iiyama A702H

 これまではSANYO製の15インチフラットモニターを使用してきましたが、インターネットを利用する機会が多くなってきた最近ではかなり辛いものを感じてきた為、いい機会とばかりに買い替えた17インチモニターです。
 最近の流行でもある、完全フラット面を持つダイアモンドトロンNF管を使用しています。
 ここで、これを読まれている方に前置きを一つ.....現在、このモニターは私の手元にありません。購入して二週間程で、SONYのCPD-G200Jに交換してしまいました。
 その理由は順次述べますが、今ここで簡単に言いますと「画面半々での色温度の違いに堪えられなかった」という事になります。
 この言葉でピン!ときた人は、かなりのモニター通(笑)だと思いますが、そこら辺りの事も順次説明していきたいと思います。

 飯山製モニターの魅力は、何といってもその価格に対する性能の良さにあります。
 無論、プロ用と称される高価なモニターと比べればその差が歴然なのは当然ですが、普通に家庭やオフィスでワープロや表計算、インターネットを利用する分には十分過ぎる性能を有していると言っていいでしょう。モニターを交換した現在でも、私のこの評価は変っていません。
 特にこのA702Hは、今年(平成11年)の4月登場した時の定価44,800円から、6月の10日付けで何と定価39,800円にまでその価格を引き下げており、実売価格もさらに一割引いている所が多い事から、一昔前の17インチモニター価格を知っている私からしたら、まさに信じられない価格であると言えます。
 何しろARコートを施した最新の三菱電機製ダイアモンドトロンNF管を用い、D-Sub15ピンと5BNCの2コネクタを標準で搭載し、ついでにモニターケーブル+Mac用アダプタまで標準で装備している訳ですから、そうしたものに高いお金を掛けた経験のある人なら「いい時代になったんだな〜」と感慨に浸れる事しきりでしょう(笑)。

 現在の17インチは一昔前の15インチ同様、パソコンモニターとしては標準的扱いとなった事から、その入力系統はD-Sub15ピンのみのモニター本体直付けな製品が殆どです。それは、この後買い替えたCPD-G200Jでも同様です。
 それら製品群の中でも、このA702Hはかなりのロープライス製品であるにも関らず2系統入力を標準装備している貴重な存在であり、特にVooDoo2などの3D専用カードでゲームを楽しまれる方にとっては大きなメリットとなります。
 その切り換えは、モニター前面に表示されるメニュー画面(OSDメニュー)からのみの設定な点が少し残念ですが、A702Hではモニター信号の自動チェックを行っており、自動的に表示を切り替える機能も持っているので「おかしいな、電源は入っているのに画面に何も表示されないぞ?」という、初歩の入力切り換えミスを防ぐ上でも役立っています。
 無論、手違いで2系統共モニター信号が来ていない場合はその限りではありませんが(笑)



 フロントパネルの操作ボタンは3つ。写真ではわかり辛いと思いますが、左から[MENU][+][-]という表記になっています。
 [MENU]ボタンを押す事でOSDメニューが表示され、モニターの各種項目を選択後、[+][-]にてその内容を調整します。ボタン数が少ない割に操作は優しく、短時間で誰でも容易に扱える様になるでしょう。
 また、[MENU]を押さずに[+][-]の操作をした場合は、コントラストと明るさの調整がそれぞれ行えます。メニューを呼び出さなくてもダイレクトにこれら操作が出来るのは親切な設計と言えます。


 画面の調整項目は以下の通りです。

 コントラスト、輝度、水平位置、水平サイズ、垂直位置、垂直サイズ、糸巻歪み、台形歪み、平行四辺形歪み、弓歪み、傾き(回転)、水平コンバージェンス、モアレ補正、消磁

 この他、モニター情報関係としては、

 入力信号切り換え、色温度調整(デフォルト、カスタム)、OSD表示位置、周波数表示、言語選択(4ヶ国)、リセット

などがあります。
 OSDメニューは4画面用意されており、関連項目がきちんとまとまっているので結構便利です。
 ただ、個人的には、周波数表示はこのOSDメニューを表示した段階でデフォルトで表示して欲しかった所です。この項目はOSDメニューの4画面目にあり、その選択までボタンを押す操作がかなりかったるいと感じました。
 調整項目については「これは凄い!」と思われるものは特に無く、17インチとしてはごく平凡なものばかりです。
 ただ、私の購入したA702ではこれら調整項目のお世話になる必要性を殆ど感じない程にピタッと調整がキマっており、その点では全く不満を感じませんでした。
 飯山の製品はその経験上、個体差が比較的多い方ですが、さすがに17インチクラスともなるとその辺りの調整は経験を積んできているなと感じた次第です。

 これは余談ですが、三菱がこの世に初めて17インチのダイアモンドトロンを出した時たまたま購入した事があったのですが、その画面の奇麗さを差し引いても「縦線のグニャグニャ感」は酷いものでした。
 新しい管という事で、メーカーも調整に馴れて居なかったのがその原因の様ですが、今の世でもしそんな製品を売ろうものならクレームの嵐となる事必至だったでしょう(^^;)。
 そうした酷いダイアモンドトロン管を知ってるだけに、右上に多少の歪みはあるものの、オールフラットながらここまで奇麗に調整されている事に正直感心しました。

 さて、これまで簡単な一連のスペックを紹介してきましたが、実際に画面を見て感じた点を以下に述べていきます。
 言葉でズラズラ書くと見難いので、箇条書きにまとめてみました。

良い点
  1. 販売価格。これに終始するといってもいい位(笑)。
  2. 上記に対する機能の良さ。17インチの完全フラット管使用で2系統入力はこの機種だけ。
  3. 全体的なフォーカスの良さ。0.25mmのAGピッチもあって、表示文字が見易い。
  4. ARコート。昔はこの価格帯ならシリカコートが普通だった(^^;)。
  5. 歪み感の少なさ。実際には歪みは存在し、特に画面右上は顕著に分かるが、個人的には気にならない。
悪い点
  1. 発色の眠たさ。これはダイアモンドトロンNF管を使う全ての製品に言える。
  2. 画面位置による色温度の違い。左半分が青白く、右半分が赤黒い。色温度調整機能では補正不可能。
 ここから先は、同じ型番のモニターでも個体差があるという事を念頭に読んでください。モノによっては私が感じた症状は確認出来ない場合もあると思います。
 このモニターを私が2週間しか使わなかった最大の理由が、まさに悪い点で示した「画面位置による色温度の違い」によるものでした。写真などを上げて具体的に説明するのが難しいのですが、モニター画面表示をオールホワイトとした場合、以下の様な表示となります。

 ....説明が無かったら、何が何だか分からない絵ですね(^^;)。
 これは本当に極端な表現なんですが、オールホワイトバックでの「私の購入した」A702Hのカラーです。
 右が青白く、左が赤黒く感じるイメージがお分り頂けるでしょうか?
 「おいおい、いくらなんでもこれはイメージ酷過ぎるんじゃない?」と思われるかと思いますが、これまで私が公私共に扱ってきた多くの17インチモニターにおいて、属にアパチャーグリル管と言われるトリニトロン及びダイアモンドトロン管では、こうした傾向を持つ製品が少なくありません。
 実際、17インチモニターがまだ20万近くする高級品であった頃、私はこうしたモニターに何度も遭遇し、その度にメーカーにクレームを入れて交換や修理依頼を行ってきましたが、そこで実感したのが「こうした状態は管固有の問題であり、メーカー調整で直るものでは無い」という事でした。
 この話題となると、よく「それは地磁気のせいでしょう。モニターは東向きに置いていますか?」と言われる方が居ますが、そうした場合の色温度差や色むら感は、モニターの4隅に顕著に現われる場合が殆どであり、今回の様に管を縦に半分も占める色温度の違いについては当てはまりません。
 また、「こうした問題は、しばらく使っているうちに直る」という通説もある様ですが、それらは先の地磁気による問題と混同しており、管自体にこうした現象が出てしまっているモニターについては、その後使い続けても単に「目が馴れる」だけで根本的には何も解決されないという事になります。

 実際、モニターを販売する各メーカーでも、これらの現象は十分承知している様です。
 ですが、そこまで管を選んでの商品作りとなると今の価格ではとても提供出来ないという事になりますので、A702Hの様な低価格製品では仕方ないと言えるかもしれません(^^;)。
 とりあえず飯山のサポートに現象を問い合わせましたが、まずは地磁気の問題ではないか?という事を聞かれ、よければ無料でモニター画面を消磁する機械を貸しますよと言われたのですが、既にこの問題については散々体験済み(笑)であったので、お礼だけ言って電話を切りました。
 この時、私は要求しませんでしたが、どうしても現行商品が気に入らないのであれば、製品交換は気軽に応じて貰える様です。
 しばらく使い続けてみて、まあそのまま(A702を)使い続けてもいいかなと感じてはいたのですが、とりあえずこの商品を購入した販売店に連絡をして、別メーカー商品に交換出来るかを尋ねてみました。
 すると、こっちが拍子抜けする位とても気軽に応じてくれた為、「気になりながら使い続けるよりは」と思い切る事にしました。
 そんな訳で、僅かに2週間しか手元に無かったこのモニターですが、実際に使っての印象は決して悪いものでは無かったと思います。
 特に、現在15インチや17インチのフラット管モニターを使っていて「もう少し見易いモニターが格安で欲しいな」と考えておられる方には、十分に検討の価値はあるのではないでしょうか。
 この価格帯で2系統入力必須であるなら、これはもう迷う事無くですね(笑)。