春・農作業始まる(信州・真田町 2005.05 by 提灯鮟鱇)


春の訪れが遅い信州の山里でも桜が散り農作業が始まった。
雪が多かった今年はとりわけ春の訪れが遅いというが久しぶりの故郷は春の真ん中だった。

山笑う季節
水田の先に立ちはだかる山々も新緑に染まって農作業の開始を告げてくれる。 木々のほかにも「カッコウの初鳴きが聞こえたら豆の種を蒔け」といわれる。 この日もカッコウの声がどこからともなく聞こえていた。
山間のささやかな水田も代掻きが終り田植え直前だ。 この日の夕暮れ前には田植えも終わっていることだろう。
機械で植えるようになって子供が田植えに駆り出されることもなくなった。 私の子供の頃は農繁休暇といって学校が休みになった。 猫ならぬ子どもの手も貴重な労働力だった。
こちらは田植え直後の水田の様子。
子供のころに見慣れた田植え直後の様子とは少し違うように思える。 手植えのころは稲の苗がもう少し大きかったが、機械植えの苗は小さいので 田植え直後の水面は緑が少なく弱々しく感じられるようだ。 あるいは自分で植えた苗は子供の目からは大きく見えたのだろうか。
今では珍しい風景になってしまったが冬麦が稔っている。
童謡にも歌われている麦踏みが懐かしく思い出される。 子供にとってはいやいやながらの農作業の数々だったが、風が吹き抜ける畑で 霜柱と麦を一歩ずつ踏みつける足裏の感触は今でも記憶に残る貴重な体験だ。
アスパラガスの畑でも収穫が始まった。 今年は雨が少なく寒さがいつまでも残っているため、アスパラガスの芽も出が悪いそうだ。
この日もたまの訪問者にとっては嬉しい青空が広がり雨の気配は無く散水が欠かせない。
ここでもタンポポは元気だ。 一足早く花を咲かせ、もう種を飛ばしている。 今年は何回花をつけ幾つの種を飛ばすことだろう。
青空をゆったりと漂うタンポポのパラシュートを追いかけて小川にはまった 子供の頃の楽しい思い出を持っている人も少なくないだろう。

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『芒種』も近い。農家にとって一番忙しい農繁期。 機械化される前の農作業の大変さの一端を偲ばせる画便りした。
農業は機械化されても自然の恵みに変わりはないですね。 (十三里)
 
 
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