秋田の水(秋田県 象潟・角間川・六郷 2006.05 by 兄山女)


秋田県南部からの画便りです。

秋田県南部の3地域から、水にまつわる、と言えばこじつけ臭いが辛抱を。
まずは、象潟。太平洋側の松島と並び、芭蕉が恋焦がれた日本海沿いの地。 芭蕉の頃は松島のように、海にいくつもの島が、それこそ恨むがごとく 浮かんでいたらしいが、百年ほど後の地震で土地が隆起し、島が地続きに なり、その後の干拓を経て今に到っている。それでも小高い丘は、 かつて島だった面影をその松に宿している。そんな目で見ると、 ここにもあそこにも。

【象潟】
次に、秋田市にそそぐ雄物川随一の川湊 角間川。
平成の大合併で大仙市となった旧大曲市のはずれ、雄物川に支流の横手川が交わる 一角に、かっての水運によrる繁栄の跡を残す浜蔵が2棟。
今では訪れる人も稀のようだが、物流の拠点として大きな賑わいを みせていたという。近くには、かっての豪家と思われる板塀の家が並び、 今でも様々な表札を掲げて生活が営まれている。ちなみに、この近くの 神宮寺というところから秋田までは、陸路であれば2日かかるところを 舟でくだれば9時間だったという。
【角間川の浜蔵】

【角間川から雄物川方向の眺め】
最後が、六郷町。やはり合併で美郷町と名を変えたが、知る人ぞ知る 清水と寺の町。大きくもない町の中には30ケ所近くの清水が湧き出て、 今でも生活に利用されているという。明治の初めに日本を訪れ、 東北地方から北海道の農村を廻って 「日本奥地紀行」を著わしたイギリスの 探検家 イザベラ・バードはこの地を訪れ、当時の仏式の葬式の様子を詳しく 書いている。そして、六郷の寺の美しさにも触れているが、清水については 記載がない。おそらく、湧水という自然の恵みの利用は、昔は日本のいたるところで 見られ、特段触れる必要も感じなかったのではないだろうか。          【六郷の清水】
【兄山女の歌】

象潟の丘の小島の残り松うらむがごとく傾きいるかな

雄物川わたりてきたる風もなく浜蔵ふたつ桜に眠る

透明な池の底から湧き水の泡たちおこりまたしづまりぬ

ゆくりなく小野小町が硯持ち挨拶するよな六郷の町

【六郷の清水】
   
 
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