1.物語のはじまりはいつも戸惑い

 そういうわけでブレスオブファイア5のプレイ日誌です。
 ブレスオブファイア(以降BOFと略)のシリーズといえば、なんといっても魚釣りです。世界を救う旅の途中でも、よい釣りポイントを見つけたら釣らずにはおれない主人公。どう考えても魚と親戚関係にあるとしか考えられない半魚人を仲間にしながらもお魚を釣るのをやめられない主人公。この世に災厄をもたらし続ける悪の女神ミリアをラストダンジョンで待たせてまでも釣りに興じる主人公。梅宮辰夫も顔負けです。全盛期の大橋巨泉だってかなわない。元阪急の福本さんならなんとかなるかも。
 おまけにこの釣りテクがすごい。竿一本で十センチの鮎から五メートルの鯨まで釣り上げるその偉業。釣りキチ三平だってこんなことできませんぜ。太公望ならできるかもしれない。

 ところが、物語がはじまったこの舞台、なんだか薄暗い。それもそのはず、どうやら核戦争で地上の生命は死滅し、かろうじて人類は地下都市に活路を見いだしているありさまなのです。
 と、いうことは……釣りができない?
 なんですと?
 釣りがないBOFなんて、召喚獣のいないファイナルファンタジー、箪笥を開けられないドラゴンクエスト、闇討ちのできないヘルブレスではないですか?!
 ま、まさかとは思いますが、この先ずっと釣りができないのではないでしょうね。そうなったら泣いちゃうぞ。

 主人公はこの地下都市の最下層に住む、サードクラスのレンジャーとのことです。ま、下っ端ですな。
 どうでもいいけどBOFって、シリーズが進むごとにだんだん世界がリアルになっていき、それにつれて主人公の待遇がショボくなっていくような気がしませんか? たしか1では自由に野山をかけめぐっていた龍の落とし子である主人公が、2では孤児院を脱走したコソドロ、3では孤児院にすら入れてもらえない捨て子三人で山賊稼業、4ではついに砂漠で行き倒れ。ま、今回は下っ端とはいえ、役職と仕事があるだけマシかもしれませんが。しかし6が出たら、主人公は新宿のホームレスとかやっていそうです。中学生にいじめられているところをイラン人客引きのレイに助けられるとか。

 まずは上司に呼び出されて初仕事。バイオ公社というところの積み荷を護衛しろということです。このバイオ公社、名前といい、遠くで妖しげな煙を吐き出している本社ビルといい、どう考えてもまともじゃありません。絶対、基地外科学者が最強モンスター育成計画とか人類改造計画とか、たわけたことに没頭しているに違いない。ま、どうせ今はしがない下っ端、すなおに仕事を受けるしかありませんけど。
 バイオ公社まで行く地下鉄がぶっこわれたということで、モンスター蠢く線路を歩いて移動する羽目に。扉を開けたら、いきなりモンスターとぶち当たって戦闘になりました。ところがこれがややこしい。普通のRPGとは、まるで違う戦闘システムなのです。どうやら、餌でモンスターをおびき寄せ、そこに爆弾をしかけて粉砕するとか、そういう影牢のごときややこしい作戦が必要なようです。最初はわけがわからず、敵に向かって移動することすらできませんでした。このゲーム、始める前に解説書を熟読する必要があります。

 おまけに相棒がどうも気にくわない。この世界、人間の能力を数値で表すようになっているそうです。主人公は1/8192。まずはうだつの上がらない生涯下っ端というところでしょうか。相棒のボッシュは1/64。主人公の百倍以上有能ということでしょうか。下層地区のサードレンジャーという今の職業は、キャリアを積むための踏み台にすぎないそうです。主人公が徴兵の叩き上げ伍長としたら、ボッシュは陸軍大学在学中しかも軍刀組の少尉殿といったところでしょうか。またわかりにくいたとえを。
 ま、エリートはエリートでいいんだけど、こいつエリート風吹かせすぎ。上司の机に腰かけて、
「俺はこんなチンケな下層、すぐ出ていきたいんだ。上層階級に昇進したいんだ。それに必要なのは手柄。目のさめるような手柄を立てられる仕事を、さっさとくれよ」
 とかほざきやがるのです。けっ。てめえ、何様だ。ボッシュなんて名前はな、犬ころみたいな顔で主人公になつくだけの駄目キャラの名前なんだよ。それを一人前の人間さまのようなふりしやがって図々しい。むかつく。
 あんまりむかつくので殺しちゃいました。ダンジョンでモンスターに囲まれているときに後ろからナイフでひと突き。死体はモンスターの餌食で証拠隠滅。完全犯罪。
 と思ったらこんどは主人公がモンスターに囲まれて惨殺される。主人公、弱すぎ。


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