2008年10月4日:フリーダムコスプレ喫茶・キャンディフルーツストロベリー

萌カレー

 長いこと更新してませんでしたが、別にメイド喫茶を卒業したわけではありません。まあ、酒がおおっぴらには呑めなくなってメイド居酒屋やメイドバーに行けなくなったとか、メイド喫茶Tiaraの半分が魔女っ娘バーになってしまったとか、相変わらずぴなふぉあとキュアメイドは混んでいるとか、そういう事情もありますが、メイド喫茶なら秋葉原で用事のついでにときどき寄ってはいたのですよ。ただ、特筆すべき出来事も確たる目標もなかっただけで。
 しかし今回は違います。明確な目的があるのです。カレーを買うという。

 きっかけは楽士さん、ええとこれはみくしでの名前で、雑文での名はなんだったっけな、やさぐれ軍曹竹下派とか、テキーラらっぱ呑み令嬢とか、そういうカッコいい名前だったような気がする。なんかもう、雑文よりもみくしで共有した時間のほうが長くなってしまいましたなあ。<共有って言うなキモがられるから
 その姐御肌KGB長女、じゃなかった楽士さんの主催で、珍カレーの会が催されることになったのでした。もぎ取り式ジャーマン、もとい楽士さんが全国を巡って集めた、世界の珍カレーをご披露するのです。愛媛じゃこ天カレーとか、京野菜カレーとか、淡路島タマネギカレーとか、沖縄ゴーヤカレーとか。それに私も、及ばずながら岡山桃カレーを持ってはせ参じようと思うのですが、いかんせん一品ではタマが足りない。
 そこで思いついたのが、秋葉原です。
 (そうだ、どこかのメイド喫茶がレトルトカレーを売っていると聞いたことがある)
 それが今回のターゲット、キャンディ・フルーツ・ストロベリーなのです。

 キャンディ・フルーツ・ストロベリーは別店舗で眼鏡とコスプレ衣裳の販売もやっていて、どっちが本業なのかよくわからないけど、むろんメイド服の眼鏡っ娘が接客しているのを確認してきました。
 喫茶店のほうは、つぶれたラオックスザコン跡地の裏手にあります。正式名称は「着せ替えカフェ Candy Fruit Strawberry」。着せ替え、というところがミソのようです。
 地下の店舗に入っていくと、ちょっと狭めな店内に4つのブースが。居間をイメージしたソファと、普通の喫茶店ぽいテーブルに椅子と、学校の教室のような机椅子に黒板と、診察室のような回転椅子に人体模型と検眼表と。私はソファに案内されました。くたびれたっぽいオッチャンだからでしょうか。
 ソファの後ろにはコスプレ衣裳がぎっしり。そしてメニューを見ると、「お着替え(女性のみ) 1,000円」の値段表が。
 メイドさんに聞いてみると、女性ならここに並んでいる衣装を選んでコスプレして写真を撮るのが1,000円でできるそうです。ちなみに靴は別レンタルで200円。
 ううむ、私の知り合いの女性で、この店でコスプレしてくれそうな人は……楽士さんはすでにコスプレのような衣裳を常時着ているし、kasumi様はこの店の数倍の衣裳を自前で保有しているし、くらりさんにはダーリンがいるし、茶川さんは住所不定音信不通だし、h-ysさんはこちらがプレゼントしたベリーダンス衣裳すら身につけてくれない不人情だし、紫……さん……サイズ……。この店はコスプレに対するこだわりで、Sサイズしか揃えてないそうです。メイドさんもSの人しかいないから、教室のセットではいきなり差し棒で手をはたかれたり、診察室ではいきなり術式開始、ってことは、たぶんないんじゃないかな。ま、ちょっと覚悟はしておけ。ちびのサディストは恐ろしいぞ。

 メイドさんの制服は日替わりで、曜日によって女学生の制服や、アニメキャラのコスプレなどがあるそうです。土曜日はキャンフルの日ということで、とりあえず心臓を刺激、というわけではないですが、別店舗で売っているメイド衣裳に身を包む日でした。黒の正統派メイド服と、白のフリフリっぽいメイド服。

 ちなみにこの店のコンセプトは「あえて方向性を狙わず、自由に楽しんでください」とのことで、メイドさんとお話するのもよし、メイドさんの手品を見物するもよし、コスプレしてみるのもよし、いろいろ楽しんでみてください、ということのようです。私もこんど南京玉すだれを持っていこうかしら。
 ただ、パイオニアとしての苦労は尽きないらしく、レシートの裏には、「天井に監視カメラを設置、入り口と廊下にもカメラを設置して、会員様も閲覧できるようにしています。これについて肖像権や個人のプライバシー侵害という抗議もありましたが、顧問弁護士に相談したところ、なんら問題ないとのことでした。この件についてブログや掲示板で中傷めいた書き込みがありましたが、すべて事実無根です」と書いていました。なんかしらないが、いろんなものと戦っているんだろうなあ。「『お帰りなさいませ』と迎えてもらった自宅の壁に『写真撮影禁止』とか『メイドさんに接触しないで』とか貼り紙があったら、どんな気がしますか?」と他店にさりげなく喧嘩を売ったりもして戦線を拡大しているし。でも、この店でも、写真撮影は会員のみなんですけどね。会員登録は無料ですが。

 そして忘れてはならない、お土産の萌カレー。
 なんか甘そうです。「フルーツとジャムのオリジナルカレー」と書いています。メイド喫茶にカレーというと思い出すのはキュアメイドカフェのチャンピオンカレーでしたが、こちらはああいう豪快さんカレーではなく、ひたすら甘くせつないギザカワユスなカレーのようです。

 肝心のカレーの味であるが、翌週、楽士氏の宅で賞味した。
 これは私のとぼしい味覚経験からいっても、
「無念」
 と呼ぶしかないものであった。
 フルーツの酸味とジャムの酸味とが摩訶不思議な化学変化を起こしたとしか考えられない。
 しかも、そうやって増強され変質された酸味が、他の素材の嗅さ加減を和らげるのではなく、
「増幅」
 してしまっていた。
 めったに食い物のうまいまずいを言わない楽士が、
「これぁ、食えねえ」
 と匙を投げたほどである。
 あくまで、これは、私個人の意見である。
 世間は広い。この萌カレーに、
「美味」
 を感じ、
「萌」
 える人がいないとはかぎらない。
 そうあってこその、
「フリーダム」
 ではないだろうか。
 ただ、私は、その人と馳走を共にしたいとは、思わない。


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