虎本営発表(1998.開幕〜5月)

   


98.04.03

 開幕。早くも最下位転落。

 藪、轟沈。横浜にも勝てない藪は最早使いものにならじ。

 それにしても負け戦に竹内を使ひてローテーションは如何にせむ。山村か?

 

98.4.5

 開幕三連戦を3点といふ貧打にて悉く失ふ。クリークの好投のみが救ひか。

 リベラも心配通り打たれる。メイ、早く来てくれ。

 ヤクルト、仲良しにならふよ。

 

98.4.10

 広島弱体投手陣を撃破しやうやく2勝目。ヤクルトの結果次第だが兎も角単独最下位は脱出。されど安堵には程遠し。

 大豊は猛打賞だが和田、新庄、パウエルは?まあ新庄には最初から期待していないにせよ率を読めると思っていた和田とパウエルの不振は深刻なり。そろそろウィルソンに呼び出しがかかるか?

 巨人は連敗で首位転落。まあ、横浜は、ヤクルトと同じくらい阪神に勝っていれば去年優勝してた球団であるから。最終回、佐々木が危険球退場のときは、まさか勝ちはせぬかと危惧。巨人のためにも、勝ってはならぬ。もしあれで巨人が勝てば巨人は魔の球団、鬼の球団ならむ。(太宰治談)

 

98.4.13

 虎軍は開幕後9戦を重ねるも、戦局必ずしも好転せず、ここに虎本営は陣容の見直しを図る必要が生ず。

 そもそもの敗因は虎軍の誇る大豊、パウエル、新庄の大鑑巨砲がいづれも空砲、敵機動艦隊の攻撃に全く無力なるに依って起こりたるものなり。我が軍は機動力ゼロ、盗塁ゼロの張り子艦隊と化したり。

 範を過去に求むれば、真珠湾攻撃で戦艦の大半を失ひし米海軍が、空母を中心とした機動艦隊として再編成し、ミツドウエイでは見事復仇を果たした故事あり。虎軍も機動戦隊への転換は可能なり。

 まづは坪井、ウィルソンを起用して機動力主体の部隊とすべし。大豊、新庄、桧山の空砲陣ははつきりと支援勢力に格下げすべし。どうせプレッシャーに極弱の3人なればその方が気が楽なり。

 

98.4.19

 神様、仏様、八木様。

 不振のパウエルに代はり平塚を据へて、やうやく四番の座に人を得たり。八木様の大活躍、和田の復活、リベラの快投ありて4連勝。借金完済へあと1歩。惜しむらくは坪井に当たり無く星野も不振。一番の座は四番以上の鬼門か?

 今年の虎軍は駄目押しができるやうに成つた点が違ふ。去年の虎軍は真珠湾攻撃の南雲艦隊の如く、敵を叩ひても淡泊にして後の逆転負けを招きたること多し。今年は第1波の攻撃に続きて第2波、第3波と波状攻撃で敵投手陣営を壊滅させ、再起の機会を失はせることに成功せり。

 ヤクルト投手陣は壊滅的打撃を受け、その後のカードで広島にすら連敗といふ有様。巨人もまた野村が修復不能の大損傷。彼も亦。

 

98.4.22

 わたつみの浜の真砂を数へつつ君が獲りにし勝ち星とせむ

 いにしへにありかあらずか知らねども常勝の途今に始めむ

 見渡せば八木、平塚をこきまぜて浜より吹くは神々の風

                       虎玉

 

98.4.29

 去年の新庄、今年のパウエルの応援自粛に倣って

 しばらく馬鹿の応援は控えさせていただきます

 ・・・だけでは愛想がないので、4月の月間ダメ人間を選んでみよう。

 打者部門はやはりパウエル。オープン戦より2割低い新庄や期待十分で登場するも凡打だらけの坪井も強力だが、やはり4番の重責を見事果たし、「あいつがいたから勝てなかった」とわかりやすい結果を出してくれたパウエルに決定。

 投手部門は湯舟。今日、楽勝の試合を一発連打で事実上負け投手、まったく進歩がないことを露呈した薮、湯舟といっしょに2軍落ちのクリークも有力だが、湯舟の不甲斐なさは特筆すべきものがある。中5日で先発しながら3回持たないところがいい。

 ついでにコーチ部門では、ゴーストップの判断がつかず3塁コーチから1塁コーチに格下げされ、同僚コーチにも、「今年中に久慈の代りのショートを育成できなかったらクビでしょう」と突き放されている平田コーチ。

 そしてMDP(最ダメ人間)はそんなチームのファンの俺。 

  今年こそ徒には咲かじと言いながら
   いつもと同じ散りそめし花

             虎玉

98.5.4

 短かったけど夢をありがとう、阪神タイガース。(プロ野球トホホニュースより)

 ついでにセリーグのこれからの展望を語ってみるか。

 広島は独走態勢を整え、オールスターまでに2位を7ゲーム離す。江藤、前田、金本が3人で阪神の全打点を超え、緒方はひとりで阪神のチーム盗塁を超える活躍。なかでも弱体投手陣を支える小林が中継ぎながら規定投球回数を軽く超え、最多勝、最多セーブポイント、防御率のトップ。巨人以外の心有る野球ファンの支援により桑田を破りオールスターファン投票の1位に選ばれる。しかし、8月、小林が酷使で潰れるとともに失速。江藤が恒例の骨折で打線もつながりを失い、首位から陥落。シーズン終了後、ルーキーの1年で野球人生を燃焼し尽くした小林幹英の栄誉をたたえ、原爆ドームの横に、「小林幹英殉難碑」が建立され、小林の名は、「平成の権藤」として広島ファンの間に長く語り継がれるのであった。

 広島の失速で覇権争いは中日と横浜へ。中日はこの優勝戦線参加で星野嫌いの今中が、「星野のためでなく、中日のために・・・」と発奮。首位打者争いの関川、盗塁王独走の李などの活躍に、なぜか復活した山崎も加え優勝を争う。横浜は、打っても打っても注目されない悲劇の首位打者鈴木、脱税でやっと注目された波留、ローズに駒田と地味な面子で打ちまくる。斎藤隆が後半戦、完全にエースとして復活したのも大きい。覇権争いはこのまま10月までもつれこむが、天王山の中日・横浜戦で李が痛恨の大チョンボ。激昂した星野監督は試合中にもかかわらず李にビンタの嵐。これが韓国にも実況中継されていたからたまらない。「日本軍国主義は生きていた」「韓国人差別の実態がここに」「星野は軍国日本の鬼憲兵」と国際問題に発展し、小渕総理大臣が金大統領に陳謝する騒ぎとなった。この騒動で、トップバッターの李、ローテーション投手のサムソンリー、押えの切り札宣が韓国に引き上げ、ついに中日は脱落。優勝の栄冠は34年ぶりに横浜に輝く。しかし優勝しても地味なチームは、日本シリーズをロッテと戦い、「関東南沿岸部シリーズ」などと気象情報のような名前をつけられ、史上初の全国放送なしの日本シリーズになったのであった。(TVKと千葉テレビが完全独占生中継。視聴率は東日本2%、西日本0.5%と最低だが、シリーズ通してのフランコフルト弁当の売り上げは弁当史上最高だったという)

 優勝争いをよそに利己的遺伝子を発動するのが通称「ハイエナ軍団」ことヤクルトと巨人。好調のチームには抵抗せず、勝てそうなチームにのみ全力を注ぐ戦略でセリーグを盛り下げる。前半の阪神、後半の広島など、溺れた犬を叩いて3位争い。巨人は斎藤と槙原に衰えが甚だしく、シーズン中に引退宣言。石井はいつもの骨折、清原がいつもの不調を取り戻すが、帳尻あわせが得意な桑田と復活した松井の活躍。何のかんの言われながら1割5分、35本の成績を残し「トマソン2世」と呼ばれたダンカンも参加して最終戦で3位に滑り込み、ドーム開幕戦を阪神戦で迎えるという幸運を手に入れる。ヤクルトは高津、川崎、ホージー、古田らが後半復活するが、やる気を失った野村監督と、ペナントにまったく関係ない3位争いに燃える長島監督の執念の差で4位にとどまる。野村退陣、後任に若松就任。

 

98.5.6

 こっちがせっかく諦めをつけたのに連勝するなよう。

 

98.5.10

 焦らしては冷まし、諦めかけると誘いをかけて燃え上がらせる。

 悪女の手口は、女が美しい間だけ通用する。

 いつか女は、いつもの手練手管に乗ってこない男に気づく。

 鏡に映った女の容色は衰えている。


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