それと、ある意味ふつうの、つまり感情の発達とともに相手に向けて 撃つのを躊躇するというような、定石的な造りの話を『ノワール』に対して期待はしない。 ンなもんそのへんの夕方の時間に流す話に任せればよろしい。
細部の造り込みは『ノワール』としてもピカイチだったかもしれないが。
したがって、どれほど後味が悪かろうと、撃つ前に躊躇しようと、 霧香の心の傷となったりはしないと思うがどうだろうか?
今回の仕事は心への負荷にはなっても、後を引くにしても、 そのすべてを引き受けるつもりで撃ったんだから、 「心の傷」というのとは違う ── と思う。うまいこと説明できないけど。
ミレイユが尋ねなければ、流れ作業的に仕事してれば、 「心の傷」というのに相応しい状態になったかもしれないが。
... 個人的には 意思の再確認という作業にあまり存在意義をみとめないタチだが、 それが命運を分けることもあると。 そのあたりの条件設定と感情の描写は実にシャープでした。
それパリに連れてくのか? と怒ったとことか、部屋覗くとことか、ミレイユすっかり 母親になっちゃってまあ。
「...」いや、その、撃つ前の沈黙んとこだけど(^^;;