2006年9月23日:台北女僕喫茶 Go! Waste!

台北駅地下街西端
女僕喫茶単票表面女僕喫茶単票裏面

 メイド漫遊も今回は海外、台湾にその舞台を移した。自然筆者も、ここから稿をあらためて、
「西征編」
 とする。<そのネタ、もうやったって

 台湾の首都(首都と言っていいのかどうか知らんが)、台北。その中心をなす台北駅。その地下には昨今、地下街がめぐらされている。
 その南側は、三越や台北101などを擁す大通り、忠孝西路に並行して地下を走る站前地下街。北側に位置するのが、市民大道と並行して地下を走る台北地下街である。
 地下街のパンフレットは中国語、英語、日本語が記載されており、ワールドワイドでグローバルな配慮がされているが、それには、「地下街は直接カエサルのホテルまで歩いてつくことができる」「駅を譲る前に地下街は占めて優位を尽くして、台北駅の前で非合法的なネットの起点になる」「中華マーケット全長の1キロメートルは多くて、共に8棟の建物に分けて、北の扉は付き合いと引き分けして第1棟のため起きて、小南門が付き合いと引き分けするのは第8棟だ」「もっと多くて非合法的な空間を釈放して、彼は指摘して、天候の影響の地下街に、高品味、低い消費のショッピングの空間を提供することができるように受けないと表している」「参与する文化は活動して、市民の文化の息を増加する」「活力が立つ前!文芸の息を除いて、駅の前で地下街は更に日光の活気を満たした。広場の上ので時青少年が集中してダンスを訓練することにわかって、若い人を参与させる活動、十分に台北の青春と活力が現れる」「本物の北京、イスラム教の館、お菓子の世界はすべてこれにある」(原文ママ)などなど、まがまがしい日本語表記で満ちあふれていて、どこか危険な香りがする。

 そんな台北地下街をずっと西へ西へと歩いていくと、地下街の雰囲気がだんだんと変わってくる。
 それまでブティックや文具など商っている店が並んでいたはずなのに、どういうわけかいつのまにか、ゲーセンやプラモデル、アニメビデオやゲームを商う店ばかりが立ち並んでいるのだ。
 それにつれて客層も一変する。
 昔、筋肉少女帯の大槻ケンヂが、プロレス団体ゼロワンの試合を見に来る客を「モテないオーラが立ちのぼっている」と評して物議をかもしたことがあった。この地下街にたむろする台湾人はそれを超えている。なにかもう、見たとたん、「この人もうダメ」と断言できそうな、そういう妖気が周囲5メートルに渦巻いているような、そんな人ばかりが、何人も何人もたむろしているのだ。
 外見的特徴でいうと、ええと、身長165センチ前後。体重85キロ以上。白地にアニメプリントのTシャツ。ケミカルジーンズ。なぜかTシャツは身体にぴったりしすぎて、おなかがはみだしそうになっている。その身体からすると小さすぎないかというデイパックを背負っているか、縦長のショルダーバッグを律儀にたすきがけしている。そんなのが何人も何人も、ゲーム屋の店先で、コントローラーを握ってゲームに興じているか、あるいは熱心にアニメビデオに魅入られている。

 そんなおそろしい妖怪横丁を歩くこと数百メートル。地下街のはじっこもはじっこ、まさに西端に、われわれが目指す喫茶店、台北女僕喫茶「Fatimaid」は存在した。
 なぜか店先には山手線秋葉原駅の看板。それ以外はふつうの喫茶店と変わりはない。メイドさんのアニメポスターがでかでかと飾られてはいるが、まあそれだって、メイド喫茶としては普通だ。
 店の中に入ると、エンジ色のメイドさんが迎えてくれる。なにやら中国語で話しかけ、通じないとみるや、
「お帰りなさいませ、ご主人様とお嬢様」
 と流暢な日本語で挨拶。(このとき同行の女性がいたが、とてものこと、お嬢様というほどの年齢でも品格でもなかったのだが)たぶん中国語も、「帰去来御主人様兼御令嬢」というほどの意味だったのでしょう。

 木目調の店内を案内され、人造皮革の椅子に腰を下ろす。私はポットティー(150元)と手作りクッキー(90元)、同行者はダージリン(150元)を注文。
 この注文は失敗だった。私は、せっかくの台北メイド喫茶だから、ポットで紅茶を飲みたいと思って注文したのだが、ダージリンもポットだったのだ。しかも私の紅茶はリプトン。どうせ同じ値段で同じポットなら、私だっておいしい紅茶が飲みたかったよぉ。
 クッキーは中華風でなく西欧風の、ココアやバニラやアーモンドなどを使ったクッキー。テイクアウトして日本まで持ち帰ったので、ご希望があればおわけします。

 店長の趣味なのか、店の中にずらりと日本の雑誌が並んでいる。それがどういうわけか、「コンバットマガジン」「Gun」といったミリタリー雑誌ばかり。どういうわけでこの人は、メイド喫茶なんか開く気になったのか、小一時間問いただしてみたいところである。素直に従軍慰安婦喫茶にすればいいものを。
 店内はあと、ガシャポンが3台と、寄せ書き帖があるくらい。オリジナルグッズなどは販売していない。飲み放題ドリンクバー(100元だったかな?)があるが、メイドさんのいるカウンター内に設置されていて、セルフで勝手に飲むことはできない。まあでも、メイドさんに注いでもらったほうが嬉しいか。

 この日のメイドさんは4人。うち3人が正規のメイドで、あと1人は、見習いというのか、あの肩に設置する白いヒラヒラなしで、皿洗いや湯沸しに従事していた。下僕女僕かもしれない。
 残りの3人は、美人系で背の高いのひとり、童顔で背の低いのひとり、眼鏡っ娘ひとりと、みごとなバランスで配置されており、店主のメイドにかける心遣いというものを感じさせてくれました。さすが茶芸の国台湾。

 やがてわれわれの隣には、メイドさんに案内されて父親とその娘が座る。この娘が4歳くらいだろうか、あどけなくてかわいくて、ちっちゃな手にスプーンを握りしめてクリームを掬うしぐさがかわいくて、両手でコップを抱えてジュースをこくこく飲むしぐさがかわいくて、パパによりかかって甘えるしぐさもかわいくて、足をばたばたさせてパンツが見えるのもかわいくて、ああもう、旅の疲れもメイドさんとょぅι゙ょのダブルパンチで癒されるってもんさ。

「行ってらっしゃいませ、ご主人様とお嬢様」
 の言葉に送られて女僕喫茶を出るわれわれは、癒しパワーで気力充実とともに、なにかあってはいけない類のオーラが、太陽のプロミネンスの如く全身から噴出しており、さすがの台湾ヲタも後じさりする迫力だったと、のちに下野した陳総統は記者に語ったという。


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