冬野菜を食らう

 いよいよ本格的な冬です。冬野菜のおいしい季節になってきました。値段も安いし、こりゃ食うっきゃない。
 かといって冬野菜とはどのようなものを指すのか? 私もじつはよくわからなかったので調べてみました。白菜、大根、タマネギ、ごぼう、にんじん、かぶ、れんこん、ホウレンソウ、小松菜、春菊、ブロッコリ、ネギ、だいたいこういったものだそうです。ま、鍋に入れるとおいしそうな野菜だと思えばいいのでしょうか。ブロッコリは鍋に入れるのかとか、春菊と書くのになぜ冬の野菜なんだとか、こまごまと疑問はあるのですが、ま、そういうことで。

 にんじんとごぼうを細く切ってゴマ油で炒めて酢と唐辛子と醤油で味つけしてキンピラゴボウとか、かぶと油揚げを薄味に煮込んで煮浸しとか、れんこん一本丸ごとゆがいて辛子とおからと味噌を混ぜたものを穴の中にむにゅむにゅ詰め込んで豆粉をまぶして揚げた辛子蓮根とか、いろいろと楽しい野菜も多いのですが、やはりなんといっても冬野菜の代表は白菜と大根です。なんといっても値段が安くてかさが多いのがよろしい。貧乏人の友です。

 白菜のいいところは、とても融通がきくところ。和風でよし中華によし洋風にしてもよし、鍋でよし煮物もよし炒めてもよし生でもよし、という驚異の応用範囲です。
 まずは煮物。有名なのは白菜と豚バラのサンドイッチ煮。白菜を一枚ずつはがし、鍋に入る程度に大きく切ります。白菜を一枚、豚バラの薄切りを一枚、また白菜一枚、と交互に鍋に敷いていきます。そのまま、もしくは酒をふりかけて蓋をし、弱火でことこと煮込む。それだけ。水やスープは入れなくても白菜の水分だけで煮えます。熱いうちにポン酢醤油かゆず醤油で食うとうまい。
 あるいは白菜のクリーム煮。鍋でバターとニンニクとベーコンと白菜のざく切りを炒める。しなっとしたら牛乳をぶっかけ、あればクリームを足してコンソメスープを加え、塩胡椒で味つけ。最後に水溶きの片栗粉でとろみをつけます。これは洋風ですが、ニンニクとベーコンを省略し、バターの代わりにゴマ油、コンソメスープの代わりに中華ガラスープを使えば中華風になります。
 炒めるのは芯の白いところがいいですね。白菜の芯を短冊に切り、豚コマと炒めてオイスターソースで味つけ。あるいはカレー粉で味つけという手もあります。ちりめんじゃこを油でかりかりに炒め、あとから白菜を加えて炒めるというのもよろしい。ちりめんじゃこの塩味だけで食えます。
 サラダには芯の白いところも青い葉のところも、どっちも使えます。芯は細長く切って、ニンジンやセロリのスティックと一緒に食べると酒のつまみにいい。塩だけで食べるもよし、マヨネーズに明太子を混ぜたディップを用意するもよし。葉っぱはふつうにサラダにするのがいいですね。
 漬け物にするのもいいですね。白菜に塩をぶっかけて昆布と一緒にジップロックに入れて冷蔵庫で一晩。簡易浅漬けです。これだけでも良し、さらに進んでキムチを作るもよし。浅漬けも簡易型だからキムチも簡易型で作っちゃいましょう。白菜の浅漬けにキムチの素を混ぜ、ナンプラーかヌクマムをぶっかけてジップロックに戻してまた数日。ちょっと凝るなら、ネギ・ニンジン・大根などのせんぎり、ざく切りにしたニラ、すりおろしたニンニクやリンゴを加えてもいいです。白菜の浅漬けはそのまま食べるのもいいですが、焼きたての餅を巻くとか、ごはんにバターと醤油を混ぜたのを巻くとかしても美味しいです。

 大根は白菜ほどの応用はききません。煮ても炒めても生でも切り干しても、オレは大根だ、という主張が激しくある野菜です。でも、その頑固なところが好き、という人も。
 煮物はまあアレです。おでんにせよ豚バラのかたまりと一緒に煮込むにせよぶり大根にせよ、いまさら言うことはないですね。ただ大根を切るとき、角の部分を落として丸みをつけるとちょっとおしゃれです。
 あ、そうそうみぞれ煮があった。だし汁の中に大量の大根おろしを流し込み、それで豚の薄切りや鶏肉を煮てポン酢醤油で食うとうまいです。大根も大量消費できるし。
 やはり大根おろしは偉大です。おろすと何とでも合うから不思議です。ちりめんじゃこをふりかけるもよし、納豆とあえるもよし、明太子やイクラとあえるもよし、サイコロステーキや焼き鳥にまぶすもよし。
 大根のサラダもいいですね。せんぎりにしてホタテの缶詰かシーチキンと混ぜ、マヨネーズをあえる。カイワレ大根を載せると味がしまってきます。あるいはもっと簡単に。大根を二センチ角くらいのサイコロ状に切って大量の味の素をぶっかけるだけ。これ、妙にうまいのですが、時間と共にどんどん水が出てくるので、作ったらさっさと食うべし。


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