一方、記憶もないのに、しかも朝っぱらから 追っ手を 3 人ほど撃ち殺しておいて 学校をさぼらなかったあたり、 記憶をなくした只今の夕叢霧香はすごく常識人(そ、そうか?)。
記憶を失ってみれば「殺せる」ことに不安を感じる程度には常識人。 一方、かつての霧香は写真の中では明るく笑ってる。 とすれば以前の霧香の心ん中でこれをどう整合していたのか。
「記憶を失った」というよりは、 「常識的な価値観を上から新たに被せた」に近い状態、 つまり、記憶を失ったことに昨日までの霧香の意志が関わっている、 ように見える。
なら?
よく言われることだけども、 作為が無い普通の意味での記憶喪失は 本人が記憶を無くしたいというドライブが掛かってることがある。
霧香の記憶喪失は作為が働いている ... と見るのがもちろん第一感だけれど、
その奥には一般的な意味での記憶喪失と同じもの、
本人の逃避が ... あるような、気がする。
記憶を取り戻すことが霧香本人の幸福かどうか。
ミレイユにそれを判断するだけの器量はないと思うだけに。
まあでも、追っ手に追われてるトコで記憶をなくすのは過りなんで、
あとは記憶を消した連中の思惑がどーかってことですね。
ミレイユが調べたことを語るそばで 目ぇつぶったまんま銃をバラして組み立て直してしまったあたり、 「絵で語る」ってことをよくわかってるねぇ。
しかも両手を上げたおっさんに銃を突き付けまんまで しかも情報が欲しかったとはいえ、 無造作に近付いて取り押えられるあたり、性格&状況判断ともにかなり甘い。 これで信頼に足る殺人代行業者ってちょっと信じられんぞ。
コトが終った時に霧香を殺す ... と宣ってるけど 殺せないのが見えてるのが物語に安定感を醸し出す。
(ミレイユからでなく)追っ手から逃げるというのは いいんだけど、とすると鉄骨のうえに座ってミレイユを待つ、 という絵的におもいっきり狙った形では 狙い撃ちされてしまう ... この話ではこのテの突っ込みを許しちゃマズいっしょ (^^;
絵も素晴らしく綺麗。 「レイヤー」にしても「こみパ」にしても 「CCさくら」見慣れた目には辛かったからねぇ。 ビスタサイズなんは DVD にした時のことを考えてだろーが、 2 話 1 本になりそーな予感が悲しいぞ。
「『私はいろいろな人と一緒にいるときは、いつも独りぼっちだった』 ...ミレイユが霧香にヘミングウェイを借りて語るセリフの壮絶さよ。
私じゃないわ。アーネスト=ヘミングウェイよ」