"To Heart" #12 の感想

(Last updated: Jun. 23, 1999)

粗筋
知ってか偶然かレミィの語る恋愛論にどこか動揺する志保。 日曜日、彼女はとりあえず浩之を買いだしに引きずり出してみた ──
概観
志保の話だとなんかよく出来てると思うのは何故や。 そもそも表情の描き込みが他の連中より差別待遇的に良いんですけど。
でも実は最大の見所は従来見事なまでに表情を変えてなかったあかりの表情の動き。

しかし ... 葵の練習が同好会設立前とぜんぜん変わってないってとこ ちと手抜きが酷いぞ。 あかりの応援も寒気がする ... 声の出し方がなんかヘン。

志保
「そっか、そうだよね」
と独り納得したところで翌日 浩之をデートに引きずりだしたんなら月曜日は(内心はともかく外面は)明るい志保 ... という展開がゲーム版的志保だと思ったんだけど まだひきますか、つーか、どのへんが「そう」なんかこの動きは分かり辛い。 納得したつもりで引きずりだしけどそんなに思いきれるものでない ... と? ゲームより志保の想いの描き込みが細かい。

志保ネットワークの実態は従来ナゾに包まれていた。 わりと浩之達にひっついている傾向にある志保で、 自分で語るより情報流通の辻にいないところがあって。帰宅部だし。 実際、今話でも中学ん時の友人との連絡はなかった訳で、 ついでにパーティに誘われていて(予定無いのに)すぐには行かないあたり 案外人付き合いを選り好みするところがあるわりに寂しがりや。

これが暗喩するところからは 志保ネットワークの情報の確度が低いのはある意味当然ってことですかね。

あかり
「買物一緒に行こ」を断った志保が去っていくところで 浩之が来て、その話に(愛想だけでつきあって)笑って浩幸が こちらを見なくなったところでふと顔に影のさすシーン。

すごく読みが難しいんですけど。志保の変調を思って ... という単純な形でいいならこんなに簡単なことはなく。
そんなら浩之に「志保ちょっとヘンじゃなーい?」とでもあるところだから ...

あかり側の筋をぜんぶたどるとあんまりあかり的でない展開がまってるような。

雅史
さて、今回もうひとつの見所は雅史。 「あかりちゃん」に「志保」ですかい。 あのバカ丁寧な語り方をする雅史が「志保」ねぇ ...

次回ちゃんとネタにせーよ。

レミィ
音楽室でのレミィの語り、ここまでわざとらしいと何か気にするのもバカらしくなったが ... レミィのねーちゃんならともかく、レミィには言われたくないよーな気はするな。
今回、この一言
「ま、気にすんな。恐くはなかったっけど、似合ってたぜ。
少なくとも、今よりはかわいかったってこと」
比較的気の回る傾向のあった浩之だけど、 志保に対してだけはこの時といいボールぶつけた直後の言い草といい ...

浩之の言葉について

うむ、解釈ミスったかな、というところで補足。 今回、この一言というところで

「ま、気にすんな。恐くはなかったっけど、似合ってたぜ。
少なくとも、今よりはかわいかったってこと」
という言葉を抜き出した、この解釈 ── わずか数行上に書いたことを ここに書くというトコがすこし間抜けだが、レイアウト上やむをえなかったんで勘弁。 閑話休題。

コンテクスト的に 「恐くないオバケ屋敷」という非難のフォローとしての言葉だったので そういう方向でしか捉えていなかった。

が、これ文字通りの意味のあるのだな。
つまり、オバケ屋敷で歌って踊る(おそらくは本来の)志保が 今の借りて来た猫やってる志保よりも (ありうべき姿として)かわいかったという意味が ... 転じて

「俺はあんたのことを理解したよ」
という内容が。うむ、すごく素直な論理だけど その手前で止まっていては絶対に手の届かないところにある解釈だな。

レミィに対して表面を取り繕ったところからも、 志保は内心にかなりしっかりした壁をつくるタイプであり、 にもかかわらず人との付き合いを希求する性向が強い。 となれば志保の完全な理解者の立場にいる浩之は ... ふうん、そう繋ぐんか。

(あかりがいるから)手を引いたとする解釈も従前ありだろうけども、 志保が親(浩之)離れするという物語でもあるんだ。

浩之とあかりはくっつかねばならない、故に志保は失恋しなければならないという 素朴っつーか不様な論理でなく、志保の物語としてここで志保は失恋しなければならない。 いちおう、それだけのフレームワークは見て取れる。 次回予告の内容が不様すぎるんで期待する気はないんだけども、 あかり〜志保の "To Heart" メインストリームの残滓くらいは、ここにあるようである。


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