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発達障がい

発達障がいとは?
実は日本最大の障がい?

人間は,それぞれに個性的ですね。様々な個性のある人がいるから面白いし,いろんなタイプの人がコラボすることで,いろんないいモノが生まれたり,素敵なコトが起きたりします。
でも,人と異なる特性が強すぎるために,「変わったヤツ」と言われ,ときにはイジメにあったり,いろいろな人とのトラブルを抱えたり,ストレスで苦しんだりする人たちもいます。その典型的なもの一つが,発達障がいです。

発達障がいは,脳の器質的特性とストレスなどの環境的要因の相互作用によって生じる障がいで,自閉スペクトラム症,注意欠如・ 多動症(ADHD),限局性学習症などがあります。
決して珍しい障がいではなく,実は日本最大の障がいかも知れないと言われています。文部科学省の調査で,調査した生徒全体の約6.5%に何らかの発達障がいの疑いがあったという,知らないとビックリするような結果が出ています。
でも,それくらい多くの人が,実は「ちょっと変わった」特性を持っていて,社会がうまくその特性に対応できないと,とても苦しい思いを御本人がしたり,また,周囲とトラブルになったりするのです。

障がいは社会の中で生まれる

障がい者権利条約を御存知でしょうか。日本も批准した国際条約で,障がい者が社会の中で自由に暮らしていけるインクルーシブな世界を作ることを目指した条約です。

この条約の画期的なところは,障がいについての考え方を,大きく変えたことです。
障がいは,障がいのある人個人の中の特性によってだけ生じるのではなく,その特性に社会がうまく対応できないことで,結果としてその人が社会の中でうまく生活できない状態になる,それが障がいだ,という,「社会モデル」と言われる考え方で,現在では,日本の障害者基本法にも取り入れられています。

視力が弱れば,眼鏡がないと,生活に困りますよね。でも,眼鏡やコンタクトレンズがあれば,視力が弱くない人と全く変わらない生活ができます。これは,「視力が弱い」という特性に社会が対応して,それをサポートする道具を生み出したからです。
それと全く同じように,障がいのある人も,社会がうまくその人の特性に対応していけば,障がいのない人と同じようなくらしができる場合が多いのです。

発達障がいも同じです。こうした障がいに対する理解が社会の中に広まり,うまく社会が対応していけば,もっともっと,障がいのある人も周りの人も苦しまなくてすむ社会になります。

弁護士による支援の大切さ

離婚問題,労働問題,様々な虐待,多重債務,交通事故など,様々なトラブルの背景に,発達障がいの問題が隠れていることがあります(もちろん,発達障がいの特性があっても,こうした問題をかかえることなく暮らしている人もたくさんいます。)。
私たち弁護士は,こうした様々なトラブルの現場に身を置くものとして,常にその背後に障がいの問題がないか,注意しておくことが大切です。

そうして,少しでも障がいの傾向が見られれば,御本人や御家族とよく相談しながら,必要な医療や福祉の支援につなげることで,その人御自身や家族の生活が,よい方向に変わることも,少なくありません。
もちろん,なかなかうまくいかなくて苦労することも多い仕事ですが,本当に困難な状況にある人のお役に立てることは,とてもやりがいのある仕事だと思って,取り組んでいます。

もしお困りの方がいらっしゃったら,御本人でも御家族でも,是非,悩まずお早めに御相談下さい。

実はすごい?イノベー
ションは発達障がいから?

実は,発達障がいのある人は,能力の偏りが大きくて,ある部分では非常にすぐれた能力を発揮する人も、たくさんいます。
有名なところでは,エジソンやアインシュタイン,ゴッホやピカソなど,才能あふれる人たちが,発達障がいの疑いを指摘されています。

でも,そんな飛び抜けた才能のある人だけではなく,発達障がいのある人は,実は,社会のイノベーションにとって,なくてはならない存在なんです。
発達障がいのある人のもつ,ちょっとしたこだわりや,新しいものにすぐに飛びつく好奇心,こうだと思ったら人目も気にせず突き進む行動力は,様々な発明・発見,新しい考え方が生まれて,それが世の中に広まっていく初期の段階で,培養液のような役割をして,新しいイノベーションを発展させていく力になるのです。
また,一方で,周囲が流されても頑として流されない頑固さのおかげで,あるイノベーションが最終的に失敗しても,別の可能性を残す役割を果たしたりもします。

こうした多様な特性の人々が,みな平等に大切にされる社会こそ,様々な状況の変化にしなやかに対応していける社会なのだと思います。
逆に,「ちょっと変わった」人を「協調性がない」と排除してしまえば,社会はどんどん閉塞したものになり,イノベーションも起きなくなって,窒息してしまいます。

これからの社会は,激動の時代であり,社会の隅々で様々なイノベーションが求められていく時代です。そういう時代にこそ,発達障がいのある人の「ちょっと変わった」特性が光るのだと,私は思っています。