残暑に忍び寄る秋(神奈川県 三浦半島 2004.09 by 提灯鮟鱇)


まだまだ残暑にあえぐ三浦半島ですが、植物たちはいち早く秋の気配を
感じ取って静かに次の季節への活動を開始しています。

ハギの赤紫色の花が残暑の風に小刻みに揺れていました。 万葉集で歌われている植物で一番多いのは、梅ではなくて萩だそうです。 そしてそれは当時の自然破壊を示しているとのこと。 都の造営で原生林や原野が切り開かれた後に、萩が次々と増えていったようです。
クズの根から葛粉が採られ葛根湯などの漢方薬の原料となることは知られていますが、 アメリカで期待され、そして嫌われものになったことをご存じでしょうか。 1930年代の世界恐慌の対策ニューディール政策の一環として始められたTVA計画では、 テネシー川の護岸の土壌安定のために日本からクズを導入しました。 しかしクズの繁殖力があまりにも強すぎてネイティブ植物を駆逐してしまったため、 グリーンスネークと呼ばれて嫌われものになり撲滅活動行われているそうです。 沖縄のハブ対策で移入されたマングースに似ていますね。
ホコリタケの仲間のキノコ。ホコリタケは成熟すると丸い体の中が胞子で一杯になります。 つぶすと煙か埃のように胞子が吹き出します。若いホコリタケはマッシュルームのような 食感と香りがします。マッシュルームも成熟すると胞子がいっぱい詰まるのでしょうか。
センニンソウの白い花が野原や林の縁に満開です。 春の三浦半島の林ではそよ風に乗ってテイカカズラの芳香が漂ってきますが、秋には センニンソウの微香が散策路を満たしてくれます。改良を加えられた植物に負けない 芳しい香りです。どちらも白い花をつけるのは偶然でしょうか。
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