相模湾にそそぐ酒匂川の上流、中津川を遡ってゆくと、
川沿いに盆地が開け、寄(ヤドリキ)の里が現れます。 さらに進むと神奈川県の「水源の森」、ここからは山道、玄倉川へ 抜ける雨山峠や鍋割山。いずれにしてもどん詰り。 最寄の駅は 小田急線の渋沢駅、ここまで昔は2時間かけて歩いたそうですが、 今では車で15分程度。 【右:コンニャク芋】 |
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かっては養蚕・養鶏・タバコ・米・麦と何でも作っていたようですが、
今はお茶と里芋が特産、やはりサラリーマンが多いようです。 ここの寄神社(旧 弥勒寺)は北条政子の安産を祈願 する寺のひとつとして「吾妻鏡」に載っているほどの歴史ある土地柄。 この里で、一泊二日のオールタナティブ・ツァーに参加してきました。 【右:中津川、遠くに鍋割山】 |
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初日は里芋堀・洗い、ウドン作り、そしてコンニャク作り。特に
コンニャク作りは初めての体験、コンニャク芋からあの慣れ親しんだ
形になるまで、手間暇のかかる工程を踏みます。その手間暇が
あの舌触りを生んでいるのでしょうか。 翌日は里山とでも呼ぶのか、「シダンゴ山」廻り。奇妙な名ですが、 修験道に関係するらしく、頂上付近の尾根筋にはその跡も あるようです。また、縄文時代の生活の跡も。 【右:リンドウ】 |
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今では杉・檜の人工林ですが、あちらこちらに炭焼き窯の跡も
残っています。何でも、炭焼き窯には、窯の入り口に面した形が
台形状の「伊豆式」と平坦な「黒川(川崎市麻生区)式」ともう一つ
のタイプがあるとか。 このシダンゴ山には、伊豆式と黒川式が お互い放れた中腹に残っています。こんな窯跡を見てゆくと、 ますます独立して生活してきた隠れ里、川下に箸やお椀が流 れてゆくような幻の里のイメージが膨らんでいきます。 【右:伊豆式炭焼き窯跡】 【右下:シダンゴ山の頂上】 |
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【兄山女の歌】 ぎっしりと桶で洗われる里芋の白き肌にお日様触れる 切って擦り蒸して固めるコンニャクをゆっくり煮詰めみつめるコンニャク シダンゴの山の見晴らし海見える修験の人も手をかざせしか 鹿柵の中のちいさき畑には里芋の茎しなだれている 草笛が秋の麓をぬけてゆくエーデルワイスの音階たどり |
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【右:中腹のお茶畑と遠くに寄の里】 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・ 水に恵まれ、養蚕・養鶏・タバコ・米・麦に今はお茶に里芋。 由緒ある神社もあったりと寄(ヤドリキ)は古来より非常に住みよい里山だったと伺えます。 大切に残したい環境です。(十三里) |
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