王道をゆく

 ち、違いますっ。僕はそんな人間じゃありましぇん。

 というわけでここで問題になっているのはポポロクロイス物語だったりする。
ポポロを知らない人をすっとばして本題に入ってしまってもいいのだが、私は親切な
人間なので説明しよう。
まあ要するに「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」「ブレスオブファイア」
などと同列の、悪の大魔王を倒すために勇者が世界を旅する、というたぐいのゲームである。
差別化のため、「アニメチック・ロマンチックRPG」などというたわけた副題で売っていた
ゲームソフトでもある。
評判がよかったため2も出たのだが、さらにそこでは「涙ぽぽろ」という頭が痛くなるような
副題が付せられていたのである。
まさに涙と感動の大安売り大会である。

そのようなストーリー展開はあまり関係ない。
一部のマニアをポポロに釘付けにした原因は他に有ったりする。
主人公のポポロクロイス王位継承者、ピエトロ王子は1での年齢は十歳。
2での年齢は十五歳。副主人公の森の魔女ナルシアは1で十一歳、2で十六歳。
ふつうのRPGの常識を破る低年齢勇者であったのだ。
十歳の子供に世界を守らせるなよポポロクロイス国民。
この低年齢設定に加え、キャラクターデザインした田森庸介氏の三等身デフォルメにより、
世界最強のろりぷにRPGとしての名をほしいままにしてしまったのである。
さらにサブキャラとして登場するのは中年男のガミガミ魔王や白騎士や鬼面童子、
ピエトロよりやや上のレオナ、ピエトロよりも若いジルバ王女などである。
つまりこの世界には、十代のろりぷにと中年男しか存在しない。
ろりぷにマニアにとっては夢のような世界である。
ナルシアやジルバになりきってろりぷにの若々しい皮膚の弾力を楽しむのも良し、
自分に似たガミガミ魔王になりきってナルシアやジルバを視姦するも良し。
いや、私はろりぷにマニアじゃない。断じてない。

そんな「ポポロクロイス物語」も、こんどついに3が登場する。
いっきに時代設定は十数年が過ぎ、ろりぷにだったピエトロ王子もナルシアも、
いまや中年の夫婦である。ぽてちん。
しかし心配するに及ばない。主人公はこの夫婦の息子、ピノン王子である。その齢なんと八歳。
ピノン王子をサポートする謎の美少女ルナも八歳である。むろんろりぷに。
というか、Webのキャラクター設定を見る限り、田森氏のキャラクター設定は
ろりぷににいっそう磨きがかかったように思える。
これほどのゲームである。買うっきゃない。

と興奮する私に対して世間の目は冷たい。
ハラ某は「ハーケンクロイツ物語だったら、ボクも買うんですけどね」などと言い捨てる。
「どういう物語なんだ、それは」
「だからですね、主人公は十歳のヒトラーです。それが学校の先生に反抗したり、
のんだくれの父親に反発したり、川で遊んで溺れかけたり、ローレライの魔女と出会ったりする」
「最初はユダヤ人とか共産党員とかのザコ敵を倒して、ついにはボス敵チャーチルの城を攻める」
「ああ、いいなあ、『ガミガミV2発射!』とかいって……うっとり」
「なんかやばそうだぞ、そのゲーム」
「うっさいなあ。面白いじゃないですか。これぞナショナリズム・ソーシャリズム・RPGの
傑作ですぞ」
「…………」
「ローゼンクロイツ物語でもいいなあ。真理の探究と賢者の石発見のためすべてを捨てて
邁進する男のロマン。これぞアストロロジスト・アルケミスト・RPG」

かなり歪んだ世間の目はともかく、大いなるハードルが行く手をはばんでいるのであった。
今度のポポロはプレイステーション2用のソフト。ところが私は、
このゲーム機を所持していないのであった。
プレイステーション2はだいたい市価27800円。メモリーカードが3000円。
ソフト5800円とあわせて、約4万円の出費を強いられるのであった。
窮迫の度を高めつつあるわが家計に、この出費ははたして可能であろうか。

ポポロクロイスの城は今日も雨。


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