小網代の秋(神奈川県三浦市 2003.11-12 by 提灯鮟鱇)


アカテガニなど多様な生態系の『小網代の森』周辺の画便りです。

小網代(こあじろ)というと伊豆半島の熱海と伊東の間にある網代の近く と勘違いされることがあるが、小網代は神奈川県三浦市にあります。
源流から河口そして干潟から海まで人工の構造物部に遮られることが全く 無く自然の状態にある小網代は、首都圏では唯一の完結した集水域生態系 と言われている約80haの小さな森です。
1980年代半ば、ここは大きなホテル、ゴルフ場、豪華な住宅、マリンレジ ャー基地など、東京近郊のリゾート開発拠点としての計画が進んでいました。
関東地方唯一の集水域生態系、アカテガニを始めとして約1600種の動植物 が賑わい暮らす自然の聖域、小網代の谷を消滅させて良いのか、開発と保 全に賛否が大きく分かれる中、地元の市民活動家や主婦などから始まった 複数の自然保護活動グループが1990年に一つにまとまり、神奈川県のナシ ョナルトラスト運動の全面的な支援を得ました。
まもなく県や市の行政も開発一辺倒から保全区域の設定へと方向を転換し 少しずつ保全が進んでいます。

小網代の森の全景。
小さな森だが源流は一年中絶えることなく 滴り小川となって小網代湾へと注ぐ。
小網代湾は長距離外洋ヨットレースのスタート地でもある。 小網代湾の隣には日本を代表するヨットハーバー油壺がある。
小網代の森を取り囲む畑で栽培される三浦大根。最近は大きく て重い三浦大根より小振りな青首大根のほうが好まれている。
かつてハゼの実から蝋を精製していた。
温暖な小網代でもハゼは美しく紅葉する。
大きな木の枝にまで伸びたカラスウリの実が真っ赤に熟れた。 夏の夜に咲く白い花の繊細さには驚嘆させられる。
   
 
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