南アルプス・北岳(山梨県・南アルプス市 2005.06 by 提灯鮟鱇)


富士山に次ぐ標高を誇る南アルプスの北岳を梅雨の中休みに訪ねた。
関東方面から北岳に登るには、甲府からバスで登山口に入るのが一番早いが、
甲府のバスは7月にならないと運行しない。やむをえず長野県の伊那を経由して入山した。
折りしも伊那の隣、辰野では10万匹以上も発生するといわれるホタル祭りが開催されていた。

サンカヨウ

残雪が消えるのを待ちかねたようにいち早く白い清楚な花を開くサンカヨウ。
その熟した実は甘く食べられるというが、まだ試したことはない。

今回は正面に見える雪渓を登る予定だったが「今年は雪融けが遅くて落石が多いから 止めた方がいいよ」という山小屋の主人のアドバイスに従って右手の斜面を登ることにした。

梅雨の中休みとはいえ「時々雨」の天候を覚悟していたが、予想に反して雲一つ無い快晴。 この日関東地方では今年初めての真夏日を記録し、3000メートル峰の山裾も雪渓を離れた 登山道は夏山の暑さとなった。
ミヤマキンバイ

高山植物には黄色い花をつける種類が多く名前の同定に迷う事しばしばだが、ミヤマキンバイ は比較的分かりやすいと思われる。
キンポウゲ科に黄色い花が目立つが、ミヤマキンバイはバラ科の多年草。
イワウメ

小さな葉が地面を隙間なくビッシリと覆いまさに緑のジュウタンそのもの。 葉の小ささに比べると花は大きめで梅に似ているといわれる。
草ではなく常緑小低木だというから、真冬の厚い積雪の下でも緑の葉が息づいているのだろうか。
チョウノスケソウ

最初に発見した須川長之助さんの名前から命名された。
チョウノスケソウもバラ科だが、 イワウメと同様に草ではなく常緑小低木。どちらも地面にビッシリと張り付いて生えているので 木とは気がつきにくい。
ハクサンイチゲ

高山の湿った草地に多く見られる。同じキンポウゲ科で黄色い大きな花をつける シナノキンバイと一緒に咲いていることが多く、湿性お花畑の代表格といえる。
写真下側にみえる丸っこい花はイワベンケイ。

下のキタダケソウと一緒に咲いていると見分けが難しいという人もいるが、 並べ比べてみると違いがはっきり分かると思う。
キタダケソウ

北岳固有種のキタダケソウは当然ながら北岳でしか見ることができない。 今回の北岳登山はこの花を見ることが目的であった。満開から1週間ほど過ぎていたため 花が散って種になっている花茎が2本見える。

北岳山頂付近は緑色岩や石灰岩から成る四万十帯といわれる地層で、カルシウムやマグネシウム を多く含む土壌がキタダケソウを育てているのかも知れない。
 
 
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