それにしてもミレイユのへたれぶりは今話でも健在である。 こいつが霧香をとりかえせるなんてどーやったら信じられるのだろう ...
そのギリシア神話において「エウリディーケをハデスから取り返した」だけでは話が終わっておらず、 結局は(ハデスとは関係ない)オルフェウスの失敗でエウリディーケを失うというオチをもってしたのが 象徴的なんだけども、 『ノワール』という物語、繰り返し繰り返し「取り戻す」というモチーフが出てきてて、 ラストに「霧香を取り戻す」というのを置いて締めるのは非常に良く理解できるけど、 これだけしつこく使っちゃった以上はラストに置くにはそのまんまだと弱くて、変調しないといけない訳だ。 ... 霧香が記憶を取り戻すにも成功したし、 アルテナも霧香を取り戻した、ラストではミレイユが霧香を取り戻した ... というのでは 物語が終わってない。
それはなんと言っても、アルテナがミレイユや霧香に殺されたとしても、 単に霧香を人質にとってた奴がノワールに殺された(#7 の再演ですな) ── という描写にしかならないから。
霧香とアルテナの繋がりがどうあれ、ミレイユには関係ないことだし、 今話で明確になったミレイユのスタンスからは、霧香をアルテナのもとに置いておくことは 「それ自体が罪である」からアルテナの言い分に聞く耳もたなくていい。
ソルダのグラン・ルトゥールが(ソルダにとって)どんなに素晴らしかろうと、 ソルダを敵と定めたミレイユには何の意味もない。ソルダの外側の、一般世界において「素晴らしい」 というところまで行けば意味があるだろうけど、 ミレイユが銃を掲げたトコでそんなこと言ってみたって遅い。ミレイユにとっても意味があるならば、 霧香をミレイユから切り離す前に告げなければならないことだ。
見ている側(視聴者の側)にとっても同じことが言える。 霧香はアルテナのもとにあるべきである ── という命題に同調すべきなにものも描かれてないので、 視点がミレイユ側にならざるをえないが、 ミレイユがどうにもへたれてて、アルテナどころか子分のクロエにすら勝てそうになく、 正々堂々と戦って勝つ(ようするに盛り上がる形) ... にはとてもならないだろう、 つーかいまさらクロエ、霧香を敵に回してミレイユが勝っちゃったら白けると思う。
途中どこかで「霧香の寝返り」があるはずだが(なかったら凄いなあ)、 そしてアルテナの計画(とたぶんアルテナ自身)が潰されて、 そして荘園の外に出る ... ラストにむけて主役を取り戻したミレイユだが、 こういう状況のドコに活躍する場所がある?
元ネタよろしくアルテナには さっさと殺されていただいて、でもその帰国途上で反主流派がなにかするとかで霧香が死ぬ (再度、冥界へ。そして復活がありえない) ... くらいでもしないと話が終われないと思う。
なによりも、反アルテナ派はこれまでアルテナに手だしできなかったわけだ。 その程度の実力しかもたない連中に力で勝てなくてアルテナに勝てるはずがなかろう。 戦略がどーこーという以前の問題だ。
記憶を取り戻し、自分が何をやってきたのか知った、そのことを霧香自身がどう処理するか ... て問題がミレイユが霧香を取り戻す時に本来ならあるはずなんだけど、 霧香自身がすでに判決を出してしまってる ── 「ミレイユ、私を殺して」という形で。
だからミレイユが霧香を取り戻すとすれば、霧香に「あんたは死ななくていい」と言わねばならないのだけれど、 ... もちろん言うのだろうけど、ミレイユ程度じゃ霧香の死刑判決に抵抗できないですな。 死刑判決そのものはアルテナの行動とぜんぜん関係がないんで、 アルテナ(心を入れ換えたとして)にも手が出せない。 #6 で悔悟してるじーさま撃ち殺してしまってるから、霧香自身にもこの判決ひっくりかえしようがなかろう。
したがって、ラストで霧香は死ななければならない ... と思うんだが、これ、ひっくりかえせないと物語的にかなり悲しいぞ。 アルテナにいいようにされた生涯ってことになってしまう。
『ノワール』のラストに向けて個人的には解決していただきたい唯一の謎がこの写真である。 アルテナがなにをどう考えていようと、グラン・ルトゥールがどーであろうと、 そんなもん知ったことか。どーせミレイユ(と霧香)で叩きつぶす話になるのがわかってんのに。
なんか次回予告で出ずっぱりで霧香と遊んでんだけど、本筋外。
「君は世界を相手に一人で戦うつもりか?」本来ミレイユのセリフだけで良いのだろうが、 ヘタれたミレイユが言ったんじゃ「一人では戦力が足りなさすぎるの」 としか聞こえないぞう、ってことでブレホールの返答も。
「一人とは ── 限らないわ」
「... 妙に聞こえるかもしれないが、健闘を祈っているよ」
ここの感想でさんざん酷いことを書きまくっているが、 それでも(妙に聞こえるかもしれないが)健闘を祈っているよ > ミレイユ。