土曜日は早起きしてうどんを打つ、という習慣なのだが、今回はそういうわけにもいかなかったりする。
なにしろ高校生の役なのだ。
高校生が学校をさぼっておいそれとうどん打ちに興じたりするわけにはいかない。
だいいち父兄とうどん屋が許さないだろう。
というわけで学校へ。
いきなりツインテールの女の子が立ちはだかる。
ツインテールといっても、グドンに食べられたエビの味のする怪獣ではない。
そんなのが立ちはだかったら怖いって。
わかりやすく言えば、超有名人気アイドルの水野あおいちゃんみたいな髪型の女の子だ。
どうやらこれは森代律子といって、幼なじみという設定であるらしい。
この娘は私のことを「かずぴぃ」と呼ぶのだ。
なんだか某有名関西ロックギタリスト兼西瓜泥棒雑文書きと間違われそうだ。どちらも最近彼女をゲットしてモテモテ、というところと、にもかかわらず栄養が足りずに痩せている、という二点で共通してるし。
それにしても、なぜこのゲームに登場する娘は、画面が切り替わるといきなり七才は幼く見えてしまうのだろうか。
もしかして私の深層心理からくるサイキックシールドで、私の周囲三メートルは幼女空間と化していたりとかそういうことなのだろうか。
とりあえずそんな思いを、きのうチェロに関して言おうと思って忘れていた嘘うんちくでごまかしてみる。
そして視聴覚教室でとうゆちゃんに会う。
部員がわれわれ二名しかいないという衝撃の事実が明らかになったりしているのだが、そんなことよりこの課題曲だ。
「笹蛍」
どう考えてもフルートやチェロに乗りそうな曲の題名じゃないぞ。
演歌だ。どう考えても演歌だ。
ジャケ裏に「笹蛍」の歌詞が印刷してあるが、そんなの無視して、正しい「笹蛍」の歌詞を私が書いてやる。ええい、こうだ。
笹蛍
風に吹かれて浮き草の
あちらこちらと寄る辺なく
あなたの面影忘れるような
哀しい女になりました
酒で哀しみまぎらせて
お客の膝で酔いつぶれ
今じゃ場末がよく似合う
こんな女になりました
ああぁ 笹蛍 笹蛍
葉陰にまぎれて見えない灯火
ああぁ 笹蛍 笹蛍
いつまで灯せば気づくでしょうか
きょうは忙しいのです。ひとり二役なのです。えへん。
なにしろとうゆちゃんに加え、幼なじみという律子ちゃんのコスもやらねばならないあちき。
ああ、更衣室はどこ。狭いわ、おぐしが乱れちゃう。だからコミケでのコスって嫌いよ、いや、そうゆう話ではなくって。
とゆうわけでせっかく努力して二役を演じたというのに、あちきの彼氏、いや、和也くんったら冷たいのよ。
そりともあちきの演技がよくなかったなりか。しくしくしく。教えて紫のバラの人。教えておじいさん。教えてハカセ君。
あちきのオスカー演技も無視し、コブシをむいむいゆわせて勝手に歌いながら退出する和也くん。しかし大丈夫なのか和也。
いやまあ、あちきの彼氏にくらべれば歌の趣味がいいほう、ともゆえるのだが。演歌。ええんか。ううみゅ。