『君が望む永遠』 感想

ver. 0.1

Age の Windows 用ゲーム 『君が望む永遠』 の感想、雑感と解釈、その他。

注意!

問答無用でネタばれしています。 一部のシナリオは「(先を)知らないこと」を前提とした場合にのみ 意味のある展開のものがあります。

故に、『君が望む永遠』をプレイするつもりがあって、それを最大限に楽しむつもりであって、 かつまだ complete していない場合は絶対に以下を読んではいけません。


2 章初期状態とプレイの目的

孝之が潰れかけてるのはかまわない。そういうこともあるだろうと思う。 遙の昏睡に 1 年つきあい、そのあと遙を忘れて水月に逃げたというのであれば、 孝之の精神の歪みは昏睡直後に別れたというのより大きいだろうし。 だが、水月の惨状はどういうわけだ ── というのが 2 章最初の数ページ (というか数クリックというのか) に思ったことだった。1 章終了時点でこれは予想しなかった。

確かに孝之の論理が水月にも対称的に働くというのであれば 孝之をひきとめて遅刻させた水月も遙の事故について同罪だ ... と言われればまあ、 それはそうだ。 だが、水泳まで止めてしまっているというこの共依存状態は許容しがたい。 水泳の件も孝之の惨状が理由だろうし。 (実際にそうなったシナリオがあるようだが) 別れ話程度で二人とも本当に潰れそうだ。

遙復活をきっかけとして孝之は水月に距離をおきだした。 この流れならば孝之は自然に水月への依存から離れられる。 問題は水月のほうで ── 「水月を潰さずして別れる」、 少なくとも一度は水月との関係を清算することで、水月の安定を取り戻す。 孝之から別れる形でいい。

約 2 年。水月がいなければおそらく孝之はもっと酷い状態になっていたのだろう。 とはいえ、孝之の安定 (とは言いがたいが、水月の力ではそれが限界なんかね) と引き換えにして水月がここまで潰れていいはずがない。 遙の目覚めをうけて孝之は変化した。そのことをうけて水月も復活しなければならない。 そうでなくては孝之も救われない。 遙の 3 年に責任をもつというなら、水月の 2 年にも責任をもたなくてはならないのだから。

以下の感想も大部分はこの観点から眺めたものになっている。 このゲームの 2 章は、どーにも、恋愛がどーとかこーとか言う以前のレベルの精神を扱っていると思う。 ん? 1 章もか? 別の意味で ...

各周回の感想として

1 章

水月が孝之のことをどう思っているのか、いきなりバレバレ ... というか、 とくにかわったところもない、ごくふつーのでだし。 あまり普通でないと思うのは、遙の告白をうけて付き合いだした時に ちゃんと苦痛を感じるところからだろうか。

しかし、この段階で苦痛を感じてるのはともかく、苦痛「しか」感じてないというあたりに このゲームの癖が見える ... なんてことがわかったのは 2 章を 1 周終えてからだけど。

孝之が遙の告白に、その場で即答してしまったのは ... プロトコルそのものを知らなかったのだろう としか言いようがないが、しゃーないやねん。水月から告白されることを想像していたんだから、 留保なんていう答えが思いうかぶはずはない。それは分かる。

破局をむかえて水月にそれを報告にいくあたり、本人 (水月好きを) まったく自覚してないのがナンなんだが、 ... まあ、いいだろう、というか、プレイヤーと孝之の解離が酷くなってきていて、 孝之の「後見人」以上の役割は出来なくなってるな。 孝之 = プレイヤーならば、この流れなら普通は水月に告白するなり、あるいは遙のことを考慮して とりあえず告白を保留するなりとった話になると思う。

で、そこで遙の背景をきいてなぜ遙に告白に行く ... いや、べつに止めはしないけど。 好きになるほどの情報がなかったところで、孝之の中で すべてが繋がった、という感動(衝撃)は確かにあったのだろうから。
てゆーか、個人的に水月あんまり好かんし(をい)。

が、やっぱり少し論理が粗いと思う。孝之が遙を回想して一繋がりとするには、 苦痛しか感じてないイベントばっかりというのが弱かった。 このあととの比較っつうても極端。

ラスト。ラストにヒロインに何事かある ... というのは聞き知っていた。 ま、だから茜の電話でそれだと思ったんだが、そこでは終わらずいきなり、というのはそこそこ驚いた。

やー、かっこええ OP っす。 このゲームは たまたま VNC 経由でなく直にプレイしているが、VNC 経由だとこの OP へたってたんだろうなぁ。

1 周目: 遙 END

てなわけで 2 章突入。水月の潰れ具合に驚いた ... てのは上に書いたな。 もちろん水月救済が目的になる。 普通に流して今周は遙ルートになりそうな感じになるが、まあ当然だろう。

孝之のヘタレぶり ... というか、 (プレイヤーに断りもなく)孝之が勝手に余計なことしてくださりやがりまして、 どんどん悪化してく水月の心配ばっかするはめとなる。 水月が危険な状態にあるのは見ればわかるが、 それをご丁寧に本気で潰しにかかるとはあまり想像していなかった。

水月と別れるのは、あくまで彼女に正しく個を確立させることにある。 衝撃を与えた結果、潰してしまっては何の意味もない。 そんなことをするくらいなら遙が目を覚ますまえの関係を続けていたほうがいい。 それなのに孝之のどアホは「別れよう」と言い出すことすら危険な状態にまで水月を追い詰めていく ...
あまりの展開に全面的に心理ブロックしたが、 そのブロックに気力をもってかれて結果的に欝になってるあたり、 物語の破壊力は大したものである (てゆーか、それブロックの意味ない)。

この話、水月が慎二と寝たことの告白が、孝之が遙に告白したのよりも後になったことが ターニングポイントになった。 ほんとうに危なかった。わずか数時間の差。

慎二と寝ることはともかく、それを孝之に言うことは彼女の目的からするとほとんど意味がない。 同情をひいてどうこうという流れでしか水月の利益にならないが、 これはもちろん私の目的には合わない。つーか最悪の流れである。 孝之がこの事実を知った時点でまだ遙に告白していなかった場合、 水月が自分の状態に気付くなり、あるいはあゆが飛び入り参加するなりといった、 孝之が直接絡まないような事件で水月の状態が好転しないかぎり、 孝之に遙へ告白させることはもう出来そうにない。

それは、遙を選んだということの理由に、 どうあがいても「水月が孝之を裏切った」ということが理由に含まれてしまうから。 これは遙のためにもならないけれど、水月のためにもならない。 孝之のかわりに慎二に逃げ込んだ状態で安定してしまう。これでは水月と別れる意味がないし、 なにより水月が孝之につくした 2 年が水月にとってまるまる無駄になってしまう。

実際には逆になった。寝た事実を知るまえに遙へ告白できた。 これによって「裏切り」が水月を切った理由に入らなくなった。 これは大きい。

この流れならば、 ワーストケースは孝之が水月を切った理由を自分の裏切りにあると水月が「誤解」することだ。 だが誤解なら正すことができる。他方、告白が遅れた場合は その理由に水月の裏切りが含まれ「ない」ことを証明しなくてはならない ... 悪魔の証明だ。 孝之にできるはずがない。

また、誤解を解くという作業は水月にとって常にポジティブに働く。 水月が想定しうる最悪の事態から必ず浮上できる。 ようやく水月を救い上げる道が見えた。

そしてまた、もし脚本屋さんにまだ(事態の絡んだ糸をときほぐすための)切札が残っているなら、 ここで事態はより悪化したはずだから、物語が折り返し点を過ぎたことも分かる。 まだ水月を追い詰めるつもりなら、 使うかどうかはともかく水月救済のためのカードをロハでプレイヤーに渡すようなことはしないだろう。

だから、この水月の告白で私にとっての遙シナリオは終わる。 このカードを使って水月を救済するにせよ、別の方法で救済するにせよ、たいした違いはない。

実際には孝之の内心吐露の爆発をハタで聞いて自分の位置を知ったという形をとった。 聞いてる側につねに罪悪感が働くから、このタイプの心情吐露は誰にとってもネガティブには働かない。 安全っちゃあ安全だけど、脚本家が努力をサボった感はあったな。 水月シナリオで遙の心情吐露を孝之が聞く ... という事件があるが、 2 回も使うなよなどと。

ラスト、水月は街を離れる。 遙とヨリを戻す流れにおいて、水月に適切な衝撃を与えた(つまり、別れた)。 この状況で水月が街に残る ... ような目は私にも思い付かなかった。 (街を離れるという)彼女のこの行動は正しいと思う。

孝之が遙の電話番号を消すのでさえ水月と慎二に後見してもらわなければ できなかったのと違い、街から離れるだけの気力を残していたというのが、たぶん孝之との力の差なのだろう。 2 年間、自分を支えるのにいっぱいいっぱいだった孝之と、 ともかく孝之を支えるということが視野に入っていた水月との。

孝之には、水月が孝之と過ごした 2 年を無駄に感じさせないだけの行動をとる責任がある。 それさえまちがえなければ、遙とヨリを戻すのはかまわない ... なんか、どーも分かってないようにしか見えないんだけど、 遙のほうがそのへんは分かってるだろうから、まあ、いいか。

2 周目: 茜 END

2 周目は茜ルートへ。... 前周といい今周といい 水月のことばっか気にかけてるのは確かだが、そーゆーことと好みとは別の話でありまして。 まあ、「水月と別れなければならない」という前提のもとで 水月攻略ルートというのはものすごく違和感があって手を出し辛い、ということもあるにはある。

この周は比較的安定して見ていられた。 おそろしく危険な行動ばっかで水月を精神崩壊一歩手前までに追い詰めた遙シナリオとちがい、 ほぼ完全に事態の流れが孝之のコントロールにあったから。

茜に選んでもらったバラの花束を水月から遙に贈らせるとはまた おもいっきり無神経なことをしているが、... てゆーか、赤いバラだろ? 花言葉は:

情熱、愛情、あなたを愛します、熱烈な恋、美しい、愛らしい ...
だろ? そりゃあ茜も怒るだろう (何を考えてたかは一目瞭然だが、ゲーム中でネタばらししないのは良いっすな。 遙が知ってたのかどーかは知らないが、まあ知ってそうな部類に入るか)、 というか、茜がそういう花を選んだことを知れば水月もそら腹立てるわな。 孝之をハメてるもんな。しかしそのことを孝之にはおくびにもださず黙っている水月 ...

この時点で水月は茜と喧嘩することを覚悟しただろう。 だが、こういう風に修羅場になるぶんには水月の状態は悪くならない。おもいっきりやりたまえ。
病室での茜の暴発も遙の容体のこと以外では恐い点はない。 で、かっちり遙の容体が急変してくださるわけだが、 この流れで茜の面倒を孝之がみるぶんには実は困らない。水月と自動的に別れる形がいいということと、 孝之が(水月のケースに比べると遥かに)犠牲にするものがすくない(笑)おかげで 遙が目を覚ましたあとの処理は楽 ──

遙シナリオと違って孝之が水月のフォローに入ってるおかげで彼女が安定しており、 余裕があるので発想が極悪である (笑)。
水月〜遙でなく、水月〜茜の対立軸だもんだから他人事ということで孝之のマメなことといったら。

「みんなが何もしていなかったわけじゃない ... それは仕方のないことだ」

遙のシナリオでも事前に話しとければ事態は違ったのに。この程度のことでよかったのにね。 つーわけで、この時点で茜シナリオは事実上終わる。

厳しいことをいえば遙と水月のどちらも選べなかった孝之が茜に逃避し、 潰れかけていた茜も孝之を手にいれて安定と、 遙が目を覚ますまえの状態からは水月が茜にかわっただけとも言えなくはない。
それに、茜とつきあうことになったその先は 水月や遙とつきあう流れよりも、つきあいかたの不完全性というか不健康性 ... が、ある。だが、それは孝之が考えに考え悩みぬいたすえに選んだものだから、 誰の干渉もない本当に孝之に全責任のかかる選択だったから、 (茜を含めた)周りをきっと多少どころでなく不幸に陥れつつも茜と生きていける、 そういう流れになっていると思う。

遙シナリオにせよ水月シナリオにせよ、その場にいない人物に全責任を負わせて逃げる展開じゃ、 話は終わってないもんねぇ。

2 周目半: 遙隠し妻、茜昏睡

本筋をまっすくクリアしたあと BAD END らしき分岐をさがしてバックトラックし、 遙隠し妻、茜昏睡を探しだす。

ん〜、振り返っちゃならんとこで振り返るのと、遙の約束に行かないか ... ちょっとこのルートは選べないなぁ。 内容も語るほどのことはとくになし。

あ、ひとつあった。茜昏睡ルートだけど、どーみても理不尽なんですが。 孝之のヘタレた行動がこういう形で跳ねかってきても、それってどーしよーもないです。

3 周目: 水月 END

水月攻略に入って選択肢を選ぶ気分の気楽なこと (行動してるのは孝之であって私ではないという意味で)、 遙、茜ルートに比べればバカバカしいものがあった。 このルートで水月がどーにかなるわけないし(既にどーにかなってるが)、 遙が潰れるとしても遙シナリオで水月が潰れるのより酷いわけないので。

時の彼方においてきてしまったといえば遙を納得させられる。これほど気楽なことはない ... と、終盤近くまで思っていた。唯一の問題は茜の暴発だと。

ここで遙の強さを表に出しますか ... 遙をとりたくなりますな。孝之がどーこーでなくプレイヤーに対して 遙に日和らんような強さをもとめてきてるシナリオなのね。 遙シナリオで(同情以外の気持ちで)水月に日和る奴はいないだろうから、このあたりは対称ではないと。 茜シナリオで遙に日和って BAD END 行きになることはあるかも。

とくに孝之の精神的な構造としては遙のほうがあうと思うだけに。 3 年という時間差を埋めてあまりあるほどの器量の差よ、 茜の暴発で遙を選ぶ道が閉ざされていくのを感じるのはけっこうきつい。

水月とつきあっていたことの告白と、誰を選ぶかという選択の差の使い方として、 茜の暴発への流れはかなりの不満があるかな。 水月を選ぶのは孝之の自由な選択であってほしかった。茜に扉を閉めてもらうのではなくて。 が、まあしゃーないかもしんない。

ところで、丘の上で関係を再定義してるのが他のシナリオでの「別れ」の代用なわけだが、 やはり水月の救済としては弱いと思う。 とくに孝之の語り口が「こんどは俺が支える番 ──」というのでは、 せっかくのリセットの役割まで弱くしてる。

この話、結果として茜や遙が許してくれたからこそ成立するが、... つーか、許す内容を含めないと終わった気になれないのが 水月シナリオのシナリオとしての弱さを露呈しているようなもんだが、 おかげでこの ED の破壊力、ゲーム全体の物語が終わってしまってますな。

3 周目半: 水月妊娠

あいかわらず選びようのない分岐で BAD END に入るねぇ。 内容も語るほどのことはとくになし。こんな分岐に入るようなバカの面倒まで見る気はない(笑)。

4 周目: 文緒 BADEND、蛍 END

本筋 3 本を終わらせてあとはサブシナリオ群。 とりあえず文緒さんのあとくっついていったら BADEND 直行。 まあ、そんなもんだろう。

で、こんどは天川さんのあとくっついていったら蛍シナリオ ... 超絶に理不尽なんですが。
修羅場中のお方がさらに三股なんてかけるもんじゃないってのが文緒 BADEND の意義というなら、 蛍シナリオには入れないはずじゃん。 この 2 ルートに極端に差があるのを、蛍、文緒の人柄から見抜けというのは 会って数時間じゃ無理でしょ? したら、安全側にふらざるをえないから、蛍シナリオには入れないはず。

内容的には、 本筋終わって何が残ってるかすこしばかり首をかしげてたところで (孝之が現在出来る限りの判断によるルートというもの以外に)孝之が成長するルート、ということで 存在するルートであると。

ただ、水月か遙か ── が主軸にくるから、それ以外ではどーしても「逃げ」がつきまとう。 この成分がせっかくの蛍シナリオの品質を下げてる。 蛍 END としても遙とヨリを戻した終わり方をしてくれてもよかったと思う。
ラストで孝之、遙の大学生活を出してるあたり脚本家も分かってるということだろうに、 こんだけ泥沼にはまった話を書いておいてそんなところで律義に操たてんでもよろし。

遙との別れ話は蛍ルートがいちばんのお気に入り。片想いの告白か〜、孝之には似合わん(笑)。 にしても、蛍シナリオの孝之を見たあとでは本筋系をリプレイするのはちとキツいかも。

5 周目: 愛美 END

洗脳とはこーやるものなのね。以上、終わり。

... 途中までの、たとえば水月の同居を断るとことか、慎二との大喧嘩とか、このルートの孝之は かなりマトモなので、愛美シナリオの途中から再分岐して別のシナリオに入るルートは けっこ好き。もっとも本筋系にしか分岐できないのかな。

6 周目: まゆ END

それなりに思うところのある話だと思ったが、前後が前後だったのであらかた忘れた。

このシナリオ、水月にあたえる衝撃が少な過ぎるのが気になる。 つまり、孝之に愛想つかした恰好なので水月からみると 2 年をまるまる捨てたに近い。

もちろん水月とは別れなければならないのだけれど、 それは水月が孝之につくした 2 年が無駄であったと思わせる形になってはいけないだろう ... 孝之は水月に返すものがあるはずなのだから。

6 周目半: まゆ BADEND、あゆ BADEND

やる気をまったく感じさせないシナリオ、正真正銘の BAD END. これまでの BADEND と違って、この二つに分岐することはできるが、 内容はまったくない。いや、ふつー BAD END に内容を期待してはいけないのだろうが、 「本筋から踏み外した先」という意味の BAD END ならそれなりの内容があってしかるべきだろと思うが。 水月妊娠みたいに。

7 周目: あゆ END

解くのが意外に難物だった ... いや、まゆシナリオと symmetric だから、 てっきりそれだけかと思ったんだが、まゆシナリオのほうが微妙に正ルート条件が緩和されているのだな。 あゆシナリオを解く手順をひっくりかえすとまゆが解けるが、まゆシナリオを解いた手順を ひっくりかえしただけではあゆが解けるとは限らない。 休日の選択(これは本筋系とファミレス系の分岐だろう) よりももうちょい前からちゃんと あゆの相手をしていなければならなかったらしい。ふみ。

孝之もねぇ、遙のことをきっちりケリつけてくれればそれなりの人物だったんだけど。 なんかとーていあゆにつりあう男とも思えん。 つーか、遙のことにケリつけらんなかったのは、近い将来、 孝之があゆに捨てられることのネタフリかと思ってたりもするが、べつに ED には何も出なかったな。 ... そらそうか。

まるで孝之が遙に引導を渡すことができないのを見越したような「捨て」だったが、 ... これ、さすがにまずいだろ ... と思ってはいけないのだろうねぇ。 (この行動に反射的に抵抗感を示す)プレイヤーごと糞虫といわんばかりの豪快な「捨て」という訳なのだろうが、 愛美の時のことがあるからこれってやっぱり問題があるだろ。 あゆの行動に文句つけられないとすれば愛美の時に合鍵つくられたのにも文句いい辛くなる。

まゆ END と同じく、このシナリオも孝之は水月に何もしていない。 水月に返すはずのものはあゆが与えてしまっている。もちろん、近い将来、みつきは あゆの言ったことをうけて反省するか ... ま、壊れることはないと思うが ... するはずだ。だが、それは孝之から与えられるはずのものだ。 このシナリオでは、2 年を「反省すべきもの」としてしか水月は受け取れなくなってしまう。 それは気になった。

8 周目: 遙妊娠

妊娠発覚までなら、事態の流れとしてはそんなに悪くない。孝之の判断を含めて。 問題はそのあとだねぇ ── と書いてて思ったことだが、 愛美方面も途中までは孝之がかなりまともなわけで、脚本家さんが一つの問題に集中すると そこに至る流れはあんまり痛くならない(他のとこまで神経まわらん)ってことだったりするのか?

孝之の判断の正否には口挟まんと通告した香月せんせだったが、 ... その通告は納得できるものなのだが、 まさか茜を巻き込むことは予想せんかったのだろうなぁ。 「どちらかを選ぶ」のどちらよりも悪い判断をしてくるとは。

涼宮父が二人の決断に反対しなかったのか、あるいは茜が押し切ったのか(孝之にそんな根性は無かろう)、 そのあたりは少し見たかったかも。二人の ... というか孝之の決断(気持ちの座り具合)は そこで示されることになったはずだから。

キャラ達

好みの順は
茜 > 遙 > あゆ >> 水月 > 蛍 > まゆ >> 文緒 >>> 愛美
かわいいっちゃあ、茜が最萌えでした。っつうか、孝之ごときに茜はやらん。奴には壊れ水月で十分だ。 あゆは ... 現実に居たらむしろ「天敵」に属するタイプなので萌えっつうても複雑やねん。 このタイプは論理の摺り合わせが難しく全力で喧嘩せにゃならんのよね。 こういう素面のあゆに五分五分 ... とは言わないまでも あゆが飽きない程度のレベルで口喧嘩できる体力がある孝之はそれなりに凄いんだが、 ... 本質がヘタレなので意味ないのであった。

あゆが彼女が孝之をえらぶぶんにはあまり心は痛まない。どーせすぐ孝之を捨てるだろうし。 孝之んとこにいるのは本人がすこしばかり弱ってたからだろーし。

ところで、健さんと涼宮父もけっこよく、好みということでは水月より上に来る。 孝之は文緒〜愛美の間かな。

鳴海孝之

1 章で遙に告白する流れのあたりですでに理解でけん特殊な頭脳の持ち主。 あのあゆ相手に五分の口喧嘩というあたり、素材はいい ── とは上に書いたな。

3 歩も歩けばわすれるヘタレだが、こういう生き方をとりあえず否定はしない。 あゆも言うように、判断が分かり切ってるときでもそれが実際に出来るかどうかは別問題だから。

だが、実際に(するべきことの何かが)出来なかったことによって、 それを非難されることは覚悟しなければならない。 これだけの修羅場をくぐってなお進歩がないのは、たぶんそのあたり(批判を拒絶する)に理由があると思う。

似たような修羅場をくぐった遙が 1 章の最初のころからは格段の進歩を遂げたことを思えば、 .... いかにインプリンティングつうてもそのうち孝之は捨てられるんでないかい。

涼宮茜

いわゆる「妹」属性キャラなんだろーが、「兄」に対してこんだけ攻撃的なのは初めてみる。

似てない姉妹にみえて芯の強さが良く似ている。両親の育て方がよかったのだろう ... まあ確かにあの両親ならな。

「でも、逃げられない。私は、あなたとあの人のように、逃げられない!!」
分かっちゃいたが痛かった。こういうことを口に出させるなよなぁ > 孝之

涼宮遙

どーも遙シナリオで極端だが、 遙には皆にあった 3 年という時間がなかったことを誰もが忘れてるんじゃなかろーか。

孝之も、水月も、慎二も、茜も、どんな形にせよ皆 3 年間を生きて来た。 時が止まったような 3 年間であれ、 時が動き出せば「凍りついた 3 年を過ごしてきた」という事実は活きて来る ... 活きてこんバカも居るが、 それはともかく。そういう自分達を基準にして当然のように遙の知的水準に期待してないか?

高校 3 年の夏休みという時点で遙の時間は止まった。今は、本当ならせいぜい 3 年の 2 学期というところだ。 その彼女が自分達と知的水準で同等の戦いができるのは何故か ... 10 日たらずで (ヘタレ共の) 3 年分に相当する疾風怒涛の(感情上の)体験をしてきたからに他ならない。

孝之の前ではどれほど「バカ」だとしても、私はそれを忘れるつもりはなかった。

もっとも、茜が(孝之と違って)絶対に遙から逃げられないがゆえに急成長を遂げたのとおなじく、 自分の状態から逃げられない遙が、 他人に逃げることが可能だったヘタレ共よりマシなのは当然なのだけれど。 栞@"Kanon" がそうだったように、耐えられずに潰れるかさもなくば強く在るかのどちらかだから。

「孝之君が生きてきたこの 3 年間は、孝之君に何を教えてくれましたか?」
たぶん、この 10 日ほどで遙が学んだことより少ない。 それは仕方のないことだと思うが、それを自覚しておくことも大切なことだと思う。

大空寺あゆ

あゆシナリオがあゆの個性に引きずられまくったものなので この項で書くべきことはあゆ END んとこにあらかた書いてしまった ... かな。

煩いこと言えば、あゆが水月に叩きつけたことは 水月にむかって語る言葉としては悪くないけれど、内容的にはちと変だ。 ... つーか、こういう語り方をするのがこのタイプの特徴なのだが、 これに直に反論できないと、こーゆーのと付き合うのは難しい。

「私はパンを焼いてあげました。 だから、あなたも私にパンを焼いてください」
あゆはこれを否定しようとした。即答 ── それはつまり 1 章での遙の告白も無価値とするということか?

他人に対して何も要求しないってな、片想いだけでよいということで、 そんな世界はさぞかしつまらんものだろう。 悪いがこれは受け入れられない。

.,.. もちろん水月は自分が打算の追求に走っていることを知らなくてはならない。 けれど、それを知るということとそれが間違いだということにはかなりの差がある。 まして、他人に要求してはいけないとすることを普遍的なもの、最良のものと思ってもらっては困る。 フィードバックがかからなくなってしまう。

「あなたに私のためのパンを焼いてもらう」ためには、 「私があなたのために焼くパン」は一定以上の水準でなければならない ── 少なくとも炭化した小麦の塊さしだしておいて「パン焼いてくれ」とは言えない。
好意に対する代価を暗黙のうちに要求していてこそ、 その「好意」が相手に対して本当に好意の資格をもつに足る形になる(ようなフィードバックがかかる)。

なんだかんだ言いつつあゆが帝王学を身につけつつあるのは、 これまで飽きもせず父親に要求しつづけてきた成果の一つだと思う。 もちろん、いいかげん疲労困憊しているあゆに言おうとは思わないが。

速瀬水月

高校時代に孝之に告白できなくなっている流れは、理解できる。 遙に先に告白してもらわんことには、 仲介すると嘘ついて遙を抑え込んでおいて先に手を出したことになってしまうから、 恋愛感情について遙よりも幼い水月が動けるはずはなかった。

遙の告白に孝之がオーケーを出したために水月は自分を抑え込んだ、ことになっている。 もちろんそれは嘘ではないのだろうけど、だからといって 孝之が断ったからといって水月が告白できたかというと、かなり疑問に思っている。

ところで、白綾の制服ってば水月が着ると衛兵みたいね。とくに冬服。

天川蛍、星乃文緒

玉野まゆ、穂村愛美

平慎二

涼宮父、崎山健三、香川モトコ

雑感

全般に孝之がバカすぎるのが面白さをそいだ感がある。 当人の力量をこえる状態を「泥沼」とする定義で見ればわりと早くから泥沼化しているが、 正直、END 間近で水月が潰れる寸前までいかないと三角関係もどきの域 ... 孝之からは何時でも即日で解決するような三角関係でしかない。 どーせ泥沼にするなら、 ちゃんと正しい泥沼 (プレイヤーからみても即日解決できそうにないよう) にしてくれ。

孝之のでヘタレのせいで水月が手遅れ寸前までいき、 結果として本当に泥沼化しても正直そこまで責任もてんてば。

水泳

「見返り」をもとめること自体は否定しない ... が、 水泳を止めたのでは孝之の負債がおおきくなりすぎる (それこそ代わりにオリンピックに出る、 くらいのことはしないと)。 デフォルト(債務不履行) にするしかなくなるのは分かっているのだから、 慎二は水月をひっぱたいてでも水泳つづけさせるべきだったのではないだろうか。

また、そうであればいちいち別れんでもよかったかもしれないのに。

なかったことにされる END

自身の価値観にもとづいて行動するかぎり、選べない選択肢というものがある。 そういう「選べない選択肢」を選ばなければ入ることのできないルートというものは、 評価上なかった扱いとする ... というルールを持っていたが、実質的に機能したことはなかった。

『ONE』のが唯一のケースみたいなもので、 これも「選べない選択肢」を「選ぶ」というプレイヤーの感じる痛さを含めて ルートだとしているようだったので問題にしなかった。

「君望」はゲームがイタめに造られてることもあって、 上記ルールでハネられるシナリオがかなりある ──
蛍 END, 文緒 BADEND, 水月妊娠, 遙隠し妻、愛美 END, まゆ BADEND の 6 つかな。 茜昏睡、遙妊娠がボーターライン。遙妊娠ルートはルートの存在に長いこと気付かんかったし。

ルート選択に致命的ではないが、選べない選択肢というのだと 遙に向かって「信じろ」 or 「......」なんてのもそうだな。この時点だと「......」は選び辛い。

1 章ラスト

この条件だと私的にはあんまりヘコまないかな。 水月とのことがあって、連絡いれてとなりの駅に待ち合わせを移し、 そしてその駅で ... というのだと、このゲームでの孝之なみにヘコむかも。

「責任」というものの受け取り方のことだが。 水月シナリオで顔を出すが、遙が事故にあった責任がもしあるとすれば それは水月にもあるのがちょっと弱い。

2 章後半

ふつう、だれそれとくっつくというがゆえに だれそれ END と言う。 このゲームの場合、だれそれと別れるというがゆえに だれそれ END と言うほうが実情にあう。 「水月 (とくっつく) END」 は「遙 (と別れる) END」 ... というように。

としてみれば、シナリオの論理の出来はたいしたことない。 「遙 (と別れる) END」 が、孝之から別れるのでなく、遙から別れる話になっているなど。

誰それを選ぶクリックはたいした障壁もなしにできるが、 誰それと別れるクリックにはどれくらいの障壁があるか。 現実には誰それを選ぶ行動というのもそれなりの障壁があるものだと思うが、ゲームではそれはない。 別れるクリックであるからこそ、たぶん現実味のあるゲームと言われるのだろう。

主人公は水月だろう、な。事態の変遷 = 水月の変化だ。後半になると茜の暴発がまっているが、 それは事態の形作りであって、事態を変えるほどの力はない。遙はヒロインってことで。

システム

ともかく既読スキップが遅い。これだけの文章量なら、今の 3 倍くらいの速度で早送りしてくれ。 .. つーか、こんだけいろいろ設定できるようになってるなら、既読スキップの速度くらい設定できるように しといてくれ。テキスト枠の幅とかどーでもいいとこはどーでもいいから。 それと、自由なメッセージ逆回しが欲しい ... xayusys でプレイしてたから、 逆戻りに慣れすぎて、セーブポイントから前方にしかクリックできないのが面倒。 1000 箇所セーブ可能なんてしなくていいから。 実際に 30 箇所もセーブしてみたら一覧が出るのが遅くなってくるし (これはプレビュー外すと早くなるんかな?)。