『ノワール』 #8 の感想


粗筋
ノワールに殺されたドン ルッシの復讐のため、 グレオーネファミリーはシシリアからシルヴァーナを呼び寄せ、ボスの座を継がせる。 イントッカービレと呼ばれる彼女に幼い頃ミレイユは会ったことがあった ── 殺せないかもしれないとミレイユは霧香に呟く。
概観
必要なキー(シルヴァーナの描写)を意識的に抜いてしまってるようなので、 これだけではどうにもしようがなく、すべては次回次第。 信頼度の墜落したミレイユに霧香が何を思うか ... ってあたりが特に。

ちょっと趣味を変えてきた BGM は、 最初は何事かと思ったけど、けっこう良いじゃん。

イントッカービレ
タイトルに登場人物名を付けた物語は嫌いだ ... 登場人物名なんか所詮は sed 's/A/B/g' してしまえるもんなんだから、 タイトルは何の意味も持ってない。

つまり、逆に言えば、 登場人物名が話の中外で特有の意味をもつならば、 sed できないような構造になってれば、構わないということでもある。 『徳川家康』というタイトルの本の、タイトル及び本文中の「家康」という文字を すべて「織田信長」と書き換えて同じ本が成り立つかってーとそんなことはない、 こういう風になってるのであれば構わない。

さて、イントッカービレ。いまんとこシルヴァーナの単なる alias なので、 sed 's/イントッカービレ/てきとー/g' しても構わないような気はする。 でも実はそんなことはなくて、「イントッカービレ」がなにかを寓意してはいるんだろう。

たのむからもうすこし分かるように描いて下さい。 これって、イタリア文化史をどっかで予習なり復習なりしてこいってことっすかぁ? 「イントッカービレ」の spelling は分からんし、google の調子は悪いし、ぶちぶち。

って、goo で引いたら出てきた。"intoccabile", 英語の "untouchable" っすか。 表向きとしてはそのまんまだと。

暗殺
ボスが殺られてからの護衛の方々の反応がえらく鈍いんですが、.... そういうもん? 音楽に合わせたかったってのは良く分かるけど。

わざわざノワール側もリズムあわせてドンと撃ってるけど、 タイミングがずれると先に殺そうとした方を狙った奴の後ろから撃たれる可能性があるってことかな。

ドン サルバトーレ
ボスを暗殺されたていどで「もはや躊躇すべき時ではない」って、 いったい何をそんなに神経質になっとん?
散髪
あきれるほど色々詰め込んできましたねぇ、 見事に本筋にかすりもしないような内容ばっかり ;-)

いつのまにやら散髪を許すような関係なんだなあってのが第一感っすか。 ミレイユにつきあってやってる(困惑しとる ...)霧香というのが、 つまりミレイユが霧香に我儘いうてるわけで、 殺す予定の人が殺される予定の人に言うことじゃないよな。 そらもちろん将来も殺せないのは見えてるけど、 ミレイユの心ん中でこのあたりはどう整合してるんだろう。

服のセンス皆無っつうか、基本的にミレイユが放ってよこしたのを 着てるだけのような霧香が「散髪してくれ」と言うはずがなかろってことで、 でもって勝手に自己完結しちゃって散髪途中で放りだして。 霧香にしてみりゃンなことより「髪のほう早くなんとかしてくれ」ってのは ...
別にイントッカービレの個人なんてどーでもええか。

ミレイユの心ん中での霧香の位置付けは前回で決まったとして、 霧香の心ん中でのミレイユの位置付け、信頼度の低下? 人の話ロクに聞いてないし。 つーか、今回のラストにて「(顔を見られたかどうか)分からない」って 見られた可能性がある、という時点で霧香によるミレイユの評価は 急落するのがふつーなんじゃないかと思うけど、 霧香ってば、あんまりそういう方向に思考が動かないのがなんとも。

察するところ聖人の名を貰ってる 3 人の手下の、その聖人達の絵なんでしょうが、 それ以上に寓意する部分についてはさっぱり分からんです。 どんなことした人達かなんて知らんもん ...
シルヴァーナ
前後 2 回なら前半の今話はシルヴァーナの人物描写に当てる回だと思うんだけど、 時間をぜーたくに投入したわりにはあんまり描写された感がないのは何故だろう。 「理解でけん人物」として描写したかったんかなあ。
「私に恐れはない。あなたは、どうなの?」
... と宣わないといけなくなるような、どういう会話があったのか、それが問題だ。
ほんとに恐れがない人物は、そういうことを宣う必要はない。
銃撃戦
拳銃 vs サブマシンガンで互角以上の勝負ってのが「ノワール」の凄さ ... というか、 そろそろ「ノワール」の銃器への中途半端な拘りについて 三聖人の誰でもいいから何かコメントしてやってください。
に霧香は制圧戦のような銃の使い方をする(狙ってない)のに拳銃だし、 ミレイユも止めをさしてないし ...

ところで、イントッカービレ側が地を選べるはずなのに、選び方がヘン。 「ノワール」の抹殺が目的で、自分達のコストについて制限がなく、 しかも必ず向こうからやってくるなら 大平原の一軒屋みたいなとこで地雷原でも敷いて構えるのが正しいと思う。 ジャングルのような庭、複雑な構造の屋内。相手の数(独りだと思ってないか?) も顔も分からん可能性大だし、 この条件じゃサブマシンガンのメリットも少ないんでは?

なんか、(初期状態では互角の土俵つくってそのうえでの)試合でもみてる感じ。 どーせなら土俵からしてエゲつない条件かぶせてやったほうがシルヴァーナの性格にも合いそう。 確かにラストでミレイユのことを黙ってた、とか美学というか趣味とかポリシーとか そういうもんもあるようだけど。

演出
反則的に上手いです。ブラックアウトの使い方とか。 つうか、霧香もミレイユも可愛いすぎです ...
投入した新 BGM も、これまでの曲調ブチ壊しにするようなもん入れて よく雰囲気だしてます ...
次回予告
なんですか、あの一発で大理石と思しき柱をゴソっとえぐってく火力は。 何つかってるのか知らないけど、室内で使うような兵器じゃないだろ ...?

上から順繰りに減ってるけど、屋内戦の原則は下から下へ(とジェド=ゴウシは宣いし)。 柱の基部ねらってブチぬけば霧香の隠れるトコなんてないんでないの?

今回、この一言
「顔は、見られたの?」
中途半端に感情的なミレイユに対し、ごく事務的に、必要な話を進める霧香 ... が、微妙に苛立ちと怒りのこもった。

まあ、せっかく怪我するほど危ないお仕事がんばったのにミレイユが失敗、 それも撃てなかったって撃てるトコまで行っててそれかい、この骨折り損はどーしてくれる、とか。 これでなおミレイユに「信頼に足る」という冠詞がついたままかってのが次回っすか。


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