2004年1月9日の朝日新聞に「異変が起きた」と報じられた2003年版防衛白書。この朝日新聞記事にはこうある。

 「日本のシビリアンコントロール(文民統制)を説明する部分で、四半世紀近く踏襲されてきた次の一節が削除されたのだ。
『(防衛庁では)基本的方針の策定について長官を補佐する文官の参事官が置かれている』
政治が軍事を統制するシビリアンコントロールは、戦後日本の防衛政策の柱の一つだ。旧軍が暴走して日本を破滅に導いた苦い経験に基づいている。
白書での記述は79年版からほぼ同じだった」

 軍国主義、戦争は、民主主義と相容れないと言われることがある。問題を平和的な説得や議論で解決するのではなく、暴力によって解決しようとする軍国主義や戦争が民主主義と対立することは、見やすい道理であるし、軍隊は秘密を持つことを必要とするから、その点からも、情報公開や民主主義と対立することになる。日本国民が大戦中にどれほど非人道的・非民主的な状況に置かれたかについては、いまさら言うまでもない。

 自衛隊のイラク派遣に連動し、定例記者会見の突然の中止がされようとしたり、報道規制がされたり、憲法改悪の動きが当然のごとく報道されたり、前記の白書の記載の変更など、最近の動きを見ていると、民主主義の破壊の危機を切実に感じる。
 自衛隊が軍隊として認知されることにより、このような動きは加速するであろう。

 自分の子供たちが、この先どのような日本に住み、どのように生きていくのだろうと考えた時に、今の大人の責任は重大である。
 今こそ声をあげ続けなければならないと思う。

坪田康男(弁護士)