寝起きのボケた頭で相変わらずゲームには向いていない回りくどい述懐をうだうだとこねまわしながら、久しぶりにチェロを取り出していじりまわしていると、なんだか見たこともない幼女が現れた。
幼女といっても、今までの幼女とは幼女が違う。
かけねなしの幼女。
今まで登場した、とうゆだとか律子だとかが小学校低学年と推定されるのに対し、この幼女はまぎれもなく新生児。
それがどういうわけか、私の妹であるらしい。
文実という、ちょっと歳のはなれた妹だという。
ちょっとじゃないぞこれは。
エジプトとマヤのピラミッドくらい離れているぞ年齢。
だいじょうぶか私の父。これはよく言われる、はじかきっ子というやつなのか。あるいは若い後妻をもらったのか。
むかし宇野重吉がえらく若い嫁をもらって、寺尾聡の新しいお母さんは間下このみ、というネタがあったが、それを思い出してしまった。
うみゅみゅみゅみゅ。なんという失礼なことを。
あちきの大人のみりきをわかっていないのね。じぇらしぃだわこれは。
ほれ、うふん、あはん、みゅみゅん。
いきなり登場したと思ったら、どうしたというのだ。
また階段でずっこけて頭でも打ったとかそういうことではないのか。
そもそもこれは交換日記とかそういうものである。
私が書いたらあなたが書く、あなたが書いたら私が書く、とんとんとんからりと隣組、といったようなものなのだ。
それをいきなり途中で登場しては、掛け合い漫才になってしまうではないか。
もきゅもきゅ、掛け合い漫才でいいなり。
いっそ夫婦漫才と呼んでぇん、あっはんうっふん。
なにやら駄目なことになっているらしい。
とりあえず私だけでも、シナリオを続けていこう。
脚本家としての誇りにかけて。
今日はあやしい即売会、もとい、チェロの練習に出かけるのだ。
うみゅう。買い物に行くのですぅ。
今日こそは破れてない靴下と、穴の開いていない靴と、まっとうなデザインのTシャツを買うのです。そしてお茶をするのです。みゅうみゅう。
いや、私は百円しか持ってないし。
みゅみゅみゅみゅぅ(威嚇)。
今日はなんとしても拉致連行するのです。そして世間様に後ろ指をささりるない彼氏にするのです。
思い起こせば苦節数ヶ月。「kasumiさんの彼氏って、靴下に穴が開いてるらしいわよ」「あら知らないの? 靴にも穴が開いてるのよ」「それじゃ直通ね」「直通! 直通!」「こないだ会ったらズボンの裾もほころびてたわよ」「あら、あのときはTシャツの首のところもびよんびよんだったわ」「ほころび! びよんびよん!」「それに掛け布団も持ってないらしいわ」「つねに身体の一部が露出しているわけね」「きゃぁ露出彼氏」……などなどなどあることあることを言いふらされて噂にされて、あちきはそのたびに涙していたのです。よよよ。
うみゅみゅみゅみゅ、今日という今日は逃がしませんっ。あちきがお金を貸してやるから、さっさとまともな衣服を買ゆにいくのです!
あああ、今日はワンフェスが、トイフェスがぁっ……いやチェロの練習があぁっ。
最後に言っておくがなぁ、トロツキーは負け犬ではない。断じてないぞぉぉぉぉ。