというのは若干多い。

 三番ライト候補はヤンキースのトニー・タラスコ。70年12月5日生まれの28歳。99年5月、3Aの41試合で.365、8本塁打、33打点という素晴らしい成績でメジャー昇格するも、31打数5安打、打率.161の打点3、本塁打0という成績に終わる。95年にエキスポスでレギュラー、97年にオリオールズで準レギュラーになったのを最後に、メジャー出場は減り続けている。通算成績は397試合で打率.238、本塁打28本。盗塁は37だが95年の24盗塁以来減り続けているのが気がかり。守備はまあまあ。これも95年の7刺殺が最高。昔バースと一緒に来日した、ストロータータイプの選手かな?

 投手陣。パイレーツのグレッグ・ハンセルは71年3月12日生まれ。右投げ右打ちの28歳。89年レッドソックスに入団し、主に3Aで活躍。65勝53敗23セーブ、防御率3.80。メジャーの成績は今年のみで、33試合登板(先発なし)、1勝3敗、34奪三振、防御率3.89。球は速いそうなので、リリーフエースとして起用か?

 ロッキーズのロベルト・ラミレスは1972年8月17日生まれの27歳。左投げ左打ち。98年にはじめてメジャー昇格。メジャーの通算成績は53試合登板で2勝5敗1セーブ、防御率7.69。今年は32試合に登板、先発4回。1勝5敗1セーブ、32奪三振で防御率8.26。期待の左腕先発投手だが、ワイルドピッチ4というのが若干気にかかる。


11月25日(木)


久万オーナー、今日のイヤミ(24日)
(ノムラの考えについて)「野村監督の考えを聞いてやっていけば必ずいい成績を残せると思っていた。選手の皆さんが考えを本当に理解できたかどうか、疑問だ。私でも言うことが難しいと思うことがあった」(誰にもわからない内容だと、そう言いたいのですね)
(今年の成績について)「今年はやるぞ、ということでしたが55勝80敗でした。勝率五割にまではもっていかないと」(むろん、指揮官の責任です)
(来期に向けて)「ドラフトでは多くの選手を指名しました。あまりやらないFAにも手を出しました。外国人も監督の要望で六人取ります」(これで失敗したら、むろん指揮官の責任。しかしFA失敗の言い訳をこっそり混ぜておくところなんざ、芸が細かい)

野村監督・今日のイヤミ(24日)
(最近の球界を見て)「大リーグのコーチがしみじみと『もうカネのないチームは勝てない』と言っていた。今年の日本を見ても中日、ダイエー、そして安定した強さの巨人とおカネをかけたチームが強くなっている。私が好きだった野球の持つ意外性がなくなっていっている」
(現在のプロ野球界に)「時代が自己中心的になってきているんだろうね。夢をかなえるためには人なんかどうでもいいとなる。自分1人で育ってると思ってる。子供と一緒や。我が身かわいさで、日本のプロ野球がどうなってもいいんやな」(江藤に対する思いっきりのイヤミです)
(今期を振り返って)「開幕当初はみんな新鮮で純粋な気持ちで臨んだんだと思う。無欲で一試合一試合を闘ったのが功を奏したと思う。ところがトップに立って欲が出た。あそこでみんな浮かれて失敗した」
(その後)「9月は負け犬根性ばかり。『勝てない』『ダメだ』『ウチはこんなもんや』…。そういう気持ちだけは持ってもらいたくない。同じ人間、やっていることは同じ。力を合わせてやれば絶対勝てる。呉子の言葉で『功あるものより功なきものを集めよ』というのがある。巨人みたいに功績あるものばかり集めてもうまくいくとは限らない」(久しぶりにお得意の中国故事名句が出てきました)

ドラフト六位・窪田は福原二世(日刊スポーツ)
 要するに遅咲きの速球派というところが福原似だと言いたいらしい。しかしMAX145キロで速球派というところが泣けてくる。

ドラフト二位・吉野の課題は関西弁(日刊スポーツ)
 大阪暮らしの経験がないため、ダウンタウンの番組で修行中だとか。ちょっと言葉が汚くならないか? かといって浜村純で勉強されても困るだろうなあ。
「きょうのヒーローインタビューは、初登板初完封の吉野投手です!」
「ハイ、今日のピッチングは絶妙というか玄妙というか、えもいわれぬものでございました」
「……ええと、今日のピッチングを振り返ってもらいたいのですが」
「一回の表、元木でしたねえ。内角寄りに立っていました。威嚇してやろう、そんな根性が透けて見えました。そこへ内角ぎりぎりの速球。まさか、そんな顔で元木は呆然としていました。そこへ、投げる、投げる、投げる、投げる……」
「……あのー、全部振り返らなくても結構なんですが……」


11月28日(日)


星野、阪神入り表明
 FA宣言したらマスコミが騒いでくれるかと思ったら、佐々木、小宮山、江藤、工藤、進藤の陰にすっかり隠れてしまった星野。せめて交渉が長引けば新聞種にでもなるかと思ったら、工藤と江藤のためすっかり霞んでしまった。イチローを持ち出したらネタにでもなるかと思ったが、取り上げてくれたのはデイリーだけ。やむなく、これまで通り地味人生を貫徹すべく、ひっそりと阪神入りを表明。阪神は来年より、「派手に騒がれるくせに十勝できない藪」「十勝してもまるで騒がれない星野」の二本柱でいくことになった。

OB会は大騒ぎ(日刊スポーツ)
 27日に行われた阪神OB会を私用で欠席した野村監督。これに怒ったのが田宮OB会長。「この場に出てこないのは残念だし、あってはならないこと。言っていることとやっていることが違うではないか」と批判。さらに、「不振の責任をわれわれOBの指導に押しつけるようなことをされては困る」と野村監督の言動を批判。
 いっぽう、田淵、江本の両OBはFA入団が決まりそうな星野を「理想的な投手。あとは外国人のいいのを入れればいいんじゃないかな」と歓迎。それにしても、田宮はFAと同じような十年選手の権利を行使して東映に移籍、田淵は西武に放出、江本は南海から移籍、と、本来の意味での生え抜きがどこにもいない。出ていった田宮がずっと会長なのはなぜ?


11月29日(月)


カツノリを金銭トレード(毎日新聞)
 ちょっと待ってください。「取らない」と言ってたじゃないですか。本人も「ヤクルトのカツノリで頑張る」と言ってたんじゃないですか。登録名も「野村」にするとか言ってませんでしたか。それを急に何もあなた。それじゃ田宮OB会長ならずとも皮肉のひとつも言いたくなるじゃありませんか。私には理解できない。
「カツノリ捕手は、阪神野村克也監督の三男で、1996年に明大からドラフト3位で入団。51試合に出場し、54打数12安打で打率は2割2分2厘。本塁打1本。打点2」(日刊スポーツより)
 ……結構、いい選手じゃん。
 ………………あ、ごめん。「4年間の通算成績は」ってのを書き落としてたぜ。


11月30日(火)


石田管理部長の季節(日刊スポーツ)
 契約更改の季節となり、昨年「投手の肩なんか一球でできる」「大豊は九番目の選手」などの名言で知られる石田管理部長がまたやってくれました。
 まずは吉田浩。「何も特徴がないし、便利屋みたいな仕事では給料は上げられない」とばっさり言い捨て、現状維持の1320万円を提示。「便利屋」と罵られた吉田は、悔し涙を流しながら保留。
 次に塩谷。ようやく一軍で成績を残した彼に、「やっと一軍選手として認められたので、一軍の最低保障から」と300万円増の1300万円を提示したが、塩谷はこれに「当てつけにしか聞こえません」とこちらも保留。
 最後は杉山。こちらは前回、400万円ダウンの4800万円を提示したが保留。はじめ先発要員として期待されながらも中継ぎになり、それでも2勝を挙げた実績を考慮して欲しい、と訴える杉山に対しては、「中継ぎ投手は一、二球で勝ち星がつくこともあるので、勝敗は査定の対象にならない」と提示額を変えなかった。杉山は納得いかず保留。
 というわけで「石田が名言を吐くと保留」の法則は今年も健在。藪、新庄、坪井らの更改のときどんな名言が飛び出すか、今から楽しみである。


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