白馬栂池

バブル絶頂期、栂池スキー場は大いに混み合い、大量の若い男女が殺到した。スキーよりアフタースキーという肉食系男女がファッションを競ったものである。
その面影はすっかり消えて、普通のスキー場になっている。宿が密集するゲレンデまでの細くて曲がりくねった道も、落倉高原から真っ直ぐな立派な橋が架かり、ゴンドラ乗り場には温泉施設も併設されている。

鐘の鳴る丘という横に広いなだらかなゲレンデがあり、子供連れファミリーにはまことに人気がある。
しかしスキー好きには、八方の「控え」という感じが強く、最上部に行ってさらに高く連なる八方尾根の斜面を見上げると少々残念な気分になる。
ロングコースもハンノキコースという1本で、白馬で一番長いゴンドラにかける時間と引き合うことはない。
よいところは、八方尾根より圧倒的に寒くない。ゲレンデサイドやベースに飲食店が多いので逃げ場が多いのも利点だ。

   
鐘の鳴る丘、本当に鐘があり、鳴らすと幸せになるという。夕方、帰り道に鳴らして帰る客により、ひっきりなしに響く。横幅は1qぐらいリフトが並行に何本もかかる なだらかな丘。雪が重い日はターンしていると止まるかも知れない。

ラウンド栂池

栂池ゴンドラ「イヴ」は全長が4qほどもあるが、鐘の鳴る丘をほぼ水平移動するし、休日の朝一番はとても混雑するので始点から乗るのはお勧めできない。鐘の鳴る丘が終わるところに中間駅があって、そこからの乗車も可能である。
しかし一番いいのは、ゴンドラと平行する高速ペアリフトに乗って白樺クワッドに乗り継ぐことだ。
チャンピオンゲレンデ(しばしばスキー検定や競技会が開催されている急斜面)へ向かうリフトが並行して走っているのでそれもよいが、そこからほかのコースへ渡るのにけっこう歩かなければならないことを覚悟しなければならない。

白樺コースはゴンドラ直下、長さ1500メートルほどの、ゴルフ風に言うなら「右ドッグレッグ」で圧雪整備されていれば結構面白い適度な斜度変化と幅がある。途中チャンピオン方向へ行く枝分かれコースがあって、よく小学生たちのポール滑走練習や競技会が開催されている。
白樺コースから最下部をぐっと右に回り込んで池に近いハンノキクワッドリフトへ乗る。

白樺コース下部   白樺コース上部  チャンピオンゲレンデ、左手に白樺がある

ハンノキクワッドを降りて、ハンノキ第3クワッドリフトを乗り継ぎハンノキコース上部へ行くには2つの選択がある。
まずはハンノキクワッドを降りたらすぐコースを横切って右端からたどり着く方法、もう一つはコースを素直に下って栂池の名の下とも割れる池を背にして立つ休憩処「エデン」の右脇を抜けて、丸山リフトに乗り、降りた進行方向へくだってハンノキ第3へ行く。丸山リフト沿いは圧雪されたちゅう斜面なので、スクールを始め滑りの練習をする人が大勢いる。
ハンノキコースは全長3qぐらい。途中に「大壁」と呼ばれる急斜面があるが、そこを降りて右へ伸びる「沢コース」「尾根コース」へ曲がるとハンノキ第3リフトへ戻れる。
なおハンノキ最上部が栂池の最高到達点ではなく、ゴンドラを下りてふり返ったところにある斜面の頂上が一番高い地点である。ペアリフトで上がって右手に回ると、「馬の背」というねじれたコブ斜面と狭い非圧雪急斜面をたどって白樺コースに一気降りできる。
また左に回って広い非圧雪斜面の左下部から林間コースがあり、ハンノキ第3リフトの終点へ繋がっている。初心者用ということになっているが最高標高からのハンノキコースを使った一気降りができるので面白いと思う。

ハンノキ上部、高速ペアリフトでゴンドラ終点まであげれる。 ハンノキ「大壁」一番の急斜面、標識の左からハンノキ第3リフトへ行ける ハンノキの下部は緩斜面、たくさんの初心者がいるので注意が必要。なおゴンドラ中間駅に行くには途中から左の迂回路へ入るのがいい。
ハンノキコース終点、右の建物が「エデン」、キャパシティは十分にある。ご飯は「ゲレ食」、丸山リフトへはこの右を抜ける。
非常にゆるい斜面なので圧雪が聞いてないときは勢いをつけてまっすぐ行かないと途中から歩くことになる。

ハンノキ第3リフト乗り場へ向かうコースは、ジャンプ台とかが整備された「テレパーク」で、スノーボーダーが度胸を試せる。スキーヤーはリフト乗り場付近100メートルがほぼ平らなので、斜面途中からクラウチングで直滑降を心がけなければならない。もちろんひとにぶつかる可能性は考慮して。



ハンノキ大壁下りたら右へ。テレパークで遊ぶボーダーの邪魔をしてはいけない。2本のコースのうち右がスキーヤーには便利


    ハンノキ第3乗り場付近

お金がある方用ヘリスキー

栂池には、3月になると、リフトがかかっていない山の懐までヘリで行く「ヘリスキー」が催行される。
さほど急斜面でないので中級程度の技量で深雪が好きな方でお金があればやってみてもいいかもしれない。もちろんカナダやニュージーランドで行われるそれには遠く及ばないスケールではあるが、晴れて風がないことが条件となるので北アルプスの景色を見ながらの爽快感は良いと思われる。

白樺コースの終点「雪の広場」前から飛んで、ハンノキ最上部の彼方、白く輝く大雪面まで。

岩岳

八方尾根と栂池に挟まれた中間に、ぽっこりとつきでた山一つをスキー場にした岩岳がある。
学生スキーの練習やレースによく使われ、最下部には人工芝によるサマースキー場がある。標高差は400メートルほどのこぢんまりしたスキー場だが、ちゃんと「ノア」という名前のゴンドラがあり頂上に行くにはこれに乗るしかない。
ノアを降りたらゆるーく右方向へ行き、幅の広い中斜面をすっ飛ばして、クワッドリフトで上がろう。
クワッド降りたら左にある林間道をいってゴンドラの裏側へ降りる。このコースはほぼ常に圧雪整備されスピードに乗れる。最下部から遅いペアリフトで上がると、肥大手に行くコースに行かず真っ直ぐ突っ切って少し下にある緩いいかにも「練習用」という小斜面を降りて、短いリフトに乗ればゴンドラの降り場にたどり着く。
今度は左手にコースをとり、「ホワイト」「ブルー」いずれか(どちらかが非圧雪)を通って、一気にゴンドラまで降りるのだ。圧雪コースならスピードを楽しめる。
このようにぐるぐる回れば、小規模だが1日は十分に楽しめる。広い共用駐車場の向こうには天然温泉施設もあるので、帰る日の午前だけ滑ろうという欲張りにはうれしいだろう。

スキー場の規模は小さくても晴れて整備されていればけっこう楽しいものだ。