狭山茶

     
■お茶の由来■

わが国のお茶は、平安朝の初期(約1200年前)に伝教大師(最澄)や弘法大師(空海)など, 唐に留学した僧侶たちによって中国から茶を持ち帰ったのが始まりと言われています。

その後、今から八百年前、鎌倉時代の初めに、我が国臨済宗の開祖である栄西禅師が中国から種子を持ち帰り、 栽培するとともに、『喫茶養生記』を著し、『茶は養生の仙薬なり、延命の妙術なり』と喫茶の効能を宣伝したことで 茶への関心が高まり本格的に栽培が始まったと言われている。

狭山地方に初めてお茶がもたらされたのは、鎌倉時代、京都の高僧・明恵上人が、山城、大和、伊賀、 伊勢、駿河と共に「武蔵河越の地」に栽植したのが始まりとされ、当時より銘園五場に数えられ、 名称は『河越茶』と呼ばれていました。

  江戸時代、享保二年(1802)頃から商品として売られるようになり本格的に茶業として始まり、 生産地域が拡大されるにしたがって現在のような茶園になり『狭山茶』と呼ばれるようになりました。 茶の出荷先は主に江戸でした。

■狭山茶の特徴■

狭山茶の生産地は埼玉県西部で、武蔵野と言われる地域と重なります。更に奥武蔵の日高市、飯能市、 また近年秩父児玉地方も新しい産地として栽培面積が増えており、埼玉県における農産物生産面積では県下一です。 良質なお茶を育むには霧のような水分が必要ですが、畑地でありながら周囲に潤いを与える武蔵野の林は とても大きな役割を果たしています。

全国には多くの茶山地があり、それぞれ特徴のあるお茶がとれますが、その中で狭山茶は経済的 北限産地となっています。狭山茶の特徴であるコク味は、この他産地より寒冷であることから生まれます。 越冬茶葉が厚くなるため、その新芽も葉肉が厚くなり、コク味のあるお茶ができます。
他産地では茶摘は3回できますが、狭山茶は寒冷地ゆえに茶摘は2回です。 ゆっくりと熟成された茶葉が狭山茶の味を特徴づけていると言えます。 一番茶は4月から5月、二番茶は6月から7月に出荷されますが、主要品種は「やぶきた」と「さやまかおり」です。

“色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす”と「狭山茶摘み歌」にも歌われる狭山茶の特徴である深い味わいは、 寒い冬を乗り越えることでいっそう深まり、 また“狭山火入”という独特の仕上げ技術により、甘くて濃厚なお茶になるのです。
狭山茶特有の濃厚な甘味は、この地特有の熟成した茶葉から丹念に選りすぐられた新茶葉と、“狭山火入”という伝統の火入れによるもので、 江戸時代からの変わらぬ美味しさの秘訣である。 また「茶葉を蒸して焙烙に和紙を敷き、炭火を使って揉み乾かす」という手揉み茶の製法もあります。 最近は更にお茶の有機栽培も行われ更なる味の追求が行われています。

□お奨めサイト
狭山茶物語(いるま彩はっけん)
狭山茶のはなし(埼玉県ホームページ)
狭山茶の製造方法と道具(入間市博物館)

■緑茶の効能■

最近ペットボトルでの飲料水でも緑茶は人気商品ですが、『茶は養生の仙薬』と言われるように緑茶には次のような働きが報告されています。
@抗アレルギー作用:アレルギー性鼻炎などの症状を抑える抗アレルギー作用
A血糖降下作用:食後の血糖値の上昇を抑える血糖降下作用
B脳梗塞の予防:お茶をたくさん飲む人ほど脳梗塞の発症率が低いという疫学調査などから脳梗塞などの予防効果
C虫歯予防:抗菌作用から口臭や虫歯予防
D風邪予防:抗ウィルス作用からお茶のうがいなどの風邪予防
E老化防止:緑茶にはずば抜けた抗酸化作用があり老化防止に効果的
 たばこを吸う人は緑茶を飲むことでDNA(デオキシリボ核酸)の損傷程度を少なくすることができる
Fメタボ対策:緑茶に含まれる渋みのカテキンは中性脂肪の上昇を抑えられメタボ対策になる
G脳の活性化:うまみ成分のテアニンは脳の神経細胞の分裂を活性化させる働きがあり脳の働きを良くする
   
 

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