ABIT BH6

 自宅で使用しているメインマシンです。500TA、AOpenのAX5Tと継いで三代目であり、この機種にてようやくPentiumIIマザーとなりました。
 但しCPUはPentiumIIではなく、98/11現在CPUとして最も人気の高いIntelのCeleron300Aを使用しています。
 こう書くと、「ははーん、ABITのBH6とCeleron300Aの組み合わせね〜」ニヤリとした方もきっと多いでしょうね(笑)。ご期待に添えるかは分かりませんが、出来るだけその方向で紹介を進めていこうと思います(^^)。
 まずはマシンのハードウェア構成からです。

 自宅で常時使用するPCという事で、AX5T同様に安定動作第一のマザーをと考えていた為、当初は高額ながら人気の高かったAOpenのAX6BCを検討していました。ところが会社の後輩より「ABITのBH6凄くいいですよ。安定してるしクロックアップ設定を全てBIOSから出来るんです。買いましょう是非買いましょう直ぐ買いましょう」攻撃を連日の様に受け、とうとう根性負けする形で決定となりました(^^;)。
 私は特にマザーボードマニアという訳では無く、クロックアップ主体のマザーには全く眼中になかった為、マザーは名の通った安定したメーカーがいいのだとこの時まで決めつけていました。それ故に後輩の薦めが無ければABIT製のマザーなどまず買わなかったと思います。
 それでもとりあえず購入という事で、早速BH6のプリントパターンをチェックしてみました。するとBXチップセットから配線が奇麗な放射状に伸びており、それを取り巻く電源や各コネクタ位置も悪くありません。正直、AOpenのAX6BCより奇麗な位です。このマザーの設計はかなり堅実な考えの元に行われた事が伺えます。
 これは後になって知った事ですが、元々このメーカーはインテルのチップセットを中心としたマザーを出し続けている会社だったのですね。この後実際にBH6を使ってみて、中々いい仕事をしているなと感心した次第です(^^ゞ。
 さて、ここでこのBH6のメリットである「BIOSからクロックアップの設定が出来る」ですが、ご存じ無い方の為に少し補足させて頂きます。

 自作された方ならマザーボード上からBIOSの設定をして、そのマシンのパフォーマンスを自分の好みに合った様調整出来る事はご存じかと思います。そうした中、CPUのベースクロックやその倍率設定などは、主にマザーボード上の「ジャンパー設定」で行うのが常でした。
 ジャンパー設定とは、マザーボード上に等間隔に並んだ複数のピンがあり、特定のピンとピンをジャンパーというブリッジコネクタでショートさせる事でマザーの各種設定が行える方式を言います。
 さてBH6に話しを戻しますが、このマザーではこうしたジャンパー設定が何と殆どありません。唯一残っているのはCMOSクリア設定のもの位ですが、そんなに頻繁に使うものでは無いので皆無と言っていいでしょう。
 ここで「おお〜」と思われる方も多いでしょうね(^^ゞ。つまり、このマザーだと次の様な事が簡単に出来るのです。

「うーん、やっぱりベースクロック66MHzは遅いな〜、ここはベース100MHzの倍率4.5でいってみるか。でも出来ればもう少し早くしたいからターボ聞かせてベース103MHzでいってみよう。ただこれだとコア電圧2.0Vじゃ心もとないかな?ここは2.05V設定にして...さーてこれで実質463MHzで動くハズだっと。BIOS内容をSAVEしてっと...これでよし。あとはリブートだな、よっこらせ...さーて立ち上がってくれよ〜....おーきたきた。うん!早い早い、やっぱりゲームやるならこれじゃなきゃ!」

 てな感じでしょうか?(笑)。この様に、いちいちパソコンの蓋を開けなくてもこれだけの設定が出来てしまうのです(^^)。
 この設定方式ははABITが独自に開発したものだそうで、AWARDのBIOS設定画面では「CPU SOFT MENU II」という項目で現され、ここで上記の各設定が可能となります。
 無論、こうした細かい設定が必要無い(ノーマルで使いたい)人用に、イージーな設定も可能となっています。

 今回購入したIntelのCeleron300Aとは、元々IntelがAMDやCyrixなど各互換CPUメーカーに価格面で対抗して送り出したSlot1互換用の低価格CPUの事で、ベースクロックは66MHz×4.5倍の300MHzで使用する事を前提とされています。所がこのCPU、クロックアップへの耐性がとても強く、ベース100MHzの4.5倍である450MHz動作が可能である製品がかなり多く出回りました。それに加え、初期のCeleronには無かった二次キャッシュを何と128KB内蔵する様になり、これがCPU1クロックに対して二次キャシュへのアクセスも1、つまり1:1でのアクセスが可能という事になり、同じ二次キャッシュを1パッケージ内に持つPentiumIIが1:0.5の二次キャッシュレスポンスだったという事もあってオーバークロックのCeleron300AはPentiumII450MHzより早いという噂が広がり、かなり持てはやされる事となりました。
 実際、雑誌などでも300Aを定格で使うよりかはいかに安定して100MHzベースで動かすかに記事の特集が組まれる事が多く、尚も価格が下がりつつある現在では殆どスタンダードCPUとしての位置を占めていると言っても過言では無いでしょう。
 但し、この使用方法はメーカー保証外である事を忘れてはなりません。実際にオーバークロックを行う場合、それによって正常に動かなかったりCPUが壊れたとしてもメーカーの立場としては当然であり、実際に行う人に全ての責任が発生する事になります。

 で、固い話しはこの位にして、実際に設定してみました。ここで一点注意として、私の持つメモリはPC100には対応していないごく普通のSDRAM(10ns)であるという点です。
 普通、こうしたノーマルのSDRAMではまずベースクロック100MHzは動かないのですが、まあ取り敢えずなんでもチャレンジという事でやってみたいと思います。

 まずはベース66MHzの4.5倍設定。これは何の問題も無く動作します(当然ですね)。で、次にまず駄目であろうベース100MHzの4.5倍設定ですが...何とこれが全く問題無くパスしてしてしまいした(^^;)。
 確率的には100MHzで動かせる割合が高いCPU(無論マザーとの組み合わせやCPU自体の特性から駄目という報告もなされています)ですが、それにしてもこんなにあっけなく動いてしまったのには驚きました。一応40週モノですが、製造週での動作根拠は殆どと言っていい位ありませんので、私はたまたま運が良かったのだと思います(^^)。
 それでもそんな高クロックで動いている事が信じられず、ベンチマークソフトで有名なスーパーπにてベンチテストを行ってみました。
 あまり大きい桁にしても意味が無いので、最高104桁までの結果となっています。



 この結果を見る限り、450MHzにした効果は確実に出ている様です(通常の66MHzベースでは104桁は5分以上かかっていましたので)。
 それにしても、メモリーがPC100対応でなくても100MHzベースで動くという事があるのですね。わざわざ高いお金を出してPC100対応のSDRAMを購入しなくても手持ちにSDRAMがある様なら、一度試してみるといいと思います。それで100MHzベースで動けばラッキーという事になりますので(^^)。
 ちなみに使用ファンは写真にある様にリテールに付いていたものをそのまま使用しています。ケースはフルタワーであり、これから寒い時期なので、放熱環境はかなり良いと考えられます。



 今回の構成はそれまで使用していた二号機(AOpen AX5Tマザー)のマザーとCPUのみをそっくり交換した構成となっており、唯一CD−ROM装置だけPIONEERのフロントローディングタイプに交換となっています(以前のPLEXTERは壊れました(^^;))。
 以下、ケースについて特徴を説明します。AX5Tでの説明と重複しますがご了承願います。  このページトップの写真を見てお分かりの様にフルタワーという事で容積はかなり大きいのですが、デメリットよりもメリットの方が高いと感じました。
 まずは何といっても「筐体が大きくなって使い勝手が良くなった」という点ですね(^^ゞ
 写真では解かり難いかもしれませんが、フルタワーになったお陰で椅子に座った状態からのFPDやCDの出し入れがかなり楽になりました。これまではミニタワーだったので出し入れにも腰を屈める(^^;)必要があったのですが、それが無くなったのはやはり便利です。
 「それならミニタワーの時にもっと高い位置に置けば良かったんじゃないの?」と言われればその通りではありますが、その為にはわざわざ台を用意しなければならず、それなら初めから容積の大きい方がいいという事になります。

 二つ目のメリットは筐体が縦に大きくなっただけなので設置スペースも従来のままであるり、筐体内が広くなった事で放熱効果が高くなった事が挙げられます。
 もう一つのメリットとして、増設などの作業がやり易くなった事。ミニタワーの時はケーブルの引き回しは思った以上にゴチャゴチャしがちでしたが、フルタワーになって距離は長くなった分、スッキリと配線する事が出来る様になりました。
 フルタワーというと「そんな大きなもの」と敬遠されがちですが、部屋が余程狭く無い限りメリットの方が際だっていると思いますので、これから一台組んでみようと思う方は検討されるといいかもしれません(^^)。
 特にAOpenのはバリで手を切る事もありませんし、丁寧な仕上げとなっていますのでお薦めです(^^)。



 ケースの話しとなったのでついでにもう一つ。このAOpenのHX-08ですが、実売価格が16,000円程度ながら以下のメリットを持っています。

・300Wの電源を搭載しながらも静穏性が高い。夜使っても騒音が気にならない。
・左写真の通り、マザー取りつけ部分がスライド式になっている。作業が楽。
・天板、側板が全て独立スライド式である。
・AOpenマザーとの相性が良い(当然だが(^^;))。電源ON/OFF問題で悩む事無し。
・バリ部が全て折り返されており、作業中に手を切る事が無い。

 これ以外にもベイスロットの豊富さやパーツ取りつけの容易さなど挙げたらきりがない位このケースはよく出来ていると思います。何といってもこれだけ出来が良くて価格が安いのですから、現時点では最高のフルタワーケースと言っていいかもしれません(^^)。
 このケースはAOpen製ですが、取り扱い店は然程多くは無いので、実際に手にとって見たいという事であれば、秋葉原なら「俺コン」に足を運ぶ事をお薦めします(^^ゞ。1Fのケースコーナーに置いてあります。


 ここまで駆け足でまとめてみましたが、如何でしたでしょうか(^^ゞ。
 この構成後ずっと450MHzのままで使っていますが、Win95での安定性は二号機の時と比べても全く遜色がありません。マザーとしては決して枯れた製品とは言えませんが、保証外でもあるオーバークロックをしながらもこれだけ安定しているマザーを送り出しているABITの技術力は中々大したものだと思います。さすがはインテルのチップセットを長いこと扱ってきただけはあるなという感じでしょうか(^^ゞ。
 とりあえずPCのレスポンスとしては、今の所これ以上望む必要の無い域に到達していると感じています。毎日の通信やインターネット、ワープロや表計算などの事務関係、エディタによるSS作成、フライトシミュレーターなどの3Dを駆使したゲームなど、どの場合でも高速性かつ安定性は満足出来るレベルです(^^)。
 さらに今回の投資額はマザーボードとCPU併せても3万3千円程度であり、一寸以前ならCPU1つ買う位の値段でこれだけのモノが揃ってしまう価格下落の事実には本当驚いてしまいます。PC購入が初めてという方にとっては本当に良い時代になったものだと思います(^^)。

 ところで、98/11現在ですが、AMDもこの現状に黙って指を加えているべくもなく、早々にK6-2の400MHzクラスの投入やクロックアップ耐性の高いK6-2の導入など、低価格マシン用高性能CPUの座を死守せんものと値段攻勢も含んで反撃に転じようとしています。
 ユーザサイドからすると益々楽しみな今後のCPUの展開模様。それを考えると、今のこのシステムもいつまでこの構成で使っているかなと考えてしまう所です。1年以上は持たせたいと考えていますが、はてさてどうなりますやら(笑)。