劣化ウランは直接摂取しない限り健康に影響なし、使用の事実は確認していない。
衆議院イラク問題特別委員会議事録(158回3号,2003年12月15日)より
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渡辺(周)委員
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ちょっと時間がなくなりましたので、幾つかに絞って質問をいたします。
実際、自衛隊が派遣をされるこの場所、今、劣化ウラン弾による被害というものが、先般ある独立の調査機関から、カナダだったでしょうか、出ました。この点について、劣化ウラン弾が使用されたという認識は、防衛庁長官はおありかどうか。そしてまた、このような汚染された土壌の上で活動するということについては、当然健康被害が懸念されるわけでありますけれども、その点についてはどのようなことを考えているのか、それが一つ。
それから、続けて防衛庁長官にお尋ねをしますけれども、いわゆる市民と何らかの意図を持ったいわゆるテロリスト、ゲリラ、この人たちとの区別が非常につかない中で、当然隊員たちにしてみると最悪の事態を想定するわけです。日本の自衛官が何らかの形で襲撃を受けた場合もそうでありますけれども、もし日本の自衛官が相手国の国民に対して殺傷した場合、この場合はどう想定していらっしゃるか、その場合はどういうことが今後考えられるのか、その点についても当然考えていらっしゃると思いますけれども、その点についてお尋ねをしたい。
それからもう一つお尋ねをすれば、そのぎりぎりの極限状態の緊張下の中で、もうこれはアメリカの例を見るまでもなく、行った人間がかなり、これはベトナム戦争以来ずっとそうです、いわゆる外的なあるいは精神、心因的ないろいろ傷を負っている方々の結果が幾つも報告されているわけでございます。その点、もし日本の自衛官がこれで行くとなった場合に、そのメンタルケアはどうされるのか。その点について、これは通告の中にはないかもしれませんけれども、一生懸命探されてもないかもしれません、このメンタルケアをどう考えていらっしゃるか、現地で。その点について、ちょっと三点お尋ねします。
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石破国務大臣 後ろの方からお答えをいたします。
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冒頭の劣化ウラン弾のお話、お答えが逆になって恐縮ですが、劣化ウラン弾についてはどうするかということでございますが、劣化ウラン弾について、実際に被害があったかどうか。
例えば、IAEAのウエブサイトを見てみますと、ここに、劣化ウラン弾の被曝とがんその他の重大な健康上あるいは環境上の影響の増大について、信頼できる科学的証拠に基づいて証明された関連はないという記述がIAEAのウエブサイトにございます。あるいは、
WHOのファクトシートを見てみますと、劣化ウラン弾による環境への影響は着弾地点の数十メートル四方に限定される、こういうふうに記述がございます。
今回のイラクに派遣されておりますアメリカ中央軍でございますが、
アメリカ中央軍がどのように言っておるかと申しますと、劣化ウラン弾が何かに当たったとき、もし危険があるとすればその残滓からであり、それが実際の効果を生むためには直接接近し摂取されなければならない、直接接近をしてそれをとるということでなければならない、このように書かれております。 私ども、劣化ウラン弾を有しておりませんので、実際にこれまた試してみるというお話には相なりません。しかし、このIAEA、WHO、そういうような国際機関においてそのような記述がなされておるということを考えてみましたときに、それでもなお残存する危険というのがあるとするならどのようなものなのか、それを検知するために何を持っていくかというようなことは、当然考えていかねばならないことだと思っております。
私が申し上げたいのは、IAEAあるいはWHOにおいて、そういう国際機関において、そのような危険があるとは言われていないということが事実であるということ。そして、中央軍の見解によれば、それを直接摂取した場合には影響がある。では、どのような場合にそういうことが起こり得るのかということまできちんと考えていく必要があるだろうと思っております。
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渡辺(周)委員 今の劣化ウラン弾の問題については、これは、防衛庁長官として今現状をどう判断しているのか。つまり、これを、米軍が今回の戦争で使用したその残ったものが当然のことながら存在する危険性を排除できないというふうに考えているのかどうか。そのために、当然のことながら、自衛隊の行動については細心の注意、あるいは行動範囲においても影響を与えるわけでありますけれども、その点について、IAEAや何とかというのはわかります、防衛庁長官はどう認識していらっしゃいますか。その対策はどうしますか。
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石破国務大臣 あるいは、サマワにおきます放射能汚染の事実関係は、私どもよりも外務省にお尋ねをいただいた方がより適切なお答えが得られるのかもしれません。
アメリカ軍として劣化ウラン弾を保有しているということは、このイラク戦争の期間も申しておったと私は記憶をいたしております。しかし、保有をしておるということは申しましたが、
実際にそれを使用したというふうにアメリカの方が認めたということを、私としては確認しておりません。それが事実として申し上げられることでございます。
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渡辺(周)委員 だとすれば、これは確認をするべきじゃないですか。それは、ここで、いや、確かに使いました、このぐらい、どのぐらい使いましたと、それは公にできない部分も、米軍のも。しかし、もしここまで日本が日米同盟を基軸にやるというんであれば、自衛隊のその外敵テロ、外敵ゲリラから身を守るということ以上に、この果たして行くところが大丈夫なのかどうか。
つまり、放射能汚染をされて被曝をするような可能性があるところで、もう既に一部そういうことが報じられているわけですね。そこで、自衛官は行かされる。果たして自分は将来大丈夫なんだろうか。将来、そういうことで自分の健康はどうかなるんではないだろうか。当然、そういうことも考えられるわけでございます。その点については、米軍に今確認していないと言いますけれども、派遣する前に確認すべきじゃないですか。どうですか、長官。
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石破国務大臣 私どもは劣化ウラン弾を持っていないということと、では、そういうような放射能による障害についての知見がないのかということは別個の議論だと思っています。
私どもとして、そういうような放射能の影響について、それは、広島、長崎のあの悲惨な例から、いろいろな知見を私どもは得ておるということがございます。他方、劣化ウラン弾を使っていない、少なくとも使ったと言っていないということが一つある。そして、知見を持っているということがある。さらに言えば、
いろいろな国際機関によって、直接摂取をした場合には影響があるということが言われている。だとした場合に、私どもとして、どのような装備を持っていき、先ほどどなたかの御質問で、bあるいはcに対する装備を持っているのかという御質問があって運用局長からお答えをいたしましたが、隊員が安んじて行動ができるようにするというのは、それは政府の責務だと思っています。したがって、直接摂取していないから大丈夫なんだ、することは想定されないから大丈夫なんだというようなことを私は申し上げるつもりはございません。どうすれば隊員が直接摂取をするようなことがないような形がとれるかどうか。 委員お尋ねの、使ったか使わないか米軍に確認してみろということがどれぐらいの実効性を持つものかということも含めまして、隊員にそのような不安が生じないような策は、劣化ウラン弾につきましても懸念が生じないような対策はとってまいりたいと思います。
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渡辺(周)委員 確認ですが、それはアメリカに対して確認。昨日のテレビの報道番組の中で、そういう事実があった、そして、実際、何かジャーナリストが計測器を持ってそれをはかっていたわけですね。ですから、その点についてちょっと御確認いただいて、やはりそれについては、アメリカに対してその確認については全力を尽くしてその情報を共有していただきたいというふうに思うんです。ちょっともう数分しかありませんから、その点についてはぜひともやっていただきたい。