ルスツ&ニセコ(洞爺湖温泉泊)

北海道最大のスキーエリアであるニセコが、中でもヒラフがナンバーワンであることを何度も北海道でスキーしている人は疑わないでしょう。
しかし同時に一つ大きな疑問がありませんか。
新千歳空港からニセコへの道中、ツアーバスは、途中支笏湖畔と洞爺湖畔を通過します。どちらも大変景色のよい湖です。洞爺湖を過ぎると1時間ほどでニセコですその間にルスツを通過します。
洞爺湖といえば、洞爺湖温泉という大規模温泉街があり、2008年サミットが開催された高級ホテル(1泊4万以上するらしいウインザーホテル)があります。有珠山や昭和新山を見学し、湖周遊船に乗流こともできます、冬以外は・・・・う〜ん冬はどうなんだろう、スキーファン以外の一般旅行はオフシーズンという冬は。
ここに泊まって温泉とルスツとニセコの2つのスキーエリアへ掛け持ちでスキーに行き、スキーが済んだら温泉三昧というができる絶好のロケーションなのに、なぜスキーツアーの中に組み込まれていないのだろうか。
既製のツアーがないなら自分で作って確かめてみよう。
空港⇔洞爺湖⇔スキー場間のアクセスはどうか、洞爺湖温泉街がスキー客に対応しているか、費用はいかほどか、ひょっとしてニセコ観光協会との密約で洞爺湖温泉はスキー客を取らないことになっているのかどうかを。

泊まったお宿は、唯一「お一人様プラン」があったグランドトーヤ

   
 冬に湖遊覧船というミスマッチに気づかない  部屋は洋室で部屋飯、どうやって食うねん

さて、新千歳空港から洞爺湖温泉までは、直通のバス路線などはありませんので、レンタカー利用で、新千歳空港ICから虻田洞爺湖IC経由で約2時間です。最終便で新千歳空港へ来て深夜に洞爺湖着というプランも滑走日数をかせぎたい方にはありでしょう。
また洞爺湖温泉からルスツ、ニセコスキー場への路線バスはありませんから、この間もレンタカーを自分で運転しなくてはならず、帰り空港まで借りっぱなしという契約になります。

洞爺湖温泉は見事にスキー客に対応していません。スキーやブーツ置き場(乾燥室)さえないのですから。宅急便でスキーを送って部屋に運び込んでくれているのに「明日は何をなさいますか?」とか聞かれるときの答えの準備は必須です。

もちろん、宿街は見事な「冬枯れ」です。地元とおぼしき宴会客「**婦人会」と学生の卒業旅行か結婚式の後の宿泊かというニイチャンねえちゃんがいたぐらい。観光バスで湖の遊覧船に乗るという客(中国から?)というもいますが、魅力のなさはご覧の通りです。

スキーができない、猛吹雪や雨模様の日は、それでもスキー場隣接の宿と異なり「温泉」という逃げ道があるはずで、そこが大温泉街「洞爺湖温泉」の魅力のはずでしょう。
ところが、雨でスキー場行きを断念した午前10時半頃、「暇やし、風呂でも入りに行こ」と思って浴場に降りると「清掃中につきご利用できません」。
いったい何のための温泉場なのかと思いません?なんだか昔「湯治客」だけをとっていた頃の方が、遙かにホスピタリティがあったのではと思ってしまいます。

そうです、北海道はずっと周遊客だけで切り盛りしてきたので「ステイして楽しむ」という発想が完全に抜けてしまっているのです。何せ周遊客ならお客はすべて一見さん、1泊2食だけなので毎日同じ夕食を作っていれば済むのですから楽です。その結果が料理の質を著しく低下させ、客が減り、さらにコストダウンのため料理やサービスを低下させるという負のスパイラルに落ち込んで自分の首を絞めているのです。 ちなみに刺身も蟹も冷凍物、すき焼きは豚肉でした。よって料理の写真はなしです。

しかし!冬場スキー客を取り込めば何とかなる

ルスツリゾートウエストからイーストを望む ニセコアンヌプリ国際から山頂を望む

ご覧の通り、車で国道230号線を30分走ればルスツリゾート、途中から道道(北海だから道ではなく)を走れば1時間でニセコ三大スキー場のうちアンヌプリ国際にいけるのです。
この時間はたとえばニュージーランドなどでは、全く苦にならない距離です。信州の志賀高原でスキーをするのに麓の湯田中温泉に泊まると思えばいいくらいです。
亭主の予想はこのスキー場へのアクセス時間の実証で確信に変わりました。

洞爺湖温泉に泊まるニセコ&ルスツスキーツアーは可能である!

ルスツリゾート

ルスツリゾートは巨大なホテルとホテル内のアミューズメント施設(ミニ遊園地まである)で運営されています。アッピやトマムスキー場と似た構造です。ある意味バブル期の危うい経営形態といえないこともないけれど、それなりに合理的なサービスが提供されています。
スキー場は、ウエスト、イースト、イゾラの三つの山にそれぞれコースが造られていて、それぞれ連絡はしていますが連続はしていません。つまり三つをスキーをつけたまま行き来できるわけではないということです。スキー場のそれぞれのデータは公式サイトをご覧ください。
ただスキーをするなら、決してウエストに立ち寄らないことです。ここはルスツの表玄関で、入り口をくぐると正面に室内遊園地が覆う被さり、いかにもリゾートホテルといった構えですが、スキー場としては標高差もコースもスケールが小さいうえ、国道を挟んだ彼方にそびえるイーストマウンテンまで延々とゴンドラで水平移動しなければなりません。おまけにこのゴンドラ、そのままイーストマウンテンの山頂へ行けるかといえばそうではなく、いったん降りて、イーストマウンテンゴンドラ(発着は同じプラットフォーム内)に乗り継がないといけません。イーストゴンドラが込んでいると、これは少し苛つくかも知れません。
イーストマウンテンにはかなり広い駐車場があり、国道からイーストへの黄色い看板が出ていますので、必ずそちらの方へ曲がることを憶えておいてください。

右がイースト左がイゾラ、フード付き高速リフトのフード(4人乗り高速リフトはすべてフード付き)に貼ってあった地図、今乗っているリフトが黒で示され便利。
ま、これでも自分がどこを滑っていて、帰るにはどう行けばいいかわからない地図音痴は救いようなし。

イーストマウンテンの一番ベースには、タワーホテルの建物があり、ゴンドラまでのリフトがかかっていますが、ほとんど平らなところなので、タワー滞在者以外には無視してよろしい。
ゴンドラ頂上からは降りて左右に回って降りる二つのコースがゴンドラステーションまで続いています。平均斜度15度ぐらいで圧雪のきいた気楽にスピードの出せるコースです。ただし中間の送電線鉄塔にぶつからないように。
またイゾラとイーストを隔てる沢に降りる急斜面は、ガッツが必要です。

   
イゾラ スチームボートコース(2本あり)ベースはレストラン イゾラの一番右端 ヘヴンスコース 出だしは直滑降でGO
確かに平日の金曜ではあるものの、人影が見えないほどすいているのは、ありがたいやら寂しいやら。 

ルスツで一番おもしろいのは、イゾラ・マウンテンではないでしょうか。イゾラグラン、スチームボートA・B、ヘヴンスの4本のロングコース(いずれも3キロ以上)があり、写真の通り空いていて広く、整地されていますので、亭主のように楽して、スピードを出して、カービングターンを好む人にはかなりおもしろいといってよいでしょう。
コースから沢に降りるルートは非圧雪の上級者斜面でかなり手強いです。「整地ばかりじゃね…」という方はどうぞ。一番ハードなのはイースト山頂イゾラ山頂から間の沢に直接降りるコースで◆◆表示(最上級者専用)、積雪量を確認してクローズしているときは入り込まぬようご注意を。

スチームボートとイゾラグラン(ゴンドラステーションがある)のベースにはレストランがあります。イゾラグランコースはコースも長く滑り応えがありますが、風が強い日はゴンドラが止るので、途中から右に折れてスチームボートコースに復帰しないといけません。ゴンドラの運航状況はこまめに把握するようにしましょう。
下のように北海道っぽい料理もありますが、基本ビュッフェスタイルのゲレ食です。期待は禁物。 

   
 スチームボート 店内 かなり外国人が多い  スチームボートの鮭いくら親子丼

ニセコへ(アンヌプリ国際から上がろう)

洞爺湖沿いを走る国道230号線を左に折れて(「ニセコへ」の標識はあるものの、カーナビがないと、かなり困難)道道をたどってゆくと目前に羊蹄山がどーーーーんと大迫力でせまります。

どうですこの迫力。この景色に見とれていると左折地点をまちがいかねませんので注意が必要です。羊蹄山の手前を左折して15分もゆくとニセコアンヌプリ国際という、かつて日本航空がリゾート開発したスキー場に到達します。ここは整地され斜度が平均化された広いロングコースが売りですが、ゴンドラとその2/3の長さの高速リフト1本そのほかは普通の2人乗りリフトという構成ですので、一日退屈しないで遊ぶには難ありです。
しかし寒い最後の2人乗りリフトを降りれば、アンヌプリ山の八合目付近、森林限界より上ですので一面の雪原(非圧雪)です。そこを上から見て左へトラバースすれば「東山」「グランドヒラフ」のスキー場へ滑り込んで行くことができます。
もちろん一番のおすすめはヒラフです。
ただ今回のようにプライベートプランでレンタカー使用となると、駐車したアンヌプリに帰ってこないといけません。時間管理とともに、天候にも注意が必要です。森林限界より上では風を遮るものは何一つないので、凍えること請け合いです。
ちなみにご飯はヒラフの麓か、アンヌプリの麓がよろしい。東山はプリンスでの食事で確かビュッフェスタイル(バイキング)のはずです。その昔は新旧2つのホテルからゴンドラがかかっていましたが、今は新館からのゴンドラしか運行していません。まちがっても旧館に降りないように注意してください。
チケットは三つのスキー場共通のICカードチケットです。少し安めの8時間券などもありますので滑走時間に合わせて選択してください。チケットはデポジットですが、返金場所が限られているのでその点も注意がいります。

洞爺湖温泉とルスツニセコスキーのコラボツアー提案

さてこのように洞爺湖温泉街は、北海道スキーツアーのベース基地とした場合費用はいかほどかということですが、今回航空チケット(旅割利用 35,300円)、洞爺湖宿泊4.5泊2食付き(51,200円)、レンタカー料金(ウインターキャンペーン利用 44,730円)、合計131,230円。滑走日数が丸4日ということを考えると普通の4泊5日北海道スキーツアーと大差ないことがわかりました。LCCを使い、2人以上で行けば、宿代レンタカー代がさらに安くなります。
洞爺湖温泉という非常に魅力的な宿泊地の集客力と、現在のスキーツアーではニセコを選択すればニセコだけ、ルスツを選択すればルスツだけというのに比べて、天候や体調に合わせ、夫婦できた場合どちらかがスキーをさほどしない場合でも大丈夫という自由度、これらのメリットを合わせれば、現在のスキー人口の大半を占める中高年を取り込むには十分な資源であると思われます。
しかし超えなければならない問題もあります。それを整理してすでに洞爺湖温泉観光協会宛文書で送付しました。皆さん、以下の提案いかに思われますか。魅力を感じられましたら、是非観光協会へ実現を呼びかけてください。

亭主の提案

顧客ターゲット;
@日本人の中高年すなわち退職する団塊の世代とそれに続く現在40代以上の「私をスキーに連れてって」時代にはすでにスキーにはまっていた世代。
Aオセアニア人、韓国人、中国人のスキーファン。
ターゲットごとの宿泊施設の棲み分け;
@とA、さらにAの中も細分化します。好みが違うためです。中国人は派手でゴージャスで料理は中華を好む。韓国人とオセアニア人は和食を好む。特にオセアニア人は徹底的に「和風」にこだわる(たとえば浴衣をお土産に提供する、部屋も純和風にするなど )。
宿泊と食事の分離;
1泊2食ではスキー客のように連泊する客は、代わり映えのない料理を延々と食べさせられることになります。
そこで、ホテルは宿泊と朝食のみ(いわゆるB&B)に徹します。夕食はツアー客が選択します。中華料理は舌の肥えた(中国でスキーするのは富裕層なので本場の高級料理を食っている)顧客を満足させるため、本国から一流の料理人を引き抜いてくる。そのほかのホテルも独自の料理を工夫し、基本的に中高年は大食ではないので、好きな料理をアラカルトで食べられるような、品数より中身の吟味にシフトする。もちろん地産地消につとめ北海道の地元産の新鮮で良質な素材にこだわる。
洞爺湖サミットの会場となったウインザーホテルに1泊するプランを組み込む。これによって高いホテルだが、1泊ぐらいは贅沢をしたいという退職後の世代の望みを叶えることが可能になり、より集客力を与えることになる。
さらに、夕食だけウインザーホテルという選択も可とする。泊れなくてもディナーぐらいというニーズに応えるため。
アミューズメント企画;
足湯のあるコミック&アニメカフェとスポーツカフェを作る。
日本のコミックやアニメはもはや世界中の文化で、韓国人も中国人もオセアニア人も、もちろん中高年世代も大好き。
北海道は冬発達した低気圧により台風並みの暴風雪が吹き荒れる。そうなればスキー場はクローズ、ニセコやルスツに泊まっていれば、宿に足止めされ何もすることになるのだが、洞爺湖では温泉三昧で過ごすことができ、アニメカフェやスポーツカフェで美味しい地元の食と酒(地酒、地ビール、北海道ワイン、余市のウイスキー、乳製品、エゾシカ肉、ラム肉)を足湯につかりながら、コミックを読みふけりアニメやスキーデモンストレーションビデオを観て。
アニメDVD やコミック単行本は寄贈に頼ればほとんどただで集積することができる。

さて、せっかく北海道に来たのならスキー場もたくさん、ついでに温泉があれば言うことないと思っている中高年スキーヤーの皆さんご一考いただけませんか。