トランプ

私はあまり物欲のない子供だった・・・らしい。
母にはお人形やぬいぐるみを買っても喜ばずがっかりさせられる・・と。
せめてお誕生日には「欲しい物」を創り出さなければと記憶にあるのが、顕微鏡、木琴、ドラキュラの貯金箱。

顕微鏡は雪の結晶を見たいと思ったから。木琴は学校での演奏が楽しかったから。貯金箱は、ドラキュラの手でお金を引き込む様が面白かったから。
しかしそれほど大事にする訳でもなく、親にしてみるとさぞかし「あげがいのない子供」だったことだろう。

そんな中、夏祭りで、ひとつだけ何か買いなさいと渡されたお金を持って毎年買い続けた物があります。
それは小さなトランプの入ったキーホルダーで、プラスチックの箱の中にきちんと納まっている様が、たまらなく魅力的でした。

箱から取り出して小さな小さなトランプを並べると、このトランプを使う人たちが想像されてなんとも愉しい気持ちになるのでした。

そういえば蟻や丸虫が、小さな苔の中を行き来するのを見て「虫にとってはジャングルだ」と想像するとワクワクして飽きもせずいつまでも眺めていた記憶があります。

しかし、お人形でだって想像の世界に浸れるはずなのになぜハマれなかったのだろう・・と考えて気が付いた、今は手のひらに乗る様な小さなお人形が大好きだということに。

自分自体がそもそも小さかった頃、お人形は浸るにはでかすぎたのだ。

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