民話の里(岩手県 遠野 2003.8 by 兄山女)


民話の里・遠野からの画と歌の便りです。

         『遠野』

「オシラサマ」観終へて隣の少年の
「哀しかったね」とかたるが聞こゆ

苔むしる五百羅漢に岩しみず
今はしずかなことの確かさ

遠野にてしづかに民話をききし
午つゆ草すらも霊魂かと思ふ

涙すは暮坪蕎麦のから辛さにぞ
遠野伝へる哀しみにあらず

早池峰に落ちし雨滴は
時をへて河童淵とふ浅瀬濡らしゆく

青き穂のわずかにかしぐ畦道に
賢治に似たる青鷺一羽

犂のおと蚕に岩穿つ音のして
猟銃響き破るしづけさ

飛鳥にはあらね民草生のほとり
まこと遠野は田野のみやこ

耳すまし心こらして呼吸すれば
石塔巻ひてゆく風語り

義家が川さかのぼり峠越へみたる
遠野のすすきの穂群

                                         

                                         

                                         

                                         

                                         



   
 
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