2004年11月13日:メイド生体ZOID

 未鏡さんと待ち合わせて小規模お散歩メイド。おめあてはZOID。平日は普通のショットバーで、土日のみメイドショットバーになるという店です。前回行こうとして道に迷ったので、こんどこそ。

 いつものようにラムで待ち合わせ。この日のラムは「制服・先輩デー」とのことで、店に入るといきなり、
「センパイ、お疲れさまです!」
 と元気に挨拶される。疲れたぞ後輩。
 ウェイトレスはみんな学園の制服らしい。セーラー服にエプロンとか、ベレー帽とブレザーとか。未鏡さんは童顔のセーラー服眼鏡っ娘がお気に入りらしく、ここ最近入りびたっているとか。
 私は直前に食事してたので後輩特製いちごミルクにしておきましたが、未鏡さんは小悪魔の生ビールと、「後輩が手渡しするやきそばパン」にチャレンジ。お気に入りの眼鏡っ娘にパンを手渡しされてにへら〜とかぶりついていました。この手渡しやきそばパン四百五十円をボッタクリと思うか嬉しい値段と思うか。
 店を出るときはやっぱり、「行ってらっしゃいませ、センパイ!」でした。

 それからちょっと時間を潰し、おめあてのZOIDへ。なんだ、万世のすぐ裏じゃん。前回は遠いところを探しすぎた。
 開店早々だったため客は一人だけでしたが、私たちが飲んでいる間に四組くらい入ってきました。わりと常連客が多いみたい。でもJAMのように声高に喋らないので気にならない。メイドさんは五人くらい。黒の正統派メイド衣装です。
 店の内装は正統派のショットバー。八人くらい並べるカウンターと、背の高い椅子とテーブルが四脚くらい。ダークグレイの内装。薄暗い照明。メイドらしいところといえば、ところどころにロボットや女の子のフィギュアが置いてあるくらいでしょうか。
 さすがショットバーを名乗るだけあって、酒の種類は豊富です。ビールウィスキーブランデー焼酎ウォッカジンラムテキーラから、北欧の焼酎アクアビットやブラジルの地酒ピンガまである。ゆうに百五十は超える品数です。はじめてピンガを飲んだのですが、ほのかに甘く、ラムよりもっとサトウキビの香りを残した酒です。うちへ帰って開高建の「オーパ!」で確認したのですが、ラムは糖蜜から作るのに対し、ピンガはサトウキビそのものを発酵して蒸留した酒だとか。
 ただ残念なことに、五人ほどいるメイドさんが暇をもてあまして談笑していること。談笑するくらいはいいのですが、それに夢中になって客の注文になかなか気づかないのはイカンのではないかと思います。
 ただこれはZOIDを責めるわけにはいかないかもしれません。店としてもメイドさんの使い方をどうしていいか、試行錯誤の段階にあるのではないでしょうか。
 喫茶店や居酒屋なら、もともとウェイトレスが何人もいるのが当たり前ですし、役割もある。それにメイド服を着せればいいだけの話です。
 しかしショットバーは、そもそもバーテンとその補佐、二人くらいでやっていく商売。注文に応じて酒を注ぐバーテンと、その下働きで氷を割ったりつまみを並べるのがいればいいのです。
 そこに何人ものメイドがいても、やるべき仕事がないのです。まさかキャバレーのように横に座るわけにはいかない。手持ちぶさたなので、どうしても談笑してしまいます。談笑してしまうと、客なんかどうでもよくなってしまいます。
 とにかくZOIDは、これからメイドの役割分担を創造していくことが求められます。既存のマニュアルを流用できるメイド喫茶やメイド居酒屋に比べるとイバラの道でしょうが、さらなる発展を期待しております。ああ、あのころの不手際は、いまの状態を産むための苦しみだったのだね、と、いつか笑って言えるようになるために。
 この店も来店時は「いらっしゃいませ御主人様」、退店時は「いってらっしゃいませ御主人様」でした。私らが入ってきたときにはメイドさん、談笑に夢中でなにも言ってくれませんでしたが。シクシクシク。

 ウィスキーを四杯ほどやっつけて酔ったのか、未鏡さんが声高になって店の雰囲気を壊しそうになったので、ZOIDを出て秋葉原をしばらくうろつき、Cos-Chaへ。この日のCos-Chaは珍しくイベントがなく、みんなメイド服を着ておりました。
 未鏡さんはメシ食って帰るということでハンバーグとライスとスープ。全部頼むと千五百円以上になり高いとこぼしていましたが、いま思えば、キャンペーンのお月見ハンバーグセットとやらを頼めば安かったのでは? 私はビールとソーセージ。
 店内でデカレンジャーなる特撮番組を上映していましたが、メイドさんのひとりがこの番組のファンらしく、えらくはしゃいでおりました。なんか微笑ましい。孫を見るような気分だ。


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