ナミダぽぽろ

→やあみんな。おれがぴのんだ。かの有名な怪盗ルパンの孫だ。というのはうそだ。ポポロクロイス王国のパウロ国王の孫だ。つまり現ピエトロ王とナルシア王妃の息子にあたる。そんなわけで合言葉はWZSG(うざったいぞ戦闘画面)、今夜もしばらくつきあってくれ。
→おれはなんだかとてもフクザツな家庭に育った。ふつう王家といえば純血主義で、庶民や外国人の血なんて混ぜませんことよおほほ、というアンバイだと思われているのだが、ポポロクロイス王家はどうやら、そうではないらしいのだ。おれのばあちゃんは竜。おれのかあちゃんは公称森の魔女、じつは妖精王の娘。たしかこの世界をささえているのは人間族、妖精族、竜族、神族の四つだったとおもうが、おれの遺伝子にあと神族の遺伝子がくわわればかんぺきなのだ。すごいかもしれない。
→そんなわけでおれはえらい放任教育、というか、ほったらかしで育てられているようなきがする。だいたい八歳のむすこがモンスターの出る外にでかけるといったら、ふつう親は止めるだろう。ところがおやじのピエトロはほったらかしだ。ジブンがむかし冒険したからということなんだろうが、おやじが冒険したのは十歳になってからだったし、ちゃんとおやじのおやじ、つまりパウロ前国王は護衛に兵士をつけてくれたときいた。役に立たなかったらしいが。
→おふくろもひどいもんで、海でおれがナンパしたあやしげな女をベッドにひきこんでも笑って見ているだけだ。まあ、自分も森でナンパされたあやしげな女だったからかもしれないが。それにしてもおふくろの羽根と触角はどうしたのだろう。たしかおれが六歳までいっしょにフロに入っていたころは、あったはずなのだが。
→おれのおばさんもろくでなしだ。じいちゃんがもうシラガになったころに産ませたはじかきっ娘なんだが、ジブンのおやじ、つまりじいちゃんとは歳が離れすぎてなつかなかったらしい。そのぶんおれのおやじになついて、えらくブラコンだ。そのせいかいきおくれて十八になるのに結婚もせずふらふらしている。解説書によると「ポポロクロイス王国の平和のために働いています」とのことだが、おれが見た限り、いつも城の中庭でぼーっとして、口笛の練習などしているだけだ。
→その王家の臣下ときたらひどいもんで、おいぼれた大臣、犬顔の学者、いつまでたっても魔法がうまくならない魔術師、かんじんなところでにげだす兵士、こんなのばっかり。おれが産まれる十五年ほどまえ、ガミガミ魔王にせめこまれてじゅうりんされたそうだが、こんな国なら、いま城下町の下宿屋でおいぼれているあいつにだって負けるだろうな、とおもう。ほんとに。
→オーケー、くだらない愚痴はこれくらいにして曲にしよう、小山茉美「瞳の星座」だ。これはかの名作アニメ「魔法のプリンセスミンキーモモ」のOVAのエンディングテーマだ。これをかければネコだって泣き出すぞ。ぴのんぴのん。(ネコはほっといても鳴くんだってばっ)


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