『無限のリヴァイアス』 #4 の感想

(Last updated: Oct. 28, 1999)

粗筋
ふと気付けばまだ生きている。そして何故か重力がある。 練習艇リベールからリヴァイアスへ移る人々。 そんな中、ツヴァイの操船科生達はテロリストの船が軌道保安庁のものと知った ──
ツヴァイ操船科生
ぞくっとするほど懐かしさのある描写 ... これがあるだけでも今話の意味はあった。

ユイリィをもってしても船に在る全員を統べるにはあまりに力量不足。 個人の資質としても、政治的な力量としても、技術レベルとしても、ツヴァイの個人個人の力は とても足りない。
船を動かさなければならない、という強烈なプレッシャーの中では ユイリィにリーダーシップを預けた(とってもらったでなく; 後述)、 自分達の力を知る者の政治的バランス感覚と、 リヴァイアスに移り一時的にプレッシャーが抜けた時に動き出す個人の意志とセンス ── 「いま何に興味を持つべきか?」

つまりユイリィにかかる負荷は本人達の努力の限りにおいて最小限になる、 この離合集散のタイミングのセンス。

従前、明瞭な敵の前には喧嘩していた連中が一つにまとまる ... という論理は存在する。
もちろん本質的な構造は同じものなんだけども、 文字通り目の前に敵の姿が現われるというならともかく、 非常に抽象的なレベルでの圧力の濃淡に応じての離合集散の動きが、 ツヴァイの基本的な資質の良さをうまく描写していた。

ユイリィが首席である ── それゆえにユイリィがリーダーシップをとった。
これだけの良質のセンスをもつ集団にあって、 首席たりえる者はそれだけで必要最低限のリーダーたる資格をもつ。 というのはつまり、たとえばあの理論屋(名前知らん)でも、 全員の支持があれば全体を率いるだけのことはできそうだ、という位の意味において、 ユイリィという個人は重要ではない。
もしユイリィがいなかったらもう少しトラブっただろう、というのは、 「ユイリィがいなかったこと」ではなく、 操船科の集団のレベルが下がる(首席のユイリィが抜けるんだから平均点(?)は下がる) ことによる必然である。それ以上でもそれ以下でもないだろう。

ユイリィ=バハナ
全体集会ん時にルクスンが出て来て、コケたところでユイリィが登場したシーン。
ユイリィは自分がやらずにすむならやらない、という小さな政府的な資質の持ち主ということになる。

押し付けられた分についてはかっちり仕事をしたというあたりはやはりツヴァイ(二期生、最上級生?)。 「教官は死んだのか?」という非難(に感じたはずだ)に対して、ちゃんと抵抗力をもっていたのは たいしたもんなんだが、よろけたあたり本物の悪意や敵意(たぶんブルーあたりから)に対して どれだけの力があるか見てて不安なるていどには神経が細そうに描かれている。 つうかルクスンが厚顔すぎなんで細くみえるだけかもしらんが、新入生の昂治達に 「まあ、あんなもんだろう(なんとか無難にこなしたね)」と言われる位あぶなっかしい ... んかねぇ。

ところで。 ユイリィ達ツヴァイの操船科生に14 時間以内でリベールを動かす能力があれば 教官達は死なずに済んだんだから、教官達が殉職したのはユイリィ達の力量不足にも 責任がある。 そういう有責任者が、殉職者の家族に向かって、 「彼等は死んだ、そのかわり我々が助かった」 つう事実を述べるだけじゃいかんですね。

ユイリィはこれまで 非常に素直に育った精神的な歪みの少ない優等生として描かれており... いや「模範的な」という意味ではなく、「首席」であること、それだけの努力をしてきたこと、 そういう才覚をもっていたことなど、本人の心に対してかなりの圧力になるはずの そういうファクターの中にあって性格的な歪みがでてこなかった、という意味なんだけども、 これはそういうユイリィの初の失策ってことになる。 気にかけていて自分から慰めるべく近付いた子供の精神状態に思いやることができなかった、 というコトになるんだから。

ルクスン=北条
「単なるバカ」という評がたちつつあるルクスン。 しかし彼の役どころはチーム ブルーからユイリィを護ることにあるはず、 つうかブルーが絡んで来た時にしゃしゃり出て来る位なことはしていただかないと こいつの存在意義がない。

そうすると、今回、ブルー達が仕官室を占領しているのを知った時に ルクスンがおびえた描写になったのは後でちょっち響きそう。
チャーリィ:-) がいたんだし、ルクスンを傷つけなくてもよかった場面で、 笑いがとれるシーンが少なかった今話のバランスのために入ったんだろうけども、 本来の意味で蛇足である。

チーム ブルー
ツヴァイ操船科生との主導権争いがあるはずの一方。 (情報を得やすい)士官室を真っ先に確保したブルーのセンスは相当なもので、 リベール発進準備中にはツヴァイを支援した大局観も祐希とは格が違う。 自分から下層の部屋に入った昂治達(こいつら、物事に対して「お客様」的意識が抜けてませんな) とは比較する気にもならず、... でも周りがバカばっか :-)
人材的にはツヴァイのほうが豊かな陣営ですな。

暴力的にリーダーシップを握る、要するに反乱、つうことでは面白くないので、 少しは努力して下さい > 取り巻きな方々。

ファイナ=篠崎
ツヴァイの連中の話が主筋として、 脇筋どころかぱーぺきにその他扱いになっている 昂治側でも少し荒かった点がある。ファイナから昂治に対する距離感である。

どうみても昂治に興味のないファイナ、というかバフラの件以外に自分からは何もする気にない ファイナで、それは(まだ話の軸とならないから)いいんだけど、 昂治が祐希を発見して睨みあった瞬間に昂治の足が止まった瞬間に ファイナの足も止まる、つうのが気に入らん。

昂治にひっぱられているとはいえ、昂治そのものを目に止めてる訳じゃないんだから 昂治の足がとまった瞬間に立ち止まるんでなく、 慣性で 1, 2 歩そのまま進んでから立ち止まって頂きたい。 歩き出すほうも同じで、ファイナってば昂治に(少しは)興味がでたんかい、 と思ってしまったじゃないか。

部屋にもどってきていまさら辞退するというのとファイナの気分の辻褄があっとらん。

蓬仙葵
内緒話とはいえ そんなに顔近づけてお話してたら「ただの幼なじみ」つうてみても始まらんでしょうが ...

主筋にはまったく絡まんのに、絵的に贔屓されとんのはヒロイン待遇だからだろう。 背後でジャンケンしてるとこの部屋の前でぼけーっとしてるシーンなど、 無意味なところで表情の描き込みにが気合い入った絵になっている。

ホンと絵
いきなり絵のレベルが落ちた。その酷さに吐き気がした ... というのはけっして比喩表現ではなく、 空間が歪んでみえる絵にこちらの空間認識能力が合わせようとして一種 酔った状態になったという感じ。

後半に入ってほぼ OP 品質に戻り、ユイリィが主役の回つうことで その辺(後半に力点を置いたん)はまともなセンスだけど、ちょっちびっくりしたぞ。

ホン書きのセンスも三つほど狂ってますな。 そのうちユイリィのセリフがふたつで、もうひとつはルクスンの描写。

二つは上述した。最後のひとつはリヴァイアスの干渉がリベールに繋がっていないところで 「まったく繋がってない」と発言する部分。ここは「繋がってない」と発言してほしかった。 「まったく」という形容詞はあとで考察すればいいことで、 ユイリィが確認できたのは自分のマシンから容易に確認できるラインだけのはず。 ホン書きの日本語のセンスの問題だけど、 変に強調しようとして「脚本を読んで」いる(臨場感がない)感じになってしまった。

ED 後の英文
"revise us" ... ここの文字はどうやら ryvius と類音になる文が入るようですな。 おしむらくはぜんぜん英語になっとらんとゆーことであろう ... 今回のほうが (前回の英文の) "reveal us" にふさわしい内容だと思ふ。
今回、この一言
「なんでルクスンなんだよ?」
「誰も何も言わなかったし」
ああ、ルクスン、ルクスン、ルクスン ... なんて不憫な奴 :-)
[アニメ感想のページへ] [『リヴァイアス』のページへ]