狭山丘陵・湿生植物の里(2008.8)


狭山湖の北側、湖と早稲田大学との間の狭山丘陵に湿生植物の里が広がります。
早稲田大学の陸上競技場の脇からセミが大合唱するやや薄暗い雑木林を入っていくと谷戸があり、オオシオカラトンボが飛んでいました。
丘陵の裾や谷部には、湧き水により湿地が形成されることがあり、狭山丘陵でもこのような湿地を見ることができます。 そこには水の溜まり具合により植生に富み、水辺に棲む様々な生き物がいます。また、周辺の林に棲む生き物もいろんな形で 水を利用しにやってきます。 湿地の生き物には、コサギ、カワセミ、オオシオカラトンボ、トウキョウサンショウウオ、ヒメゲンゴロウ、アカガエルなどがいます。
丘陵の谷部は、深く切れ込んだ侵食谷となっていて、奥からは豊富な湧き水があり、 小川となって湿地をつくりだしています。 こうした谷部を谷戸と呼び、昔からの開墾・干拓により、水田として米づくりに利用されてきました。 かつての谷戸は、湧き水を利用して谷の上部に溜池をつくり稲作が行われ、トンボやホタルの飛ぶ水田でした。 現在の谷戸は、稲作転換を境に、こうした水田は姿を消してゆき、放置された水田の多くは畑や宅地になってしまいましたが、 なかには昔の谷戸の自然環境へ戻りつつある所もあります。
池や沼、水辺や湿地に生える植物たちを湿生植物といいます。水の中、水の浅いところ、水ぎわなど、育つ植物が違います。
湿生植物には、ヒメガマ、ミツソバ、ヘラオモダカ、ミズガヤツリ、スマトラノオ、ウキクサ、サンカクイ、クサヨシなどがあります。
夏の盛りでアブラゼミ、ミンミンゼミ、ヒグラシの合唱が緑豊かな森に響いていましたが、 春の新緑、秋の紅葉も楽しみな自然豊かな谷戸です。
   
 
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