『ノワール』 #4 の感想


粗筋
クーデターのお手伝いをする会社の上層部数名を片付けるために、二人はウルジアに向かった。 たまたま同じ地を訪れていた社長の娘の経歴を読みつつ霧香は何かを想う ──
概観
霧香の表情と何を考えているのか(何を思っているのか)を観る話なわけだが、 必要最小限の clue すら省いてしまってるために思考内容が確定しない(想像できることは幾つかある)。 どういう風に感想を書いても読み過ぎの罠にハマる。

ようするに「自分でこの話を観て、それで何事かを想え」という話。
ぶっちゃけて言や intermission, 「萌え」のためだけにある話ってことだな。

クーデター屋さん
こういう話をみるたびに思うことは「明治維新は偉かった」である ... なんか司馬遼太郎に汚染されまくっとるが、事実として幕府にフランスがつき、 薩長同盟にイギリスがついてんだから武器は近代化されてたわけで 焦土戦術は戦国時代にもあったんだから、 内戦してりゃ国土はボロボロになっていてもおかしくはなかった。 1 年たらずで旧幕府系を封じ、10 年後には出自の薩摩まで切り離したあとの明治日本が マイナスからの出発にならなかった、どころかプラス(江戸時代の教育の充実)から 出発できた歴史の偶然は大切にしたい ── ってだから司馬史観まんまやろ。

国の人口が半減するようなことがお仕事の会社に支援をたのむとゆー将軍の発想がね、 やっぱよくわからんの。 べつに理想に燃えろとは言わんが、そーゆー国の大統領になって何が嬉しいんだろう。 隣国との外交交渉とかでバカにされるだけでないのかなあ。 私財をためこむのもええけど、このレベルになると自負と敬意あってこその金だろ?
確かに敬意も金で買えるが、 今回の社長さんじゃないけど、一番必要な奴の敬意を買えずして何のための金かね。

日光浴
この時、この格好でミレイユは銃を持っていたのでしょーか? なんかめいっぱい隙だらけなんですが、本当に「最高ランキング」?
霧香は持ってるだろーけどねぇ ...
霧香の御洋服
純粋に個人的な好みで注文つけるとすれば、霧香のワンピースは腰んとこを僅かでも絞ったほうが好み。 まったく絞ってないあの形式は病院の貫頭衣を連想するのがノイズになってちょっと嫌。

... ああ、そういえば、「病院」という意味では「無地」であるということも罪だな。 この無地なんは絵ぇ動かすのを安くあげたいというところから勘弁するとしても、 例えばアロハ柄だったりしたらこーゆー文句はつけんかったと思う。

密告者
密告者がいて悪いとは言わんけどさ、「監視者が居る」という時点でなんか終ってません? 居場所をつきとめてる奴がいるってことは、他の誰かにも居場所をつきとめられ得るってことですが。 いちおー場所は秘密にしてあるんだろうし、てことは居場所をつきとめる方法は幾つもないはずで、 逆に辿る努力くらいしてもええんでないの?
Clue を消してあるということ
ラスト、霧香がロザリー(社長さんの娘)を無視して歩き出すところ、 やろうと思えばいろんな clue が挟める。 ロザリーが前を向いたところで歩みを僅か止めるでもいいし、 何か呟くでもいいし、目を伏せるでも涙流すでもいい。 要するに何かのリアクションによって ここまでに示してきた霧香のバラけていた想いを一つの筋にまとめることができたはず。

個人的にも、 難解きわまりない、社長さんを前にしての霧香の躊躇を解釈するに必要なだけの clue は欲しかった。 社長さんの躊躇つうか観念しちゃったほうは存分に clue がバラまかれてて 分かりやすいんだけどねぇ (主筋でないから分かってもあんまり嬉しくないが)。

思索とか想いを主筋として表現しつつ内容の方向性すら描写しない こういう空虚な造りは本来あんまり好むものではないが、 今話のこの空虚さを嫌うというほどのことがないのは意図的な演出だからだろうな。 だから感じたことはあれど それを感想という形で言葉に映しこんでしまうのは何か違うと思うので、細かいトコは書かない。

社長さんが娘と離れ離れで生活 ... で自分の偽の両親に重ねてんのかとか。いっぱいあるんだけど。

BGM のタイミング
たとえばロザリーがオレンジを落とし、二人が立ち止まり、霧香が拾って袋に返し、 ロザリーが霧香に微笑みかけ、霧香が無視して立ち去り、それをロザリーは視線で追いかけて ── BGM を再開のところ。

こっちの予想よりも半呼吸 BGM の入りが遅かった (BGM が入らなくて一瞬「おや?」と思う間があった)。
BGM の使われ方にも慣れてきたけど、それでも やっぱりすこしヒキとかタメが 0.5 〜 1 秒ほど長く感じる。 ん〜、これがこの話の作者のリズムなんかいな、と思ってたら今回 ED の入りは 逆に僅か早く (寄せた波が寄せて引きだしたタイミングで ED に入ると思ったら、寄せる途中で ED 入りした)、 最初の数秒 ED の拍が取れなかった。うーむ、よくわからん。

予告
偶数話のミレイユはマトモ、奇数話のはボケ、らしい。 今話めずらしくちゃんとお仕事していたと思ったら、次回しっかり捕まっていた。 をいをい ...
今回、この一言
「がっこう ...」
第一話で夜の学校でなごりを惜しんだこと。あったはずの日常性からの別れ ... の描写かと思っていたが、 もすこし深い意味があるらしい。

だーかーらー、方向も定まらないような clue しかないって何とかしてくれ。


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