夏の終わりの蓼科(長野県蓼科山 2005.9 by 兄山女)


蓼科からの画便りです。

八ヶ岳山麓には縄文時代の遺跡が数多く残っています。
何故、こんなに標高の高いところに、と現代に生きる我々が訝しがる高原の地に。

この茅野市の尖石縄文考古館には日本最古の国宝、「縄文のビーナス」 や「仮面の女神」といった土偶やおびただしい数の土器が展示されています。
展示室を廻るにつけ、これらの縄文土器を破砕したエネルギーと、それらを 発掘し、元の形に復元しなおした情熱のすさまじさに圧倒されます。

【右:ミヤマアカネ】
この考古館に隣接し、住居遺跡が復元され立ち並んでいる脇に、 大きな栗の木が、夏の終わりの日差しをさえぎり、落ち着いた影を作っていました。

そして蓼科山。標高2,530m,北八ヶ岳の北端に位置する山。遠くから 眺めると端麗な優しさをたたえた秀峰ですが、いざ登ってみると、水の 流れにめぐり合うこともない乾いた山。
そんな岩と落葉松の林の縁にゴゼンタチバナの赤い実が。 Dwarf Dogwoodといわれアメリカ人が大好きなミズキ科の木です。【右写真】

頂上にたどり着くと、そこは岩ばかりが平坦な広場を形作り、360度の 大パノラマ。北・中央・南アルプス、八ヶ岳連峰、秩父の山々、噴煙を吐いている 浅間山・・・・。この山頂小屋をのぞくと、フーガが低く鳴り響いています。 何と、地上でも見たことのないような巨大なスピーカーが山頂小屋を 陣取っています。2,500m強の山頂にこれだけのスピーカーを 運び上げたエネルギー、これまたすさまじいものです。
縄文の女神よ女神蓼科のやさしき山の麓に眠りき

白き道つまさきあがりに続きゆく昨日より伸びた影をうつして

仲秋の月照る夜に炎立つ焚火をみつめ寡黙となりぬ

刺すような緑葉そして岩のあい赤き実みつけ救われるかな

蓼科の山頂小屋にフーガに音三十九座の山聴きいりぬ

鮎釣りの人もとだえし釜無の川石しろく日は秋となる
   
 
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