ブレス・オブ・ファイア3伊勢物語
遅ればせながらプレステを買い、ブレス・オブ・ファイア3を始めたので、その冒険日誌をつけてみようかと思った次第であります。普通の冒険日記なら他の人がもっと面白く書いているんで、伊勢物語仕立てでやってみようかという無謀というか酔狂というか。ま、ぼちぼちと飽きるまで更新していきます。
第一段
むかし、龍ありけり。鉱山にて捉へられしが、逃ぐるのち人と化したり。盗賊の若者に養はれ、初冠して、街道に盗賊にいにけり。山がつ通るをみて、いざ襲はんと思へど、剛強にて隙なく、空しく見送る。
起きもせず寝もせで夜を明かしては
山がつ通るをながめ暮らしつ
第二段
むかし、ぬえといふ異獣ありけり。作物を奪ひて百姓のわづらいとなす。男、これを退治せむとて山に行きけり。山の奥、洞窟にて倒せしぬえは子あり。ぬえ、死せし子をなをも養はんとしてのことなり。男、かやうなことなればえ殺さじと泣けども、かひなし。
みちのくのしのぶもぢずり子のゆへに
乱れそめにしぬえならなくに
第三段
むかし、男ありけり。マクニールといふ土地の庄屋、百姓を苦しめりといふを聞きて、仲間と館に潜入す。その館、先祖の霊あまたあり。当主柔弱にしあれば先祖館を守らんとす。
マクニールやかたを守る霊なれば
弓のゆくてを引くに引かれず
第四段
むかし、男ありけり。寅の年にそしる人ありてその館、襲はれけり。馬頭したるやくざ者なり。男、仲間と闘へど、勝てず。仲間のもの行方知れずになりたり。ウインディアの街にてさがさんとてモーランジ山といふ所にいたれり。されど山のいただきにてふたたびやくざ者と会い、またもや討ち取られけり。恨みこもりてその身龍となり、もし我にして年足りたれば、むざむざとえ討ち取られずと悔やみて、よめる、
齢たらず力及ばず倒れしは
龍にかはりしわがみなりけり
第五段
むかし、男ありけり。その男、罪をきて牢に入られしを王女といふ人にたすけられ、逃げけり。地下から出むとして牢屋の番人に声かけるも、番人夢路より醒めず、え出られじ。さて、よめる、
もの知らずわが通ひ路の関守は
宵々ならずいつも寝ななむ
故郷にはあらじ、あづまの方に住むべき街求めにとて、行きけり。もとよりの仲間とはぐれたれば、さがさんとして王女なる人とふたり行きけり。道知れる人もなくて、まどひ行きけり。エッグノック街道といふ所にいたりぬ。その地で、ガダブレダといふ呪文いとおもしろく響きければ、ある人のいはく、「ガダブレダといふ五文字を句の上にすへて、冒険の心をよめ」と言ひければ、よめる、
餓鬼といはれ打撃うけしは侮辱なれば
霊ぞつもりて打倒はたさむ
とよめりければ、みな人、ほしにくの上に涙おとして、ほとびにけり。
街道にて夜もふけにければ、やくざ者おりし所とも知らで、あばらなる家に、ひと尋ねむとて入りけり。「あなや」と言ふ間もなく、捉えられけり。かくなむあれば遠くへ逃げしものをと、足ずりして泣けども、かひなし。
尋ねびといずこと人に問ひし時
露にかくれて消えなましものを
第六段
むかし、男と王女、やくざ者の虜になりたるが、見張りの眼を酒もちて眠らせ、ほどもなく離れにけり。山ぎはにまどひ、山小屋なる処にて一夜の宿もとめしが、宿の主やくざ者に通じ、二人を売りける。もはやえ捕まらじと王女、魔術を放ち、山岳なる運搬機動かせり。やくざ者、去りけるもの惜しみて、
山ぎはのよそにも人の乗りゆくか
さすがに眼には見ゆるものかな
王女、返し、
雨雲のよそにのみして径ることは
わが身魔法の事にてやみたり
第七段
むかし、男ありける。やくざ者の手より王女を放ち、ともに逃げける。いずこともしれぬ山のうへにて、まさに捕らへられんとす。そのとき、王女、虜囚の辱めうけむよりはみずから死をえらばむとて、ともに飛び降りつ。
山にても我が身立つ瀬のなかりせむと
思へば崖の下にとびおり
男、女助けむとの心いたりて、その身龍と変じ、受け止める。
山に籠もり思ふ心をいかでかは
龍と化しても君を守らむ
第八段
むかし、男ありける。知らぬ土地をまどひ行きて、古き塔に入りけり。奇怪なるからくり通り抜けてある局にいみじう若き女住めり。土くれの小さき人形、仕え暮らしつ。女の袖か懐か、あなやと思ふ間に入りて、見えじ。
君が飼ふいと小さげな稚児なれど
君に入るは袖か袂か
女、返して、
入りみだる人こそあるらし土くれの
まなくも散るか袖のせばきに
第九段
むかし、男ありけり。王女を連れ故国に返さむとするも、関所はやくざ者に止められ、通るすべなし。やむなく女とつどひて植物の変異体といふもの見んとて、洞窟に入る。洞窟の中には白骨散らばる。何かで磨いた・・・(以降削除)
奥なりける処に植物住めり。いとおかしげな姿なり。この植物、口をききたるに、みな人心絶えぬほど驚きける。
変異をば十ずつ十は重ぬとも
思はぬ草が思ふものかは
草、返して、
朝露は消え残りてもありぬべし
誰がこの世にものを思ふや
草、我が身を思ひわびて、世を住み憂しと思ひなし、みづから身を溶岩に投じつ。
海人の刈る藻に住む虫のわれからと
死をこそ選べ世をば恨まじ
第十段
むかし、火の山をとほりて、天に架せる塔ありき国へ渡らむとせむ男あり。火の山の中程にて、たわごと言ひける老人の龍を使へるにあへり。強き龍なり。男いらだちて、
くそぢぢい涎垂らさず消え失せな
使はれし龍のあはれなりせば
諸人、この歌を聞きて、逸る心強きによりて歌心失せにけりと評す。まことにやあらむ。
(師匠って1回しか技を教えてくれないのね。「どうもババデルとドロンゾは最近吝嗇だ」などとぼやいていたのに。やっと女神様に会える頃になって知った私。しくしく・・・)