自然は一方で荒々しい姿を見せるかと思うと、一方では同じ力が
恵みとなって現れることもある。 火山もそのひとつ。一度、噴火するととてつもない被害をもたらすが、 おとなしくしていると、温泉という開放と愉悦の場を提供する。 【右:大正池と焼岳】 |
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上高地の焼岳。北アルプスで最も激しい活火山であり、1915年の噴火では、
泥流を流し梓川をせきとめ、大正池を生んだ。最近では1962年にも噴火し、
噴石が人を傷つけた。 その山のマグマの活動で、平湯温泉・福地温泉を 初めとする豊かな奥飛騨温泉郷があり、我々の宿泊した坂巻温泉もその恩恵に与っている。 坂巻温泉に一泊し、前日は上高地をスノーシューで散策、翌日は新穂高温泉へ回り ロープウェーから西穂山荘まで登る。 2月下旬だが、すでに春の陽気。 【右:田代池】 |
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上高地では、すでにカラマツの根の周りの雪が融け、やせ細った岩魚が
人の気配で逃げてゆく。 さすがに、西穂高のほうへ回ると、スノーパウダーと言える雪が積もっている。 それでもこの時期としては、積雪量は例年に比べはるかに少ないという。 雪をかぶった大シラビソも、白さよりも緑が目立っていた。 |
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【右:西穂高岳】
【兄山女の歌】 水ぬるむ伏流水の池に透け岩魚はほそきからだをとばす かすかともしかも確かに訪れてシラビソ周りに光を伝える スノーシュー持ちて釜トンネルへ向かうころ雲にうもれし前穂あらわる |
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絞られるごとく眠りに降下する夢なぞ繰ったがさても帰らず 白銀の穂高の頭上尾をひきて飛行機雲は西へとむかえり 白雪をふむ毎(ごと)山々あらわれる北アルプスの陽光まぶしき 正面は霞沢岳したの池が大正池とぞこの時空に立つ 太陽と白い雪とが照らしだす北のアルプス抒情を排す |
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