自然循環型の雑木林(埼玉県所沢市 2008.01)


埼玉県所沢の市街地の中心地から東方1.2Kmほどの所に武蔵野の雑木林が残されている。
東西に伸びる雑木林と西武線沿線沿いに南北に広がる雑木林。
ここにオオタカが巣を営んでいる。

オオタカは自然生態系において、食物連鎖の頂点に立ち、餌となる中型鳥類等の多くの 野生動物が生息していることが必要だが、環境省で絶滅危惧種に分類されている。
オオタカの生息には多様性に富む動植物の存在が必要なことから 生態系保護のシンボル的存在とされている。
保護地区としての谷戸崎。
遊歩道が伸び、今は枯れ木の賑わいだが、 林の中は風も遮られて穏やかである。

武蔵野の雑木林では、「ヤマ」と呼ばれた平地林の落ち葉を堆肥として畑に入れ地力をつけて生産力を高める 自然循環型の農業が営まれてきた。
また、木々を燃料や材木にするなど「生活・生産・自然」が一体となった農村文化を形成してきた。
北風が吹き抜ける冬空にコナラの枝が揺れる。

この地の産物であるサツマイモもイモが芽を出すために、 今でも落ち葉の堆肥である芽肥えと呼ばれる完熟堆肥を苗床に使っています。



南斜面の雑木林には冬の陽が降りそそぐ。陽だまりの林を歩くと笹の間の枯葉がカサカサと心地好い。

この斜面を降りると柳瀬川。
いわゆる里山で川下には、今は住宅街だがかつての集落があり 神社と寺、それに地蔵様がある。
柳瀬川には川魚や白鷺が生息しておりこの雑木林はオオタカにとっても絶好の住みかである。
胸高周囲3mを越す山桜の大樹。
北風に耐えて春の開花を待つ。
春に開花した桜との再会が楽しみだ。

クヌギの根元には落ち葉が北風を避けるように身を寄せていた。
まだ母が恋しいのかも。

地球の温暖化とともに環境問題の解決が急がれています。旧来の生活に戻ることは 難しいですが、自然循環型の生活様式や知恵を見直す良い機会ではないでしょうか。
所沢市では公園の落ち葉を住民に無料で配布するようになり、住民は堆肥として畑に使っています。
   
 
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